無敵のフルフェイス
75話 勘違い無双①
剣と剣が擦れ合う音が響く。そんな中、魔法が飛び交いたまに衝突して爆発する。
―キンキン!
―ドォーン!
僕の目の前には馬に乗り槍を構えている兵士が数十人。その前に盾を持った兵士が相手の進行を食い止めている。僕の背後にはローブ着た魔導師や弓兵の人達。
それが王都の外で戦っている。僕はその1番後方の指揮官らしき人の横にいる。
「我々には黒騎士様がいる!
「「「おぉぉ!」」」
「ははは……。」
どうしてこうなったか、さっきまで僕は皆んなとご飯を食べていたのに。
♦︎
第1堀からここに来て、やっとありつけた食事。食べ終わったので、横に置いていたフルフェイスを被る。
「しかし変わった兜だよな。色味で言えば黒でいて、余計な装飾等がない。でも食事後すぐつけるくらいだし、大事なもんなんだな。」
「これはフルフェイスって言う頭を守るヘルメットですよ。僕にとっては相棒との繋がりですから、大切な事には変わりないですけど。」
「そうか……ぶるっ。ちょっとトイレに行ってくる。」
少し震えた黒騎士さんが、トイレと言って席を立つ。
すると示し合わせたかのように、お店の扉が開く。
「ここにいましたか!敵軍が進行を開始したと合図をしたはずですが。ほら行きますよ。」
「え?どう言う事?あ、もしかして人間違いでは?」
「こんな全身黒一色で固める方が、他にいる訳ありません。いいから来て下さい。」
数人の兵士に囲まれ引っ張られる。
「わわ。レブル!さっきの人連れてきて!何か分からないけど、僕は先に行って話を聞いておくから。」
「了解よ。セローとエストついてきて。アマン達は宿をお願い。」
「おう。気をつけてな。」
そうして、レブルに全て任せて僕は担がれていった。
♦︎
そんな考え事をしていると状況が大きく動いた。
「障壁を!黒騎士様を守れ!」
後ろにいた魔導師が前面に障壁を張る。飛んでくる火の玉が障壁に当たり弾けていく。自分でもなんとか出来るけど、僕の前にわざわざ出て護ってくれるんだし任せよう。
「くっ。黒騎士様。すいません、もう持ちません。」
「あ、そうなの。それなら僕があれを止めてくれば良いのかな?」」
「で、出来ますか?」
「問題ない。アイさん敵の位置と人数は。」
『既に補足しています。』
たった一度の魔法を受けて、もう持たないなんて見た目以上に凄い魔法だったのか。
さてと、ここからかなりの距離がある。魔法が飛んでくるから、僕だけが前に行ってもこの人達は守れない。
「まずは背後の魔導師の殲滅をしよう。火は皆んなに許可が必要だから……水玉。」
「黒騎士様が魔法を!?」
「それ。」
―ヒュン!
空に一つの水玉を投げる。敵が固まっているなら、この魔法でいいよね。
「水玉流星。」
―ズダァァン!ズダァァン!ズダァァン!
「え?この魔法って……」
「なんだこりゃ!大地が弾けていく!?」
「よし。1分で止むように調整したから、止まり次第突撃するよ。」
「え?あ、はい!黒騎士様が道を切り開いてくれるぞ!」
「「「おぉぉぉ!!!」」」
皆んなやる気になったようで良かった。勘違いから始まったやつだけど、これであの人の面目も守れたかな。
そして1分経過すると、雨はピタリと止む。空からはオレンジ色の陽の光が、相手軍を照らす。
「さぁ皆んな行こうか。」
「「「おぉぉぉ!!!」」」
剣を掲げて、それっぽい事を言ってみた…………気持ちいい。
僕を置いて、皆んなが突撃していく。おっと僕も行かないと。馬に乗っているから剣を納め、馬から降りる。
「黒騎士様?どうして剣を納めて、馬から降りるのですか?」
「馬を傷つけたら危ないし。戦いに行くなら、馬より自分で走る方が早い。」
「前衛部隊は騎兵ですよ?」
「問題ない。」
馬を任せて僕は前に出る。道を切り開いてくれるって言われた手前、先頭に立たないとだよね。
「アイさん。前に追いつくよ。」
『はい。マッスルレインフォース、ポスチャーコントロール!』
筋肉を活性化させ、それを補う姿勢制御の魔法で走る準備はバッチリ。
―ビキビキ……タン!
おっと!一歩目の力を入れすぎた。これじゃ先頭集団とぶつかるから、早めに2歩目を踏み込む。
―ズダン!
その目測も誤って、僕は先頭集団を飛び越え……
「あれー飛び過ぎた。」
―ズダァァン!
着地したのは相手軍の後方。さっきの魔法で起きている魔導師達の視線が刺さる。
「何事だ!?漆黒の鎧を纏った騎士……貴様が噂の。」
「あれ?魔族?」
「飛んで火に入る夏の虫!挟み討ちだ!」
「しかし前から人族の軍勢が!」
「相手は1人だ!とっとと片付ければいいだけの事だ!」
訳も分からず連れて来られたけど。まさか相手が魔族だったとは驚きだ。王都に着いて第1堀で人間と戦い、外では魔族と戦うってどんだけ忙しい国なんだ。
とにかく都合もいいし、このまま少しでも敵を減らしておこう。魔法を撃って味方に流れ弾が行く可能性を考えると、ここはやっぱり剣での接近戦が理想かな。こうしている間にも敵に囲まれつつあるんだけど。
「あまり悠長に構えてられないか。風の魔法剣でいこうか。」
後ろはとりあえず放置して、前から来るであろう騎兵と挟み討ちする。
―ビュンビュン!スパスパ!
「っぐは!」
「ギャ!?」
魔族と分かれば遠慮はしない。すぐ目の前の2人を斬り伏せると、数で押すつもりなのかワラワラと寄ってくる。
―ビュゥゥン!
風の魔法剣で刃を伸ばして、思い切り振り抜く。自分を囲む魔族達が一斉に倒れる。
「この強さ……貴様、本当に人間か?」
「失礼な。ほら、ちゃんと人間でしょう?」
フルフェイスを取り、確認させる。
「私はそういう意味で言ってるんじゃない。」
「この見た目の話じゃないの?
「え?あの顔は誰だ?」
「あれ?黒騎士様の顔が変わった?」
近くに来た兵士達が慌て始める。最初からこうしていれば良かったのか。
「よく見れば鎧の形状も兜も違うな……。」
そこもっと早く気づいて〜もはや色でしか認識してないのかと、ツッコミたい。
「だから魔法を使ったのか。」
「あーそれは驚いた。」
あの人魔法使わないの?魔力は感じてたから、てっきり使えるとばかり……。
気がつけば両軍が止まっている。
「我々を無視して……人族は余裕だな。」
「あ、戦いの最中だっけ。」
「っく。この余裕……何か秘策が?ここは引くしかないか。」
「引くなら止めないよ。どうする?」
相変わらず囲まれてはいるが、さっきのを見てあまり近づかない魔族達。風だから範囲はもっと広いんだけど、それだと味方ごと斬りそうで怖い。そうなると手数で勝負になるよね……。
「……アースオペレーション。」
―ズズ……ズシン!
「土の方が重いから右で持って、風は軽いから左でいいか。」
「な!?魔法剣を2本だと……そうか。貴様に出会った時点で、我々は……者共!こいつを倒せば我らの勝利ぞ!かかれぇ!!!」
「「「うおぉぉぉぉ!!!」」」
やっぱり止まらないか。それじゃ、僕も殺される訳にはいかないから。
「逃る者は追わない!だけど僕に向かってくるなら覚悟を決めろ!」
「戦いこそが我らの……ぐは!」
「貰っ……たぁ……がふ。」
次々と向かってくる魔族の軍勢を僕は斬り伏せていく。全員がこっちの兵士を無視して、僕に群がってくる。いやいや、見てるならこの状況に加勢しなよ。何で僕一人を戦わせてるの?戦っつこんなもんだっけ?
「何故だ。何故たった一人が落ちない?我々は魔族でこの軍勢をしても、傷一つつけられないだと。」
「さっきから色々考えているみたいだけど。100人いようが1,000人いようが、統率が取れてなければただの個。それに戦いの中で傷を増やせば動きも悪くなるし、場合によってはその一撃が致命傷になりかねない。だから僕は避けるんだけど。」
「そういう問題ではないだろ!我々は始め500人はいたんだぞだぞ?人一人が対応出来てたまるか。」
「現にここで出来ているんだから。」
なかなか諦めてくれない。どうしたもんか。
『忍様。例の男が来たようです。』
「やっとか、一体あの人は何してたんだ。」
―ビキビキ……タン!
魔族に囲まれた状況を飛び越え回避する。王都から来る人を迎えに行くため。
「ごめんなさい。こいつを見つけるのに手間取ったわ。」
そう言うと、掴んでいたそれをレブルは地面に放り投げる。
―ガシャ。
「乱暴だな……。自分で走れるし、馬を使えば……。」
「それじゃ遅いから担いで来たんじゃない。」
「俺フルアーマーなんだけど。女の子が担いで俺より早いってどうなの?」
「これくらいで来て当然よ。」
「いや、後ろで手を振っているけど。」
セローとエストが後ろで手を振っている。
「セローは魔導師だからいいけど。戦士のエストはこれくらい出来なきゃ。」
「それを担いだレブルにも追いつけない私が?無理だって。それに私は戦士じゃなくて、鍛治を……」
「特訓しかないわね。」
「王都は少しゆっくりしたいんだけど。」
「それはいいとして。師匠お手伝いしますか?」
後ろを振り返ると、僕がいなくなった事で戦いが再度始まっていた。
「どうしようかな。どうしたらいい?」
「状況も分からん俺に聞くのか?」
「え?黒騎士様が2人?」
「おお、お前はまだ生きていたか。戦況は?」
何やら話し込む黒騎士さんと声を出していたおじさん。きっと指揮官なんだろう。
「状況は分かったが……」
そして2人で僕を見てくる。よく分からないから、手を振っておいた。
「すまねーが、乗りかかった船って事で、力を貸してはくれないか?」
「いいですよ。皆んなもいけるよね?」
「任せて。弱い奴を相手して、消化不良なところがあるの。」
「戦いですね。師匠のお助けです!」
「食後の運動にしては重いわね。でも後で食べたいデザートあったから……。」
今回は皆んなが戦う気である。それぞれが武器を構えて、黒騎士さんの話に答える。
「助かる!」
こうして魔族のとの第2幕が始まる。
―キンキン!
―ドォーン!
僕の目の前には馬に乗り槍を構えている兵士が数十人。その前に盾を持った兵士が相手の進行を食い止めている。僕の背後にはローブ着た魔導師や弓兵の人達。
それが王都の外で戦っている。僕はその1番後方の指揮官らしき人の横にいる。
「我々には黒騎士様がいる!
「「「おぉぉ!」」」
「ははは……。」
どうしてこうなったか、さっきまで僕は皆んなとご飯を食べていたのに。
♦︎
第1堀からここに来て、やっとありつけた食事。食べ終わったので、横に置いていたフルフェイスを被る。
「しかし変わった兜だよな。色味で言えば黒でいて、余計な装飾等がない。でも食事後すぐつけるくらいだし、大事なもんなんだな。」
「これはフルフェイスって言う頭を守るヘルメットですよ。僕にとっては相棒との繋がりですから、大切な事には変わりないですけど。」
「そうか……ぶるっ。ちょっとトイレに行ってくる。」
少し震えた黒騎士さんが、トイレと言って席を立つ。
すると示し合わせたかのように、お店の扉が開く。
「ここにいましたか!敵軍が進行を開始したと合図をしたはずですが。ほら行きますよ。」
「え?どう言う事?あ、もしかして人間違いでは?」
「こんな全身黒一色で固める方が、他にいる訳ありません。いいから来て下さい。」
数人の兵士に囲まれ引っ張られる。
「わわ。レブル!さっきの人連れてきて!何か分からないけど、僕は先に行って話を聞いておくから。」
「了解よ。セローとエストついてきて。アマン達は宿をお願い。」
「おう。気をつけてな。」
そうして、レブルに全て任せて僕は担がれていった。
♦︎
そんな考え事をしていると状況が大きく動いた。
「障壁を!黒騎士様を守れ!」
後ろにいた魔導師が前面に障壁を張る。飛んでくる火の玉が障壁に当たり弾けていく。自分でもなんとか出来るけど、僕の前にわざわざ出て護ってくれるんだし任せよう。
「くっ。黒騎士様。すいません、もう持ちません。」
「あ、そうなの。それなら僕があれを止めてくれば良いのかな?」」
「で、出来ますか?」
「問題ない。アイさん敵の位置と人数は。」
『既に補足しています。』
たった一度の魔法を受けて、もう持たないなんて見た目以上に凄い魔法だったのか。
さてと、ここからかなりの距離がある。魔法が飛んでくるから、僕だけが前に行ってもこの人達は守れない。
「まずは背後の魔導師の殲滅をしよう。火は皆んなに許可が必要だから……水玉。」
「黒騎士様が魔法を!?」
「それ。」
―ヒュン!
空に一つの水玉を投げる。敵が固まっているなら、この魔法でいいよね。
「水玉流星。」
―ズダァァン!ズダァァン!ズダァァン!
「え?この魔法って……」
「なんだこりゃ!大地が弾けていく!?」
「よし。1分で止むように調整したから、止まり次第突撃するよ。」
「え?あ、はい!黒騎士様が道を切り開いてくれるぞ!」
「「「おぉぉぉ!!!」」」
皆んなやる気になったようで良かった。勘違いから始まったやつだけど、これであの人の面目も守れたかな。
そして1分経過すると、雨はピタリと止む。空からはオレンジ色の陽の光が、相手軍を照らす。
「さぁ皆んな行こうか。」
「「「おぉぉぉ!!!」」」
剣を掲げて、それっぽい事を言ってみた…………気持ちいい。
僕を置いて、皆んなが突撃していく。おっと僕も行かないと。馬に乗っているから剣を納め、馬から降りる。
「黒騎士様?どうして剣を納めて、馬から降りるのですか?」
「馬を傷つけたら危ないし。戦いに行くなら、馬より自分で走る方が早い。」
「前衛部隊は騎兵ですよ?」
「問題ない。」
馬を任せて僕は前に出る。道を切り開いてくれるって言われた手前、先頭に立たないとだよね。
「アイさん。前に追いつくよ。」
『はい。マッスルレインフォース、ポスチャーコントロール!』
筋肉を活性化させ、それを補う姿勢制御の魔法で走る準備はバッチリ。
―ビキビキ……タン!
おっと!一歩目の力を入れすぎた。これじゃ先頭集団とぶつかるから、早めに2歩目を踏み込む。
―ズダン!
その目測も誤って、僕は先頭集団を飛び越え……
「あれー飛び過ぎた。」
―ズダァァン!
着地したのは相手軍の後方。さっきの魔法で起きている魔導師達の視線が刺さる。
「何事だ!?漆黒の鎧を纏った騎士……貴様が噂の。」
「あれ?魔族?」
「飛んで火に入る夏の虫!挟み討ちだ!」
「しかし前から人族の軍勢が!」
「相手は1人だ!とっとと片付ければいいだけの事だ!」
訳も分からず連れて来られたけど。まさか相手が魔族だったとは驚きだ。王都に着いて第1堀で人間と戦い、外では魔族と戦うってどんだけ忙しい国なんだ。
とにかく都合もいいし、このまま少しでも敵を減らしておこう。魔法を撃って味方に流れ弾が行く可能性を考えると、ここはやっぱり剣での接近戦が理想かな。こうしている間にも敵に囲まれつつあるんだけど。
「あまり悠長に構えてられないか。風の魔法剣でいこうか。」
後ろはとりあえず放置して、前から来るであろう騎兵と挟み討ちする。
―ビュンビュン!スパスパ!
「っぐは!」
「ギャ!?」
魔族と分かれば遠慮はしない。すぐ目の前の2人を斬り伏せると、数で押すつもりなのかワラワラと寄ってくる。
―ビュゥゥン!
風の魔法剣で刃を伸ばして、思い切り振り抜く。自分を囲む魔族達が一斉に倒れる。
「この強さ……貴様、本当に人間か?」
「失礼な。ほら、ちゃんと人間でしょう?」
フルフェイスを取り、確認させる。
「私はそういう意味で言ってるんじゃない。」
「この見た目の話じゃないの?
「え?あの顔は誰だ?」
「あれ?黒騎士様の顔が変わった?」
近くに来た兵士達が慌て始める。最初からこうしていれば良かったのか。
「よく見れば鎧の形状も兜も違うな……。」
そこもっと早く気づいて〜もはや色でしか認識してないのかと、ツッコミたい。
「だから魔法を使ったのか。」
「あーそれは驚いた。」
あの人魔法使わないの?魔力は感じてたから、てっきり使えるとばかり……。
気がつけば両軍が止まっている。
「我々を無視して……人族は余裕だな。」
「あ、戦いの最中だっけ。」
「っく。この余裕……何か秘策が?ここは引くしかないか。」
「引くなら止めないよ。どうする?」
相変わらず囲まれてはいるが、さっきのを見てあまり近づかない魔族達。風だから範囲はもっと広いんだけど、それだと味方ごと斬りそうで怖い。そうなると手数で勝負になるよね……。
「……アースオペレーション。」
―ズズ……ズシン!
「土の方が重いから右で持って、風は軽いから左でいいか。」
「な!?魔法剣を2本だと……そうか。貴様に出会った時点で、我々は……者共!こいつを倒せば我らの勝利ぞ!かかれぇ!!!」
「「「うおぉぉぉぉ!!!」」」
やっぱり止まらないか。それじゃ、僕も殺される訳にはいかないから。
「逃る者は追わない!だけど僕に向かってくるなら覚悟を決めろ!」
「戦いこそが我らの……ぐは!」
「貰っ……たぁ……がふ。」
次々と向かってくる魔族の軍勢を僕は斬り伏せていく。全員がこっちの兵士を無視して、僕に群がってくる。いやいや、見てるならこの状況に加勢しなよ。何で僕一人を戦わせてるの?戦っつこんなもんだっけ?
「何故だ。何故たった一人が落ちない?我々は魔族でこの軍勢をしても、傷一つつけられないだと。」
「さっきから色々考えているみたいだけど。100人いようが1,000人いようが、統率が取れてなければただの個。それに戦いの中で傷を増やせば動きも悪くなるし、場合によってはその一撃が致命傷になりかねない。だから僕は避けるんだけど。」
「そういう問題ではないだろ!我々は始め500人はいたんだぞだぞ?人一人が対応出来てたまるか。」
「現にここで出来ているんだから。」
なかなか諦めてくれない。どうしたもんか。
『忍様。例の男が来たようです。』
「やっとか、一体あの人は何してたんだ。」
―ビキビキ……タン!
魔族に囲まれた状況を飛び越え回避する。王都から来る人を迎えに行くため。
「ごめんなさい。こいつを見つけるのに手間取ったわ。」
そう言うと、掴んでいたそれをレブルは地面に放り投げる。
―ガシャ。
「乱暴だな……。自分で走れるし、馬を使えば……。」
「それじゃ遅いから担いで来たんじゃない。」
「俺フルアーマーなんだけど。女の子が担いで俺より早いってどうなの?」
「これくらいで来て当然よ。」
「いや、後ろで手を振っているけど。」
セローとエストが後ろで手を振っている。
「セローは魔導師だからいいけど。戦士のエストはこれくらい出来なきゃ。」
「それを担いだレブルにも追いつけない私が?無理だって。それに私は戦士じゃなくて、鍛治を……」
「特訓しかないわね。」
「王都は少しゆっくりしたいんだけど。」
「それはいいとして。師匠お手伝いしますか?」
後ろを振り返ると、僕がいなくなった事で戦いが再度始まっていた。
「どうしようかな。どうしたらいい?」
「状況も分からん俺に聞くのか?」
「え?黒騎士様が2人?」
「おお、お前はまだ生きていたか。戦況は?」
何やら話し込む黒騎士さんと声を出していたおじさん。きっと指揮官なんだろう。
「状況は分かったが……」
そして2人で僕を見てくる。よく分からないから、手を振っておいた。
「すまねーが、乗りかかった船って事で、力を貸してはくれないか?」
「いいですよ。皆んなもいけるよね?」
「任せて。弱い奴を相手して、消化不良なところがあるの。」
「戦いですね。師匠のお助けです!」
「食後の運動にしては重いわね。でも後で食べたいデザートあったから……。」
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