無敵のフルフェイス

ノベルバユーザー458883

111話 7人の騎士。

 地龍が復活するかも知れない。何でも夕方にあったらしい地震がその予兆との事。
 レブルが言っていたから、地震はあったと思う。そう思うのは僕自身は地震を感じなかったから。


「レブルが絶好調ではないから、ラストラ達も呼んだ方がいいかな?」
「でも地震って忍が原因……」
「え?なんだって?」
「いや、本当に地龍が復活するのかなって。」
「どうだろうね。どっちでもいいように準備はしておこう。」
「そうね。」


 情報収集を踏まえて、1度宿に戻る事にした。


「おや?ずいぶん早いお帰りだね。」
「当面の目的が決まりましたので。それに彼女を歩き回らせるのも……ね。」
「忍……」
「お昼前だって言うのにお熱い事で。」


 女将さんが何か言っているけど、僕らの耳には入ってこない。


「おほん!とりあえず目的ってなんだい?手伝えそうな事はあるかい?」
「目的は今噂の地龍討伐ですね。助けと言うか、仲間も呼びたいんですが、後5人追加で出来ますか?」
「みんな連れてくるの?」
「レブルの調子も良くないし、ラストラは必要かなって。そしたらアマンも来るし、それならみんな着いて来るでしょ?」
「まぁそうね。」


 レブルも納得してくれたし、早速みんなを迎えに行こうか。


「仲間が向かっているのかい?」
「いえ、呼んでくるんです。なので少し空けます。」
「ん?あぁ……でもどうやって?」
「忍まさか……」
「トランステレポート。」


 思いたったら即行動。


「忍……もうわざとやってるのよね?」
「何が?」
「まぁ良いけど。」


 レブルが何を言ってるのか分からない。


 で、ラストラの家のリビングに転移した。


「ほらね。待ってれば来るって。」
「やっぱり来るのは夜なんだな……」
「あ、ごめん。向こうは昼間なんだよ。」
「まぁだと思って、たくさん寝といたから大丈夫だ。」


 準備は出来ているって感じの2人は、自分の部屋に行って着替えてくる一度別れた。
 2人の代わりに降りてきたハイヤーに大体の話を説明する。


「地龍ですか。これはまた面白そうな話題です。」
「ハイヤーもそう思う?」
「地震と言うところが気になりますが、調べる価値はあるかと思います。」
「もし戦闘ってなると右手は大丈夫?」
「全然。戦いも支障は出ないよう調整しました。」


 右手を見つめ魔力を少しだけ流すハイヤー。


「こっから先は実演でお見せしましょう。」
「頼りにしてるよ。」
「ところで、エストさんとゾンさんは?」
「これから向かおうと思う。」
「それであれば先にお二人の所へ。あちらも準備があるかも知れませんし。」
「そうだね。行こうかレブル。」
「えぇ。」


 手を振りハイヤーに見送られて、僕とレブルはお城の中に転移する。




「きゃっ……むぐ。」
「大丈夫シノブだ。」
「むぐぐ。」
「やぁ、こんばんは。向こうでやる事が出来たんだけど、2人はどうかな?」
「むぐ。むぐぐ〜」


 何かを言いたげなエスト。


「ゾン。その手を離さないとエストが話せないわ。」
「そうか。すまん。」
「ふはっ。シノブさんここは王都のお城よ?いきなり転移しちゃダメでしょう?」
「2人の魔力は探知して、近いとこに飛んできても?」
「そもそも!転移魔法はあまり知られない方が良いんじゃ無いの?」
「今は目立つ方が良いから。」
「それは向こうで。でしょ?人間界に来るのに気にしなくてどうするのよ。」
「あ。」


 そうか!レブルがさっき言っていた事はこれか!


「ようやくレブルの言った事が理解できたよ。」
「忍が理解してくれて嬉しいわ。」
「今に始まった事じゃ無いけど。で、目的があるのよね。行きましょう。」
「2人とも準備はいいの?」
「俺は特にない。必要な物はほぼシノブが持っているしな。」
「私も剣があれば。」
「じゃ、行こう。トランステレポート。」


 特に部屋に戻って準備が必要ないって事で、4人でラストラの家に転移した。






「さっきの話……本当に理解した?」
「え?何が?」
「まぁ良いけど……ってさっきと同じ話ね。」
「さっきと同じ……そうか!また気にせず転移してた!」


 ついついやってしまうな。これはもう僕1人じゃどうしようもない。


「てな訳で、アイさん。転移魔法に対して制限出来る?」
『可能と言えば可能ですが。制限の度合いやタイミングが難しいかと。魔法発動の意思確認を一度忍様にお聞きするのであれば、魔法干渉して1度発動を止める。もしくは発動を消し去るかになってしまいます。』
「そこまでしてもらう方が良いのかな?」
『私個人としてはお勧め致しません。とっさの判断が狂えばもしもの時を考えると……』


 結局は自分で気をつけるしかないって事か。いつもアイさんには甘えてばかりだから、これは自分がしっかりしないとね!


「待たせた。」
「準備出来たっす。」
「それじゃ……はい、みんな分。」


 机の上に色とりどりのフルフェイスが並ぶ。


「これは覚えてんだな……」


 僕はみんなが装備したのを見てから、元の魔界の宿へ転移した。






「ただいま戻りました。」
「…………転移魔法の使い手がいたんだねぇ。」
「あ。」
「「「…………。」」」


 もういいや!諦めよう!僕は僕らしく生きるんだ!


「さぁ早速会議といこうか。」
「話を切り換えたわね。」
「……ごめんなさい。」
「過ぎた事よ。忍が良いなら私も気にしないわ。」
「うん!もう気にしない!」


 僕の発言にみんなの視線が集まった気がしたが、フルフェイスで目線までは分からない。
 他にも視線を感じるけど、今は地龍の話をしよう。


「女将さん。席借りても良いですか?」
「7人の騎士様が集まると圧巻だね。出来れば1番奥に座っておくれ。入口に居たら客がびびって逃げてっちゃうわ。」
「ははは、奥にですね。了解です。」


 奥に座って話をしていたが、入ってくるお客が見るたびビクつく。そんな威圧感は出してないんだけどなぁ。



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