無敵のフルフェイス
89話 1番偉い人?①
王都内で突然の突風はとくに大きな問題にならなかった。不思議に思う住人は居たが、王女様と勇者様が居たと分かるとみんな気にせず元の生活に戻っていった。
「さっきの出来事でも動じないって……王都は凄いところね。」
「あんな事態があっても兵士1人として来ないのってどうなの?」
「そんな凄いことしてないって事だよ。」
「「「「そんな事はない。」」」」
女性陣全員に突っ込まれた。
「俺も負けてられないな。」
「ココロは絶対この馬車から降りない事。いいわね?」
「俺が一体何をしたって言うんだ。なぁキャリパー?」
「住宅を3棟破壊したり、中央の噴水が無くなったりくらいですかね。」
「「うわぁ……」」
「その点で言えば、僕は何も壊してないよ?」
「「「「ソウデスネー」」」」
なんか女性陣の一体感が凄い。僕と勇者はただ首を傾げるだけ。
「このまま止まっていてもしょうがないし。もう私が動かすわね。」
「ごめんねハーネス。」
「いいのよ。他に出来そうな人は……」
「私は出来るわよ。」
「エストはダメでしょう。一応お姫様なのよ?」
「レブルも一応って言うのね。」
「別に今更……ね。あ、馬車は多少の心得ならあるけど。二頭を扱ったりはした事ないわ。
「あ、僕も馬車は扱わないから。馬車や馬使うより走った方が速いし。」
「……レブルさん少し教えるわ。一緒に前に行かない?」
「お願いするわ。」
そして馬車の従者いない現状も、ハーネスさんが代わりにやってくれる事で解消。勇者の従者として最低減の嗜みは学んでいるようだ。馬を扱えるレブルも一緒に前に座って教わるらしい。
そして馬車は走り出した。
「さっきより乗り心地が良いね。」
「ハーネスはなんでも器用にこなすから。実際は私が外出する時は任せる事も多いし。」
「へ〜意外だな。なんか面倒そうな事は嫌いそうなのに。」
「それは間違いではないけど。馬車に関してはこの任務に就いてから覚えたみたいよ。」
ハーネスさんが覚えるって事は、あったら便利って事なんだろうな。
「やっぱり出来た方がいいのかな。どう思うエスト。」
「シノブさんは無理に覚える必要もないわよ…………なんか馬車じゃなくなりそうだし。」
「ん?何だって?」
「何でもないわ。それにいつもはアマン達がいるし、みんなを守る事はシノブさんに任せたいわ。」
「そう?それならみんなに任せようかな。」
「「(馬車じゃなくなるって……)」」
何か聞きたそうにちらちら見てくるけど、尋ねてこないって事は聞かない方がいいのだろう。
その後は何事もなくお城までやってきた。
「止まれ!これより先は一般の……ハーネス殿?」
「みんなただいま〜」
門番に止められたが、ハーネスさんを見て警戒を緩める。
「王様に会いたいんだ。取り次いでくれる?」
「は!確認してきます!」
そう言うと門番の1人は駆け足で城へと入って行く。
「こう言うのって、王女様が言うものじゃないの?」
「別にハーネスでも平気よ。勇者の指南役って肩書は、王国騎士長くらいの権限はあるし。それにハーネスがいるなら、私や勇者様もいるって事だからね。」
「あー知っている人間はそれでいいのか。」
この王都に来てるから警備に対して、少しだけゆるい気がするけど。だからお城の近くの街に悪い事する人がいる訳で。それならラストラの家の方が警護レベルでは上な気もする。
「お待たせ致しました!伝えて参りました。ご案内は如何いたしましょう?」
「案内は私がするわありがとう。じゃ、みんな行きましょう。」
勇者様が先に降りてキャリパーさんに手を差し出す。
「ありがとうございます勇者様。」
「いえ。」
はーこう言うところはさすがの勇者だな。
王女様が降りたのを見て僕は立ち上がる。意図を察しない勇者様は僕に手を差し伸べる。なんで?
「いや、僕は大丈夫ですよ。キャリパーさんをエスコートして下さい。」
「そうですか。分かりました。」
「はぁぁココロ……」
それを見たハーネスさんが、ため息混じりに言葉を漏らす。
「では……どうぞ。」
「エスト先に降りなさい。」
「え?私から?」
「ここはお城で、貴女はお姫様なのよ?」
「そうだった。」
お城に近づくにつれてエストがお姫様らしくなくなってくる。少しからかいすぎただろうか?
「レブルも。」
「ありがとう。」
エストの後にレブルの手を取り馬車から降りる。
「ふふ。両手に花ね。」
「そうですね。」
「あら?動じないのね。」
「ハーネスさんがからかっているのは分かってますから。」
「つまらないわ……お花の方はいい反応だから、これで満足しておこうかしら。」
お花の方?レブルは顔逸らしているけど、耳が少し赤い。エストの方は……
「花の反応?少しはお姫様らしく出来ているかしら?」
エストはいつも通りだ。まぁ僕よりゾンにそうして欲しいからだろうけど。
「じゃ行くわよ〜」
ハーネスさんを先頭に勇者とお姫様が歩き出す。僕も2人の手を取り、ゆっくりと歩き出す。
「……ココロしっかりエスコートするのよ。」
「分かっている。あまり子供扱いしないで欲しい。」
「それはシノブみたいに様になったらね。」
「僕?」
「そう。歩くスピードも手を添えるのもだし、普段から意識してるって感じがするもの。」
「エスコートってこう言うもんなんじゃ?」
「それが自然に出来る人は残念ながら少ないのよ。」
「大丈夫だ。俺は出来る。」
僕の方を見て手の高さを変えて、再び歩き始める。
ハーネスさんが大きな扉の前で立ち止まる。なんか王様います!って感じの扉だ。ハルバートを持った兵士が門の前で構える。
「お止まり下さい。此処より先は国王の間。武器等の帯刀は御遠慮お願いしたく。」
「ですって。ココロも武器を渡して頂戴。」
「分かった。」
ハーネスさんと勇者が武器を兵士へと渡す。勇者の剣もダメなんだね。じゃ、僕達もしまうか。
「2人とも一旦僕が預かるよ。」
「お願いするわ。」
「はいどうぞ。これって意味があるのかしら?」
「コレクト。よいしょっと。これでいいですか?」
「……え?あ、ん?帯刀はしてないからいいのか?あれこの場合は……」
「私が許可をしましょう。空間魔法は珍しいけど、国王の間は魔法封じがあるのですし。」
「キャリパー姫様が、仰って頂けるのであれば。ではご案内致します。」
大きなドアが少しずつ開き、中から眩しい光に思わず目を細める。
「来たか……」
「あれが国王……」
背面のステンドグラスから日差しが刺し、逆光からかその姿は確認しづらい。声は低く貫禄のある感じがする。リアル王様は一体どんな人なんだ……。
「さっきの出来事でも動じないって……王都は凄いところね。」
「あんな事態があっても兵士1人として来ないのってどうなの?」
「そんな凄いことしてないって事だよ。」
「「「「そんな事はない。」」」」
女性陣全員に突っ込まれた。
「俺も負けてられないな。」
「ココロは絶対この馬車から降りない事。いいわね?」
「俺が一体何をしたって言うんだ。なぁキャリパー?」
「住宅を3棟破壊したり、中央の噴水が無くなったりくらいですかね。」
「「うわぁ……」」
「その点で言えば、僕は何も壊してないよ?」
「「「「ソウデスネー」」」」
なんか女性陣の一体感が凄い。僕と勇者はただ首を傾げるだけ。
「このまま止まっていてもしょうがないし。もう私が動かすわね。」
「ごめんねハーネス。」
「いいのよ。他に出来そうな人は……」
「私は出来るわよ。」
「エストはダメでしょう。一応お姫様なのよ?」
「レブルも一応って言うのね。」
「別に今更……ね。あ、馬車は多少の心得ならあるけど。二頭を扱ったりはした事ないわ。
「あ、僕も馬車は扱わないから。馬車や馬使うより走った方が速いし。」
「……レブルさん少し教えるわ。一緒に前に行かない?」
「お願いするわ。」
そして馬車の従者いない現状も、ハーネスさんが代わりにやってくれる事で解消。勇者の従者として最低減の嗜みは学んでいるようだ。馬を扱えるレブルも一緒に前に座って教わるらしい。
そして馬車は走り出した。
「さっきより乗り心地が良いね。」
「ハーネスはなんでも器用にこなすから。実際は私が外出する時は任せる事も多いし。」
「へ〜意外だな。なんか面倒そうな事は嫌いそうなのに。」
「それは間違いではないけど。馬車に関してはこの任務に就いてから覚えたみたいよ。」
ハーネスさんが覚えるって事は、あったら便利って事なんだろうな。
「やっぱり出来た方がいいのかな。どう思うエスト。」
「シノブさんは無理に覚える必要もないわよ…………なんか馬車じゃなくなりそうだし。」
「ん?何だって?」
「何でもないわ。それにいつもはアマン達がいるし、みんなを守る事はシノブさんに任せたいわ。」
「そう?それならみんなに任せようかな。」
「「(馬車じゃなくなるって……)」」
何か聞きたそうにちらちら見てくるけど、尋ねてこないって事は聞かない方がいいのだろう。
その後は何事もなくお城までやってきた。
「止まれ!これより先は一般の……ハーネス殿?」
「みんなただいま〜」
門番に止められたが、ハーネスさんを見て警戒を緩める。
「王様に会いたいんだ。取り次いでくれる?」
「は!確認してきます!」
そう言うと門番の1人は駆け足で城へと入って行く。
「こう言うのって、王女様が言うものじゃないの?」
「別にハーネスでも平気よ。勇者の指南役って肩書は、王国騎士長くらいの権限はあるし。それにハーネスがいるなら、私や勇者様もいるって事だからね。」
「あー知っている人間はそれでいいのか。」
この王都に来てるから警備に対して、少しだけゆるい気がするけど。だからお城の近くの街に悪い事する人がいる訳で。それならラストラの家の方が警護レベルでは上な気もする。
「お待たせ致しました!伝えて参りました。ご案内は如何いたしましょう?」
「案内は私がするわありがとう。じゃ、みんな行きましょう。」
勇者様が先に降りてキャリパーさんに手を差し出す。
「ありがとうございます勇者様。」
「いえ。」
はーこう言うところはさすがの勇者だな。
王女様が降りたのを見て僕は立ち上がる。意図を察しない勇者様は僕に手を差し伸べる。なんで?
「いや、僕は大丈夫ですよ。キャリパーさんをエスコートして下さい。」
「そうですか。分かりました。」
「はぁぁココロ……」
それを見たハーネスさんが、ため息混じりに言葉を漏らす。
「では……どうぞ。」
「エスト先に降りなさい。」
「え?私から?」
「ここはお城で、貴女はお姫様なのよ?」
「そうだった。」
お城に近づくにつれてエストがお姫様らしくなくなってくる。少しからかいすぎただろうか?
「レブルも。」
「ありがとう。」
エストの後にレブルの手を取り馬車から降りる。
「ふふ。両手に花ね。」
「そうですね。」
「あら?動じないのね。」
「ハーネスさんがからかっているのは分かってますから。」
「つまらないわ……お花の方はいい反応だから、これで満足しておこうかしら。」
お花の方?レブルは顔逸らしているけど、耳が少し赤い。エストの方は……
「花の反応?少しはお姫様らしく出来ているかしら?」
エストはいつも通りだ。まぁ僕よりゾンにそうして欲しいからだろうけど。
「じゃ行くわよ〜」
ハーネスさんを先頭に勇者とお姫様が歩き出す。僕も2人の手を取り、ゆっくりと歩き出す。
「……ココロしっかりエスコートするのよ。」
「分かっている。あまり子供扱いしないで欲しい。」
「それはシノブみたいに様になったらね。」
「僕?」
「そう。歩くスピードも手を添えるのもだし、普段から意識してるって感じがするもの。」
「エスコートってこう言うもんなんじゃ?」
「それが自然に出来る人は残念ながら少ないのよ。」
「大丈夫だ。俺は出来る。」
僕の方を見て手の高さを変えて、再び歩き始める。
ハーネスさんが大きな扉の前で立ち止まる。なんか王様います!って感じの扉だ。ハルバートを持った兵士が門の前で構える。
「お止まり下さい。此処より先は国王の間。武器等の帯刀は御遠慮お願いしたく。」
「ですって。ココロも武器を渡して頂戴。」
「分かった。」
ハーネスさんと勇者が武器を兵士へと渡す。勇者の剣もダメなんだね。じゃ、僕達もしまうか。
「2人とも一旦僕が預かるよ。」
「お願いするわ。」
「はいどうぞ。これって意味があるのかしら?」
「コレクト。よいしょっと。これでいいですか?」
「……え?あ、ん?帯刀はしてないからいいのか?あれこの場合は……」
「私が許可をしましょう。空間魔法は珍しいけど、国王の間は魔法封じがあるのですし。」
「キャリパー姫様が、仰って頂けるのであれば。ではご案内致します。」
大きなドアが少しずつ開き、中から眩しい光に思わず目を細める。
「来たか……」
「あれが国王……」
背面のステンドグラスから日差しが刺し、逆光からかその姿は確認しづらい。声は低く貫禄のある感じがする。リアル王様は一体どんな人なんだ……。
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