少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

21話 子供の甘い雰囲気?

目が覚めた僕の目に、入ってきたのは青い空。
あぁ眩しい。


「…ここは?」
「ここは……どこかの草原。」
「草原。僕は何でここに?」
「あのですね。あれは事故でして、その…ごめんなさい。」
「ごめんなさい?別に何も問題ないでしょう。」
「いやでも、心配してくれた人を…突き飛ばすなんて。」
「あぁ。いや、ダメージ食らった事無いし、貴重な経験だったよ。」
「そう言うものですか?」
「そう言うもんだ。」


始めのやり取りは、つい最近した記憶がある。
とにかく気にしないでもらえればいい。
それより気になる事がある。


「この状況は、どう言う事なんだろうか。」
「あの、地面に寝かせるわけにはと思いまして。」
「それで膝枕なのか。」
「はい。いやかもしれませんが。」
「そんな事は無いよ。ありがとうシー。」
「いぇ…そんな…どういたしまして。」


膝枕で草原に寝そべるって…気持ちいいもんだな。
なんて言うのかな、自由な感じがする。


「そう言えば、クロイ達は?」
「さっきまでいたんですが。ソラヤ君が少し起きる前に、護衛と言って離れてます。」




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《ウルフLv10を倒した。1(5)の経験値を得た。》
《ワームLv10を倒した。1(5)の経験値を得た。》
《ワームLv10を倒した。1(5)の経験値を得た。》
《ワームLv10を倒した。1(5)の経験値を得た。》


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「なんか暴れてるみたいだね。」
「それって、ウルフやワームを倒しました、ってやつですか?」
「そうそう。こう言うの感じた事ある?」
「はい。ウルフを倒した時に。」
「そう言えば、戦う事もあるって言ってたね。」


この感覚は、こに世界の人皆んなあるのだろうか。
でも、メニューとか知らないみたいな。
一人一人が、神様とか、女神様に会えないんだろうなぁ。
ん〜振り分けとか、教えちゃいけないものなのか?
クロイが来た時に相談してみるか。




「あの。そ、ソラヤ君。」
「ん?何?」
「ソラヤ君達は、その…次に行くとこ決まっているの?」
「決まってないよ。とりあえず、南の方に向かおうかなって。」
「そうですか…。」
「何かある?やりたい事があれば、付き合うけど?」
「……。」


言葉が見つからないって感じで、黙ってしまうシー。
ここからじゃ、顔が見え無いな。
シーは今、どんな顔してんのかな?


「よっと。」
「あ。」


いつまでも膝枕って疲れるだろう。そう思って僕は起き上がった。
なんか少し、曇った顔をしているな。


「ごめんね。いつまでも膝枕してて。辛かった?」
「いえいえ!もう起きちゃうのかって……って違うの!」
「何が違うか分からないけど。シーの顔が見えないし、辛いかなって思って起きただけだよ?」
「そそそ、そうですよね。別に私は辛く無いから!むしろいつでも…って違うの!」
「まぁ落ち着きなよ。嫌じゃ無いし、なら今度お願いするよ。」
「本当に!?あ、えっと…お待ちしてます。」
「うん。その時はよろしく。」


今度は真っ赤になって、静かになるシー。
あれ?結局、何の話だっけ?






「「それで…。」」
「…いえ、先にどうぞです。」
「そう?と言っても、シーが何か言おうとした事が、聞きたかったんだけど。」
「うぅ…。」
「なんでも言ってみなよ。話はそれからだよ。」
「は、はい…………ソラヤ君は、王都って行ったことある?」
「王都?お城とかある、あの?」
「うん。」


王都どころか、人に会ったのもシーが初めてだしな。
町はおろか、村にだって言った事ない。
って言うのはおかしいだろう。なんて言おうかな〜…原初の森とか言っても平気かな?


「よし。これにしよう。」
「え?」
「あ、なんでもない。王都は無いかな。」
「そっか……。」


何かありそうな感じがするけど、中々言い出さないな。
行きたいのか?


「シーは行ったことあるの?」
「ううん。私も無いの。」
「なら、行ってみる?ここからどれだけあるか、分からないけど。」
「え?いいの?」


お、食いついてきた。やっぱり王都に行きたいのか。


「僕達は強くなる為に、旅してるだけだからね。目的地は別に無いんだ。」
「強くなる為の旅…家族で?」
「うん。何かおかしいかな?」
「そんな事ないよ。何か目的があるんだろうし。」
「目的か……むしろそれを探す旅かな。行ってみたい所はあるけど。」
「どこ行きたいの?」
「龍の郷ってジルは言ってたかな。あ、ジルは友達ね。」
「龍の郷!?あの?」


あ、これ言っちゃダメなやつか?
シーがめっちゃ驚いた顔してる。


「え?何か変だった?」
「龍の郷って、ドラゴンが管理してる国だよね?」
「管理してる国か…。」
「私も詳しくは、知らないんだけど。前に勇者様が、行ったと言われていたから。」




ジルが前に勇者が、来たとも言ってたな。
そんで、奥さんがその郷を管理してるとも。
そうか、ドラゴンの国なんだ。ふーん。


「そんな凄いとこなんだ。話にしか聞いてなかったから、僕も実際よく分からないんだよね。」
「そうなんだ。でも、行けたらいいね。」
「まぁ勇者が行ってるんだから、僕らも行けるんじゃないか?」
「そうなの?勇者様くらいしか、行けたって聞いてないから。危険な場所なんじゃ?」


危険なのか?でもジルが誘う訳だし。
きっと行けるんだろうなと思っていた。
まぁ簡単に行けるとは、初めから思ってないけどさ。


「方法とか色々調べてみて、危ないとこなら、強くなれば、いいだけだし。」
「なんか、ソラヤ君が言うと、本当にいけそうだね。」
「でも、旅なんだし。行ける可能性があるなら、行きたいじゃん。」
「行ける可能性があるなら…か。」




何やら考え込んでしまったシー。


「よし。じゃ〜まずは王都目指そうか。」
「私が行きたい理由とか聞かなくて……いいの?」
「行きたいんでしょ?なら行こうよ。」
「そっか。それでいいんだよね…。」


何かに悩んでるみたいだな。
会ったばかりの僕には、言いづらい事があるだろう。
今はまだ聞かないでおこう。


話題変えないとだな。何がいいかな〜。


「そう言えば、シー。1つ聞きたいんだけど。今何歳なの?」
「え?13歳だけど。」
「そうか。歳上なのか。」
「歳上?ソラヤ君は何歳?」
「僕は12なんだ。そっか、上なのか…。」


やっぱりお母さんが見た、13歳は合っていたわけだ。
名前と年齢にLvが分かるって、改めて考えると凄いよな。
逆に使い所を、考えないといけないな。


「そ、ソラヤ君は、歳上は嫌い?」
「歳上?ん〜人によるかな。でも好きじゃない人が多いと思う。」
「え…。」
「ん?シーの事は好きだよ。」
「ひゃ!?にゃにゃにゃにを!!」


しゅんって顔してたから、頭を撫でて元気付けてあげる。
うん。なんかもの凄く元気になった。


「あ。歳上なのに、ごめん。元気が無い人には、頭を撫でてあげるといいって、クロイが言ってたから、つい。」
「クロイさん、いい仕事です!」
「へ?何?」
「あ、なんでも無い!ないよ〜へへへ。」
「まぁ元気になったなら、それでいいよ。」
「出来れば…もう少しお願いします。」
「うん?元気足りなかった?よしよし。」
「っ……!」


頭を撫でてあげると、顔を隠してバタバタし始めた。
撫でにくいな。僕より少し背が高いし。
シーを座らせて、僕が立つと撫でやすい高さになった。
ふむ。お座りした犬を撫でてるようだ。そう言えば、近所のあの犬元気かなぁ…。




戦闘の音もしないし、どこ行ったのかと思えばあんなとこに。
多分だけど気を使って、歳の近い僕だけにしたのかもしれないな。
それでも隠れるなら、ちゃんと隠れて欲しいもんだな。
…なんか豪ニィが倒れた。
栄ネェが必死に治癒の魔法をかけてる。
黒ジィに至っては、微笑んでるのがよく分かる。


いつもは撫でられてるけど、人を撫でるって気持ちいもんだなって少し思った。


向こうは向こうで、暫くしたらこっち来るでしょう。
それまでは、シーを撫でて待つとしよう。


あ〜サラサラしてて、気持ちがいい、癒されるわ〜



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