無敵のフルフェイス
120話 地に降り立つ四天龍
地龍が何度か穴に落ちる事を繰り返していると、地面が少し盛り上がってきた。
「レブル下がろう。別ルートで進んで来たかも知れない。」
―ズズズ……ボォォォ!!!
大きな火柱が天に登る。地龍は火を使うのか?
「ペッペ!いやー土まみれ。」
「なんだロビーか。」
「なんだロビーか、じゃないわ!初手で洞窟潰すとかどうかしてるわよ!殺す気?」
「あんな狭い所で戦えるわけないじゃん。」
「そりゃそうだけど。」
生き埋めになったであろうロビーは、服についた土を払い髪を整える。
「生き埋めになって生きてるって、貴女なんなの?」
「それを経験したレブルお姉様が言う?」
「私はほら……忍が居たから。」
「貴方こそ何か聞きなるところね。」
「僕は至って普通の人間だよ。」
「っは。人族って?そんだけ魔法が使える人族が居る訳ないじゃない。」
呆れた様子のロビー。ロビーの相手をしていていたが、魔力が上がって来るのを感じて無視して前に立つ。
「邪魔されたから準備する時間なくなった。」
「何よ。私のせい?」
「それ以外いないでしょう。時間もないし、シンプルに行くか。」
地龍がそろりと地上を見る。薄目で何が来てもいいように恐る恐るの感じが、少しだけ可愛く見えてきた。それでも地龍に変わりないから本気で相手をするけど。
「今回は水は……無いな。上からも……無さそうじゃ。」
「……行くよ。グラビティ。」
―ズズズ、ズゥゥン!
「のわ!?突然体が重く!なんのこれしき!ふんぬぅ!」
―バサァ、バサァ、バサァ、バサァ!
必死に翼を動かして穴から出ようとする地龍。出るにまでは至らないが、中々に頑張るね。
「アース・オペレーション。」
「お主、もしかしてそれを?」
「ん?これは投げるようだけど。よい……しょ!」
―ヒュゥ……
それなりの大きさにした岩を、グラビティの中に放り込む。
―ズン!ドカァァン!
「ごふぅ!?って、またぁぁぁぁ……」
―ドシィィン!!!
再び地龍は穴の中に落ちて行く。
「え、えぐいな。」
「相手は地龍だし。少しくらいダメージはハンデだよ。」
「まぁ一度穴に落ちたくらいじゃ奴は平気だろうけどな。」
「ロビー。一度じゃ無いわよ。」
「え?」
「何回目だったかしら。じゅう……」
『今ので15回目です。』
「さっきので15回目だそうよ。」
「じゅ、15回もあれを繰り返してるの!?」
驚く様子のロビー。慌てると言うか、顔が引きつっている。
「もう何度見ても可哀想としか思えなくなってきたわ。」
「そりゃそうよ。体が無事でも、心が折れるわよ。」
「でも地龍は何度も来るよ。」
「アイツ馬鹿だからなぁ……」
地龍をアイツ呼ばわりって、この子本当に何者だ?
そしていよいよネタが無くなったので、穴から魔力を感じても放っておく事にした。
「今回は何も……おかしい。上か!?」
地龍は穴から顔を出しては下げての繰り返し。そしてずっと独り言で自分に語りかけている。
「疑心暗鬼になってるじゃない……。」
「何もしないんだけどな〜もう大丈夫だよって声かけてこようかな。」
「逆効果な気がするけど。」
「このままじゃずっと出てこないかも知れないし。」
僕は穴に近づき地龍の前に立つ。息を吸って……
「もう大丈夫!!何もしないよぉ!!!」
「うぉぉぉ!?」
聞こえやすいように大きな声で伝えたんだけど。地龍はもの凄く驚かれた。そして……
「し、しまった!のわぁぁぁ……」
―ドシィィン!!!
穴に落ちていった。
しばらくして、ようやく地に脚を着けた地龍は安堵の息を吐く。
「この地に脚を着けたのは、いつぶりだろう……」
「5時間ぶりくらいじゃないの?」
「ん?なんだ小娘。我の出迎えか?」
「別にそんなんじゃないわよ。」
「であれば何用だ?我はこれでも忙しい身なのだが。」
「穴に落ちるのに?」
「な!?見ておったのか!ならばあれはお主の仕業か!」
「そんな訳ないでしょう。」
「いや、分からんぞ。お主ならやりかねん。」
地龍と久しい感じのロビー。完全に僕らの事は見えていないのだろうか。
そしてロビーが何も言わず僕らに指を差す。
「そっちに何が……ん?人族?いや、魔族か。」
「僕らは人間だから。」
「そんな身なりに、ふざけた魔力を持った人族がいる訳なかろう。」
「そんな事言われましても。」
「ん?なんぞ、お主の声聞いた事があるのう。」
「初めましてだと思うけど。」
「どこだったか……うーむ。」
地龍が首を捻り考え込む。何を思い出そうとしても、僕は会った事ないんだけど。
「そんな昔に聞いたみたいな事言ってるけど。貴方が声にビビって落ちた時でしょ。」
「我はビビってなんぞ……こほん。我を穴に何度も落とした犯人はお主か?」
「犯人って。まぁ僕がやった事だけど。」
「…………。」
じっと僕を見て目を潜める地龍。怒ってたみたいだし、このまま戦闘かな。
「レブル準備を。」
「いつでもいいわ。」
「アイさん。」
『エリアコントロール、マッスルレインフォース、ポスチャーコントロール……リンク。』
不意打ちでもしっかり対応出来るように、強化を掛け直し武器に手を乗せる。
「む?魔力がまた膨らんだな。お主ら我と剣を交えるつもりか?」
「そのつもりでここまで来たつもりだけど。」
地龍が横にいたロビーに視線を向ける。
「狙いはこれか?」
「何の事でしょう?」
「昔からお主の暇潰しに我を使うのは、止めろと言っているだろう。我に戦う理由なんぞ無いぞ?」
「貴方に無くてもこっちにはあるのよ。」
話を終えた地龍がこっちに向き直る。
「人族の子よ。我を四天龍が1人。地龍トパーズマーガレットと知っても尚、戦いを挑むのか?我と戦う理由があるのか?」
「理由なんだっけ?まぁ強い者がいれば戦ってみるのは、冒険者として当然かなって。」
「強者と闘いたいか……面白い。ルビーローズの暇潰しとやらに乗ってやろう!」
翼を広げ、戦闘態勢の地龍。なんか色々と気になるところと分からない事が増えたけど、今はこの戦いを……
「楽しもう!行くよレブル!」
「ええ!」
僕らは剣を抜いた。
「レブル下がろう。別ルートで進んで来たかも知れない。」
―ズズズ……ボォォォ!!!
大きな火柱が天に登る。地龍は火を使うのか?
「ペッペ!いやー土まみれ。」
「なんだロビーか。」
「なんだロビーか、じゃないわ!初手で洞窟潰すとかどうかしてるわよ!殺す気?」
「あんな狭い所で戦えるわけないじゃん。」
「そりゃそうだけど。」
生き埋めになったであろうロビーは、服についた土を払い髪を整える。
「生き埋めになって生きてるって、貴女なんなの?」
「それを経験したレブルお姉様が言う?」
「私はほら……忍が居たから。」
「貴方こそ何か聞きなるところね。」
「僕は至って普通の人間だよ。」
「っは。人族って?そんだけ魔法が使える人族が居る訳ないじゃない。」
呆れた様子のロビー。ロビーの相手をしていていたが、魔力が上がって来るのを感じて無視して前に立つ。
「邪魔されたから準備する時間なくなった。」
「何よ。私のせい?」
「それ以外いないでしょう。時間もないし、シンプルに行くか。」
地龍がそろりと地上を見る。薄目で何が来てもいいように恐る恐るの感じが、少しだけ可愛く見えてきた。それでも地龍に変わりないから本気で相手をするけど。
「今回は水は……無いな。上からも……無さそうじゃ。」
「……行くよ。グラビティ。」
―ズズズ、ズゥゥン!
「のわ!?突然体が重く!なんのこれしき!ふんぬぅ!」
―バサァ、バサァ、バサァ、バサァ!
必死に翼を動かして穴から出ようとする地龍。出るにまでは至らないが、中々に頑張るね。
「アース・オペレーション。」
「お主、もしかしてそれを?」
「ん?これは投げるようだけど。よい……しょ!」
―ヒュゥ……
それなりの大きさにした岩を、グラビティの中に放り込む。
―ズン!ドカァァン!
「ごふぅ!?って、またぁぁぁぁ……」
―ドシィィン!!!
再び地龍は穴の中に落ちて行く。
「え、えぐいな。」
「相手は地龍だし。少しくらいダメージはハンデだよ。」
「まぁ一度穴に落ちたくらいじゃ奴は平気だろうけどな。」
「ロビー。一度じゃ無いわよ。」
「え?」
「何回目だったかしら。じゅう……」
『今ので15回目です。』
「さっきので15回目だそうよ。」
「じゅ、15回もあれを繰り返してるの!?」
驚く様子のロビー。慌てると言うか、顔が引きつっている。
「もう何度見ても可哀想としか思えなくなってきたわ。」
「そりゃそうよ。体が無事でも、心が折れるわよ。」
「でも地龍は何度も来るよ。」
「アイツ馬鹿だからなぁ……」
地龍をアイツ呼ばわりって、この子本当に何者だ?
そしていよいよネタが無くなったので、穴から魔力を感じても放っておく事にした。
「今回は何も……おかしい。上か!?」
地龍は穴から顔を出しては下げての繰り返し。そしてずっと独り言で自分に語りかけている。
「疑心暗鬼になってるじゃない……。」
「何もしないんだけどな〜もう大丈夫だよって声かけてこようかな。」
「逆効果な気がするけど。」
「このままじゃずっと出てこないかも知れないし。」
僕は穴に近づき地龍の前に立つ。息を吸って……
「もう大丈夫!!何もしないよぉ!!!」
「うぉぉぉ!?」
聞こえやすいように大きな声で伝えたんだけど。地龍はもの凄く驚かれた。そして……
「し、しまった!のわぁぁぁ……」
―ドシィィン!!!
穴に落ちていった。
しばらくして、ようやく地に脚を着けた地龍は安堵の息を吐く。
「この地に脚を着けたのは、いつぶりだろう……」
「5時間ぶりくらいじゃないの?」
「ん?なんだ小娘。我の出迎えか?」
「別にそんなんじゃないわよ。」
「であれば何用だ?我はこれでも忙しい身なのだが。」
「穴に落ちるのに?」
「な!?見ておったのか!ならばあれはお主の仕業か!」
「そんな訳ないでしょう。」
「いや、分からんぞ。お主ならやりかねん。」
地龍と久しい感じのロビー。完全に僕らの事は見えていないのだろうか。
そしてロビーが何も言わず僕らに指を差す。
「そっちに何が……ん?人族?いや、魔族か。」
「僕らは人間だから。」
「そんな身なりに、ふざけた魔力を持った人族がいる訳なかろう。」
「そんな事言われましても。」
「ん?なんぞ、お主の声聞いた事があるのう。」
「初めましてだと思うけど。」
「どこだったか……うーむ。」
地龍が首を捻り考え込む。何を思い出そうとしても、僕は会った事ないんだけど。
「そんな昔に聞いたみたいな事言ってるけど。貴方が声にビビって落ちた時でしょ。」
「我はビビってなんぞ……こほん。我を穴に何度も落とした犯人はお主か?」
「犯人って。まぁ僕がやった事だけど。」
「…………。」
じっと僕を見て目を潜める地龍。怒ってたみたいだし、このまま戦闘かな。
「レブル準備を。」
「いつでもいいわ。」
「アイさん。」
『エリアコントロール、マッスルレインフォース、ポスチャーコントロール……リンク。』
不意打ちでもしっかり対応出来るように、強化を掛け直し武器に手を乗せる。
「む?魔力がまた膨らんだな。お主ら我と剣を交えるつもりか?」
「そのつもりでここまで来たつもりだけど。」
地龍が横にいたロビーに視線を向ける。
「狙いはこれか?」
「何の事でしょう?」
「昔からお主の暇潰しに我を使うのは、止めろと言っているだろう。我に戦う理由なんぞ無いぞ?」
「貴方に無くてもこっちにはあるのよ。」
話を終えた地龍がこっちに向き直る。
「人族の子よ。我を四天龍が1人。地龍トパーズマーガレットと知っても尚、戦いを挑むのか?我と戦う理由があるのか?」
「理由なんだっけ?まぁ強い者がいれば戦ってみるのは、冒険者として当然かなって。」
「強者と闘いたいか……面白い。ルビーローズの暇潰しとやらに乗ってやろう!」
翼を広げ、戦闘態勢の地龍。なんか色々と気になるところと分からない事が増えたけど、今はこの戦いを……
「楽しもう!行くよレブル!」
「ええ!」
僕らは剣を抜いた。
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