無敵のフルフェイス
71話 朝から怪奇現象?
翌日何事もなかったかの様に王都へ出発した僕達。後ろから着いて来る馬車は……まぁ見なかったことにしよう。
そしてしばらく進むと魔物に遭遇する訳だが。決まって後ろの馬車も止まる。
「あれ絶対私達に、魔物を倒させているわよね?」
「ん?そうかな?前方で戦闘していたら止まると思うけど。」
エストが後ろの馬車を睨みつけるように話す。
「それなら助けに来るとかしてもいいじゃない?」
「それはないな。シノブの戦闘に参加しようなんて、そんな命知らずの奴らがいるとは思えない。」
「命知らずって……」
「昨日のアレを見た奴らだぞ?付かず離れずが正解だ。」
「それは、そうだけど。これじゃただで護衛しているよなもんじゃない。」
「まぁそうだな。」
「それって損じゃない?」
「そうかな?獲物を独り占め出来るから、僕としては稼げてるけど。」
昨日の野営をして以降、魔物が全然出てこなかった。少し進むとようやく出て来た今だからこそ、王都に行く前の魔物退治が出来る。前の街で素材をいくつか売ったから、お金はある。でも素材は無くなってきていたから、丁度いい。
そんなこんなで進むと王都が見えて来る。
「あ!見えて来た!あれが王都!?」
「そうよ。また無駄に城壁を厚く変えたわね……」
城壁越しに見えるそれは、まさにお城と言うに相応しい。エストが城壁について何か言っていたけど、僕からすれば少し薄過ぎるくらい。
城の門の前まで行くと兵士達が寄って来る。
「すまんがここで少し待っていてくれ。」
「どうかしたんですか?」
馬車を操るアマンに対して、兵士が道を塞ぐ。まぁ恒例の持ち物検査だろう。
「君達は向こうから来たんだろ?」
兵士が指を指す方向をアマン達が見る。馬車の荷台からその方角を確認して、僕もそっちの方向を見る。こっちから来ると何かあるのか……
「昨日、魔族の襲撃と思われる大規模な魔法を確認してな。今王都の騎士団とウインド・ライブラからの魔法騎士団が調査をする話があってな。」
「あぁ……。」
「すまないが、少し話を聞きたいのだが。」
向こう側で魔物が大規模な魔法を?昨日は兵士の指を指す方角には居たけど、そんな大きな魔法はなかったよな…………ん?なんで皆んな僕を見るの?
「シノブさん。その……お願いを一ついいかしら?」
「ん?何かな?」
「そのね。アマンやゾンみたいな格好出来る?」
「2人みたいな?出来るけど。それがお願い?」
「えぇ。きっとその方が街にスムーズに入れるわ。」
よく分からないけど。レブルがお願いをしてくるから、素直に言う事を聞いてみる。でもアマン達みたいな格好か……そうなると街を歩く用の普段着しかない。
ここで服を脱ぐのもあれなので、少し上に羽織れる様な服を着る。
「こう言う事?」
「えっと、服はそれでも良いんだけど……。」
「師匠カッコいいです!」
「言いたい事は分かります。私が代表して言いましょう……シノブさんその兜どうにかなりませんか?」
このヘルメットをどうにかする?前にどうにか隠そうとした事もあったっけ。皆んなが何も言わないから、途中で考える事をやめた様な……。
「アイさん。そう言えば前にこれ隠せるって、話しあったよね?」
『可能です。魔力を少し使いますがよろしいでしょうか?』
「うん。お願い。」
そして僕はアイさんに依頼をした。
♦︎
「「きゃぁ!?」」
「なんだ!?馬車の中で何がいる?」
「あー仲間が乗ってるが、見ない方がいいかもしれんぞ。」
「女性の悲鳴が聞こえたんだ。放っては置けない!」
「まーそうだよな。あの2人が叫ぶくらいとんでも無い事が起きてんだろうな。」
「アマンそれって見せて大丈夫?」
「なる様にしかならんさ。」
―ガチャ!
馬車の後ろの扉が開かれる。
「大丈夫……かぁぁ!!??」
「ん?」
突然馬車の扉が開くと、1人の兵士がそこには居た。僕を見るなり驚いた様に見えるけど。
―バタン!
そして物凄い勢いで扉が閉まる。
「何だったんだろう?」
「ふはは。それはあれでしょう。シノブさんを見たからで。」
「やっぱりそうだよね。なんか僕を見て驚いた様に見えたけど。それに2人も。」
レブルとセローで抱き合っている。
「ごめんなさい。ちょっとそっち系は苦手で。」
「私も苦手ではないけど。師匠が頭が消えてびっくりしました。」
「頭が消える?」
自分の頭を触る。
―パンパン。
頭はあるな。消えたってどう言う事だ?
「確かここに鏡が……はい。シノブさん。」
「鏡?あれ、僕の頭だけないよ。首なしライダーみたいだ。」
『申し訳ありません。いきなり開けられ、急ぎ過ぎました。今調整します……。』
「あーうん。お願い。」
少しすると何もないところに顔が浮き出てくる。髪が出ないで顔だけとか、正直言って怖いな。こんなとこを……
―ガチャ!
「そんな訳ない。首なしの死体なんて俺は見てい…………ひぃぃ!!??」
「「「隊長!!」」」
―バタン。
「「…………。」」
「タイミングが悪いですね。」
「流石にこの状況を見たら、僕でもびっくりするよ。」
『重ね重ね……申し訳ないございません!!』
「良いって。勝手に開けたのは向こうだし。調整出来そう?」
『はい……もう直ぐに…………出来ました!』
鏡に写るのは素顔の自分。久し振りに自分の顔見たけど、こんな顔だったんだな。
「はぁ……カッコいい。」
「ですね!師匠はどんな姿でもカッコいいですけどね!」
「ほぅ。素顔は可愛らしく、それでいて凛々しくもありますね。」
「そんな褒められると照れるよ。」
『忍様素敵です!髪一本一本、細部にわたり完璧でございます。』
見た目は自分の顔だけど、触るとヘルメットがちゃんとある事が分かる。どう言う原理でこうなっているか分からないけど、今後人と会う時はこれで良いんじゃなかろうか。
―カチャ……キィ……
「し、失礼します……ん?死体も顔だけのお化けもいない。」
死体にお化けって随分な言い方だな。
「異常なしですね。」
「そんな馬鹿な……本当だ。しかしさっきは居たんだ!」
「隊長もお疲れですね。昨日の出来事で、一睡もしていませんでしたね。」
「そうじゃない!確かに居たんだよ!」
「後は我らで事情を聴きます。少しお休みに……」
「そうする……よぉ!?」
―バタン!
どうしたんだ?また物凄い勢いで、扉を閉めたけど。
「シノブさん。顔が消えてしまっています。」
「あはは。師匠がのっぺらぼうです。」
「これはびっくりしても、しょうがないわね。」
手に持った鏡を見ると、綺麗に顔だけなくなっている。
『何たる失態!光の屈折等を計算して……忍様を思い浮かべ……あぁ素敵です……集中!集中!』
鏡に顔が浮かび上がる。
―カチャ……
「首なし顔だけとか、のっぺらぼうとかそんな……居ないじゃないですか。」
「な!?い、居ない。やはり俺は疲れているのか。」
正直申し訳ない気持ちになったけど、説明するのも面倒なのでスルーする事にした。そしてこの魔法は極力使わない様にしよう。別の意味で問題を引き起こすな。
そしてしばらく進むと魔物に遭遇する訳だが。決まって後ろの馬車も止まる。
「あれ絶対私達に、魔物を倒させているわよね?」
「ん?そうかな?前方で戦闘していたら止まると思うけど。」
エストが後ろの馬車を睨みつけるように話す。
「それなら助けに来るとかしてもいいじゃない?」
「それはないな。シノブの戦闘に参加しようなんて、そんな命知らずの奴らがいるとは思えない。」
「命知らずって……」
「昨日のアレを見た奴らだぞ?付かず離れずが正解だ。」
「それは、そうだけど。これじゃただで護衛しているよなもんじゃない。」
「まぁそうだな。」
「それって損じゃない?」
「そうかな?獲物を独り占め出来るから、僕としては稼げてるけど。」
昨日の野営をして以降、魔物が全然出てこなかった。少し進むとようやく出て来た今だからこそ、王都に行く前の魔物退治が出来る。前の街で素材をいくつか売ったから、お金はある。でも素材は無くなってきていたから、丁度いい。
そんなこんなで進むと王都が見えて来る。
「あ!見えて来た!あれが王都!?」
「そうよ。また無駄に城壁を厚く変えたわね……」
城壁越しに見えるそれは、まさにお城と言うに相応しい。エストが城壁について何か言っていたけど、僕からすれば少し薄過ぎるくらい。
城の門の前まで行くと兵士達が寄って来る。
「すまんがここで少し待っていてくれ。」
「どうかしたんですか?」
馬車を操るアマンに対して、兵士が道を塞ぐ。まぁ恒例の持ち物検査だろう。
「君達は向こうから来たんだろ?」
兵士が指を指す方向をアマン達が見る。馬車の荷台からその方角を確認して、僕もそっちの方向を見る。こっちから来ると何かあるのか……
「昨日、魔族の襲撃と思われる大規模な魔法を確認してな。今王都の騎士団とウインド・ライブラからの魔法騎士団が調査をする話があってな。」
「あぁ……。」
「すまないが、少し話を聞きたいのだが。」
向こう側で魔物が大規模な魔法を?昨日は兵士の指を指す方角には居たけど、そんな大きな魔法はなかったよな…………ん?なんで皆んな僕を見るの?
「シノブさん。その……お願いを一ついいかしら?」
「ん?何かな?」
「そのね。アマンやゾンみたいな格好出来る?」
「2人みたいな?出来るけど。それがお願い?」
「えぇ。きっとその方が街にスムーズに入れるわ。」
よく分からないけど。レブルがお願いをしてくるから、素直に言う事を聞いてみる。でもアマン達みたいな格好か……そうなると街を歩く用の普段着しかない。
ここで服を脱ぐのもあれなので、少し上に羽織れる様な服を着る。
「こう言う事?」
「えっと、服はそれでも良いんだけど……。」
「師匠カッコいいです!」
「言いたい事は分かります。私が代表して言いましょう……シノブさんその兜どうにかなりませんか?」
このヘルメットをどうにかする?前にどうにか隠そうとした事もあったっけ。皆んなが何も言わないから、途中で考える事をやめた様な……。
「アイさん。そう言えば前にこれ隠せるって、話しあったよね?」
『可能です。魔力を少し使いますがよろしいでしょうか?』
「うん。お願い。」
そして僕はアイさんに依頼をした。
♦︎
「「きゃぁ!?」」
「なんだ!?馬車の中で何がいる?」
「あー仲間が乗ってるが、見ない方がいいかもしれんぞ。」
「女性の悲鳴が聞こえたんだ。放っては置けない!」
「まーそうだよな。あの2人が叫ぶくらいとんでも無い事が起きてんだろうな。」
「アマンそれって見せて大丈夫?」
「なる様にしかならんさ。」
―ガチャ!
馬車の後ろの扉が開かれる。
「大丈夫……かぁぁ!!??」
「ん?」
突然馬車の扉が開くと、1人の兵士がそこには居た。僕を見るなり驚いた様に見えるけど。
―バタン!
そして物凄い勢いで扉が閉まる。
「何だったんだろう?」
「ふはは。それはあれでしょう。シノブさんを見たからで。」
「やっぱりそうだよね。なんか僕を見て驚いた様に見えたけど。それに2人も。」
レブルとセローで抱き合っている。
「ごめんなさい。ちょっとそっち系は苦手で。」
「私も苦手ではないけど。師匠が頭が消えてびっくりしました。」
「頭が消える?」
自分の頭を触る。
―パンパン。
頭はあるな。消えたってどう言う事だ?
「確かここに鏡が……はい。シノブさん。」
「鏡?あれ、僕の頭だけないよ。首なしライダーみたいだ。」
『申し訳ありません。いきなり開けられ、急ぎ過ぎました。今調整します……。』
「あーうん。お願い。」
少しすると何もないところに顔が浮き出てくる。髪が出ないで顔だけとか、正直言って怖いな。こんなとこを……
―ガチャ!
「そんな訳ない。首なしの死体なんて俺は見てい…………ひぃぃ!!??」
「「「隊長!!」」」
―バタン。
「「…………。」」
「タイミングが悪いですね。」
「流石にこの状況を見たら、僕でもびっくりするよ。」
『重ね重ね……申し訳ないございません!!』
「良いって。勝手に開けたのは向こうだし。調整出来そう?」
『はい……もう直ぐに…………出来ました!』
鏡に写るのは素顔の自分。久し振りに自分の顔見たけど、こんな顔だったんだな。
「はぁ……カッコいい。」
「ですね!師匠はどんな姿でもカッコいいですけどね!」
「ほぅ。素顔は可愛らしく、それでいて凛々しくもありますね。」
「そんな褒められると照れるよ。」
『忍様素敵です!髪一本一本、細部にわたり完璧でございます。』
見た目は自分の顔だけど、触るとヘルメットがちゃんとある事が分かる。どう言う原理でこうなっているか分からないけど、今後人と会う時はこれで良いんじゃなかろうか。
―カチャ……キィ……
「し、失礼します……ん?死体も顔だけのお化けもいない。」
死体にお化けって随分な言い方だな。
「異常なしですね。」
「そんな馬鹿な……本当だ。しかしさっきは居たんだ!」
「隊長もお疲れですね。昨日の出来事で、一睡もしていませんでしたね。」
「そうじゃない!確かに居たんだよ!」
「後は我らで事情を聴きます。少しお休みに……」
「そうする……よぉ!?」
―バタン!
どうしたんだ?また物凄い勢いで、扉を閉めたけど。
「シノブさん。顔が消えてしまっています。」
「あはは。師匠がのっぺらぼうです。」
「これはびっくりしても、しょうがないわね。」
手に持った鏡を見ると、綺麗に顔だけなくなっている。
『何たる失態!光の屈折等を計算して……忍様を思い浮かべ……あぁ素敵です……集中!集中!』
鏡に顔が浮かび上がる。
―カチャ……
「首なし顔だけとか、のっぺらぼうとかそんな……居ないじゃないですか。」
「な!?い、居ない。やはり俺は疲れているのか。」
正直申し訳ない気持ちになったけど、説明するのも面倒なのでスルーする事にした。そしてこの魔法は極力使わない様にしよう。別の意味で問題を引き起こすな。
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