無敵のフルフェイス

ノベルバユーザー458883

85話 警護システムの洗礼①

 翌日に今度はみんな呼ばれて作戦会議が行われた。


「昨日の今日ではありますが、情報が入ってきたので皆様に共有をします。」
「もう情報が集まったんですか?早いですね。」
「彼らの動きは気にしていましたしね。」
「何の話?」
「金ピカ騎士団の事。」
「あー……」


 それを聞いたエスト達は察してくれたようだ。


「結果的に彼らは何か目的をつけて暴れたいようです。魔族討伐に関しては、やはり国王様が王都を守るよう指示を出していました。」
「あの人は何年経っても相変わらずなのね。」
「エスト様は国王様に会われるのですか?」
「まぁ何度か顔を合わせるわね……」


 エストの答えを聞いて周りがざわつき出す。


「どうかした?」
「国王様と何度も会える事なんて、普通はあり得ないので驚いているだけかと。」
「たまに顔を見せに行かないといけない時があるのよ。まぁ少し顔を出したら帰るけど。」


 また周りがざわざわし始める。


「別に会っても話したりはしないわよ。いつもは王都に長期滞在もしないし。顔見せたらさっさと帰るわ。」
「エスト様は国王様とどの様な繋がりが?」
「ん?金ピカ兵士が街に来た理由調べたんじゃ?」
「はい。重症重要な人物を探していると報告はあります。」
「別に私は全然重要じゃないわよ。」
「え?もしかしてあの兵士が探している重要な人物って……」
「さぁ分からないわ。聞き出す前にシノブさんとレブルが倒したし。」
「「なんかすいません。」」


 僕とレブルは思わず頭を下げる。


「別にいいわよ。きっとそれもお父様が命令でもしたのでしょう。」
「お父様が命令?」
「あれ?言ってなかったでした?エストはこう見えて王族ですよ。」
「シノブさん……こう見えては余計よ。」


 ―ザザ!


「数々の無礼、申し訳ございません!」
「「「申し訳ございません!」」」
「エストって凄いんだね〜」
「良かったわね。みんなちゃんと王族として扱ってくれているわよ。」
「別に良かったとかはないわ。」
「皆さんそんな畏まらなくても大丈夫ですよ。」
「それシノブさんが言うの?」


 エストが王族だと分かるとリアさん含めて、全員が跪き頭を下げる。王族扱いされて少しにやけるエスト。でも話が進まなくなるから、畏まらない様にみんなに伝えておく。


 ―コンコン。


「奥様、ご来客予定の確認に参りました。」
「いいですよ。僕らは気にせず。」
「ありがとうございます。入りなさい。」
「失礼しま……す?」


 全員が跪くこの状況に疑問に思うメイドさん。


「気にせず話して。」
「失礼します。先方に予定を伝えたところ、もっと早められないのかとお問い合わせを受けました。」
「それでは当日会いましょう。来られればですが……。」
「畏まりました。それではルールの説明をします。」


 頭を下げてメイドさんが退出した。


「皆は席に着きなさい。シノブ様も是非お席に、これから上映会です。爺、例の物を。」
「こちらに。」
「何が始まるんですか?」
「見ていただければ分かりますよ。それでは……ミラースクリーン!」


 リアさんの手の中にある何かが光りだす。するとリアさんの後ろに何かの映像が流れる。


 ♦︎


「ルールは以上となります。皆様のご武運を祈ります。」


 ―ギィィ……


 さっきのメイドさんの声が聞こえたかと思うと、門が開き始めた。


「それでは我々が先頭をいきま……がふぅ!?」
「どうした!何があっ……がは!?」


 中に足を踏み込んだ者から、警護システムによって倒れて行く。


「あれ?昨日の金ピカ騎士団じゃないか。」


 その兵士を回収してこれで終わりに見えたが、奥の方から1人の男が出てくる。


「俺が行きましょう。あんな魔法打ち砕いてやりますよ。」
「いってらっしゃい〜骨は拾ってあげるわ。」


 武道家の方だけど、魔法を打ち砕くって何をするんだろう。


 ―キラ……ギュゥン!


「そんな真っ直ぐな攻撃!うらぁぁ!」


 ―パァァン!


 まっすぐ向かって来る魔法を拳で打ち砕いてみせた男。


「成る程据え置きタイプの警護システムだから、軌道が分かれば魔法はおとせるのか。」
「シノブ様。彼は簡単に行なっていますが、並みの努力ではあそこまで出来ません。」
「そう?セローは殴ってはいないけど、やった事はそれに近いよね?」
「私ですか?そうですね〜軌道もだけど、魔力を集めるからそれだけでも気づけましたけど。」
「参考になります!次はその部分の改良を……」


 僕らの話をラストラが熱心に書き込む。1番前の席にきて、そのままじっと画面を見始める。


「見たか!骨なんて拾ってもらう必要はない!」
「いちいちこっちにアピールしなくていいから。それよりそのまま立っているのは……」
「これからは俺の、がはぁ!?」
「危ないわよ。」
「もっと……早く教えて……がく。」


 お威勢の良かった男が、反対側からの攻撃をもろに食らって倒れた。


「余裕見せて突っ立ってる方が悪いわ。」
「姉さん厳しいですね。次は……行きますか?」
「私は嫌よ。見たところ光属性の魔法でしょう?一つ二つなら回避出来るけど、奥を見る限り私には無理ね。」
「姉さんが無理なら後は……」


 ―カツ……カツ……カツ……


 兵士が道を開けて、真ん中をゆっくり歩いて来る人物。


「っげ。」
「うわぁあの人ですか。」


 画面を見ていたレブルとセローが嫌そうに顔をしかめる。


「勇者……帰って来てたのか。」
「勇者様が挑まれるんですね……って来訪者は勇者様達でしたか。これはタイミングがいいですね。」
「そうですか?」
「勇者様がいらっしゃるなら、黄金騎士団の問題はもう解決したようなものです。」


 あの勇者が来れば解決?僕は余計にごちゃごちゃになりそうだけどなって思える。しかし勇者と言えど、パススルーはさせず警護システムの洗礼は受けてもらう様だ。


「私が行って話をつけてこよう!」
「ココロ〜骨は拾うわよ〜」
「先程からハーネスのそれはなんなんだ。まぁいいか。行ってくる!」


 ―ガシャ、ガシャ、ガシャ!


 勇者が門へ向かって駆け出した。

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