少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

13話 早く慣れてくださいよ。

朝になりました。
このベットで寝るのも今日で最後かもしれない。
持って行く事を考えたが、アイテムを持ち出す重量が圧倒的に足りない。
いやいや、便利な環境から飛び出すんだ!
何も、何も…あぁ……。


「皆んな、おはよう。準備はいいかな?」
「は、は、はい!空さ…ソラヤ。」
「あーうん。父さんもその内慣れるって。ほら母さんも父さんに何か言ってあげてよ。」
「あ、あ。ほ、ほ、ほら、あなた……しっかりしないと。空ちゃん?空ちゃんも困るでしょう。」
「あ、ああ。そうだな…おまえ。」
「ぶほ。いや、失礼…。」


ぎこちない夫婦だなぁ。
よっぽど面白いのか、クロイも笑ってるじゃないか。
そんなに変な事じゃないだろう。あくまでも設定でフリだけなんだから。


「ふっ。別にお二人は夫婦ですので、名前で呼び合っても問題ないでしょう。」
「「あ。」」
「好きな方で良いけど。そもそも夫婦が『あなた』と『おまえ』ってあまり聞いた事ないんだけど。」
「ほほ。お二人とも硬く考えすぎで御座います。」
「それとクロイも、その丁寧すぎる言葉は直すべきじゃない?」
「そうですかね?…そうか?」
「そうそう。そんな感じ。」
「それでは…ソラヤも兄と呼んだ方がいいのではないで…ないか?」
「別にいいけど。」


僕だけ言葉遣いは変わらないから、呼び方を変えればいいだけなら簡単だし。
まぁ誰かに会うまで、まだ時間はあるだろうから、急ぐ必要無いけどね。




「じゃ、皆んな行くよ。」
「あ、ソラヤ。PCは置いていけよ?」
「……何故、分かった?」
「ほほ。私を誰だと思っている?」
「クロイ…。」
「では、ソラヤがPCを置いてきたら出発するか。」
「もしかしたら、電気が使えたら…。」
「使えたとして、ネットはできませ…出来ないぞ?」
「っぐ。」
「それにここは女神様の結界があるので、持ち出すより置いておく方が壊さないぞ?」
「ぐぬぬ…置いてくる!」
「ほほ。待ってます。」


何故ばれたんだ!黒ジィは準備してる時に監視でもしていたのか!?
必要が無いと分かっていても、手元に置いておきたかったのに。


「あ、ソラヤ。枕もだぞ?」
「…はい。」
「兄らしいな。」
「そうね。」






結局、出発前に持ち物チェックをして、残ったのは着替えだけだった。
栄ネェは主に料理道具と着替え、豪ニィは数日分の食料と着替え。
黒ジィは時計が数個とノートとペンだけ。
皆んなの方が、現実的…異世界的な準備だった。




そして暫く帰らない家の鍵を閉めて、僕達は昨日歩いた道を歩き出した。
ゴブリンを倒し、オークを倒し、ミノタウルスを倒して、昨日の猪が出現した所まで戻ってきた。
道中は苦労する事も無く、サクサク倒してすすんでいく。


「昨日のボアが出たのは、この辺りですな…だな。」
「え、エイリ…。突然出て来るかもしれないから、俺の後ろに。」
「あ、ありがとう……豪。」
「普通に読んでもそれなの?」
「いや、ははは。」
「まぁ、ははは。」
「行きはぴったりだな。父さん、母さん。」
「「うっっ!」」
「お父さんとお母さんが、仲良いのは良い事だよ?」
「「はぅ。」」


2人の反応が面白い事になってる。
初々しいが12年続いてるって言えばいいか…それで納得してくれるのかなぁ。




しかし、進んでも昨日出てきたボアは出てこない。
出てきてくれないと、食料確保出来ないから困るんだけど。


―ガサガサ。


「お。何か動いた。」
『グルゥ?』
「ほほ。狼ですな。」
「なんだ狼か…クロイ、コレって食べれるかな?」
『グルゥ!?』
「あ、にげた。で、どうなの?」
「食べるとは聞いた事が、ありませんね。」


いつでも走り出せるようにしていたけど、食べれないなら追いかけなくていいや。
別に戦闘狂って訳じゃないから、逃げるなら追う必要もない。


「でも、狼がいるなら他の動物もきっといるんだろうな。」
「あーそうだね。獲物がいなきゃここにはいないか。」
「もしかしたら、獣人を食べてる可能性も。魔物なわけだし。」
「確かにお父さんの言う通りかもね。」
「っ!」
「どうかした?お父さん?」
「っぐ。いや、何でもない…ぞ。」


何でもないなら、そっとしておこう。
まだ色々と慣れないんだろうって事で。




何も現れないまま、広い所に出たので休憩をする。
燃えそうなものを集めて、クロイに魔法で火をつけてもらう。


「ここに来て何にも出ないなんてなぁ〜」
「母さん、食料はまだあるんでしょ?」
「え、ええ。3〜4日は大丈夫よ。」
「なら食料はいいとして、魔物が出ないからLvも中々上がらないね。」
「今はLv8か。あとどれくらいあるのでしょう…上がるんだ?」
「いつもの感じだと、もうすぐ上がると思うんだけどね。」


―カサッ。


「ん?何かがいるな。」
「兄さんどうしたの?」
「ほほ。先程の狼が仲間を連れて来たみたいだ。」


―カサッ、カサッ、カサッ。
―カサッ。


『グルゥゥゥ…。』
「4匹か。向かっているなら、食べれなくても容赦しないよ?」
「ほほ。丸焦げにしてやる。」
「お父さん、お母さんを守って!クロイ魔法で牽制!僕が前に出る。」
「お、お母さんは任せとけ!」
「エイリでいいてば〜」
「ほら2人とも来るよ!」


さっき逃した狼が仲間を連れて、戻って来たみたいだった。
僕達は四方を囲まれて威嚇されている。
もしかしたら、この周辺や狼しかいないから、何も出てこなかったのかもしれない。
面倒な事になるなら、さっき一匹の時に倒しておけばよかった。


片方に石を投げて、狼の注意をひこうとした。


―ビュン!ズパァァン!




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《ウルフLv10を倒した。12(50)の経験値を得た。》


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『『『グルゥ!?』』』
「あれ〜?そんな本気で投げてないんだけど。」




ま、数が減ったなら、それでいいか。次にいこう。


「兄さん、魔法で牽制して。僕はもう2匹を、もれた敵は父さんよろしく!」
「ええ。では参りましょう。水弾ウォーター、2つ!」
「僕はとにかく動いて相手を引きつける。」


―ザパァ、ザパァ。


『グル!』
「おっと。」
『ガゥ!』
「よっと。」
『がルゥ!」
「あ〜3匹も鬱陶しい!てや!」


『ガァ……。』




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《ウルフLv10を倒した。12(50)の経験値を得た。》


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「ん?あれ?」
「さすがはソラヤだ。俺も負けてられないな。セイ!」


―ビュン、ザパァ!ザパァ!


『グッ…。』




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《ウルフLv10を倒した。12(50)の経験値を得た。》


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「いや、まさか…。」
「ほほ。牽制のつもりでしたが。」
「あと一匹かって…あれ?」
「ソラヤ!あそこだ。」


あれ、また逃げるのか…。
まぁ3匹を目に前で瞬殺だから、逃げるのはある意味正解なのかな?
こにまま逃して、また仲間を連れて来てもらっても困るから。


「逃がさないけど…ね!」
『ガァ!?』
「やぁ、狼さん。悪いけど今度は逃がさないから。テイ!」




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《ウルフLv10を倒した。12(50)の経験値を得た。》
―ソラヤはLv8→Lv9になった。5ポイント獲得。


―ゴウはLv8→Lv9になった。5ポイント獲得。


―クロイはLv8→Lv9になった。5ポイント獲得。
―クロイは魔法【水魔法Lv3】になった。


―エイリはLv8→Lv9になった。5ポイント獲得。


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「ん〜なんだか。」
「物足りなさがありましたね。」
「2人ともLvも上がったからでは?」
「そうそう、空ちゃんは今更だし。黒…クロイもINTだけなら、凄いわけだし。」
「「あぁ…なんか納得。」」


言われてみれば、僕自身は置いておいて。
黒ジィはINTチートだった。魔法の威力が強いのは変じゃないのか。
さっき2つで当てたし。


Lvが上がったし、まぁいいか。
細かく考えるのは、森を出た後でいい。


よし、切り替えて行こうか。
僕らに旅はまだ始まったばかりだ。

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