無敵のフルフェイス
33話 持ってきた物は最強?
次の日、僕達は装備を揃える為に町へと出た。
「あまり外を歩いている人が居ないんだね。」
「前いた町に比べるとそうね。それに今は早い時間帯だし。」
「時間帯によって変わるの?」
「そうね。朝方からお昼過ぎ迄は、大体の人は生産の時間よね。夕方になれば、仕事終わりで飲みに行く人が大半だから。この時間が少ないのはしょうがないと思うわ。」
住んでいた事があるだけあって詳しいエストレア。そして今日は、昨日と比べてとても質素な服を着ている。キラキラ宝石類がなくても、通る人が振り返るくらい。喋らずにいれば綺麗な人には見えるのかな。
「何かしら?」
「エストレアってもしかして綺麗な人なの?」
「それを本人に確認するのはどうかと思うけど。」
「エストは綺麗ですよ〜レブルの方がもっと綺麗だけど。」
セローが空気を読まない爆弾を投下して来る。その比べたりするとエストレアも……。
「私もそう思うわ。赤い長い髪。引き締まった身体付き。戦士としての心意気。」
「どうしたエストレア。やたらとレブルを褒めちぎるじゃねぇーか。」
「別に褒めちぎっては……。」
「怒ったレブルは怖いからな〜仲良くしておく為に褒めているんじゃ?」
「ちょっとゾンさん!そんな言い方したら、変に誤解されるで……大丈夫かしら?」
そう言えばさっきからレブルが静かだ。僕の後ろに隠れるようには着いて来てはいるんだけど。
「レブル?」
「…………。」
「おーい、レブル。」
「は、はひ!」
びっくりして舌を噛む。ものすごく痛そうである。
「朝から少しおかしいが、調子でも悪いのか?」
「ひょんなここは、なひ。」
「いや、アマン。おかしいのは昨日の風呂以降だ。きっと風呂で何かあったな……。」
「お風呂……!!」
昨日の事は2人には説明してある。お互い見られたことも、もちろん話している。2人はしててレブルをからかう。後で怒られても知らないよ〜
「シノブさん……はぅ……。」
「恥じらう姿も可愛らしいわ。」
「おいおい。エストレアが目覚めたか?」
「昨日のレブルは可愛かったし。しょうがないの。」
「昨日あの後何があったんだか……。」
昨日までギスギスしていた感じもなく、仲良し女子3人になっている。
「うんうん。女子には女子の関係があるって事だな。」
「仲良くなる事はいい事だ。怖がるエストレアも面白かったけどな。」
「ゾンさん。面白がらないで下さい!怖いんだから!あ。」
「……。」
振り返ってレブルの顔を伺うエストレア。その恐怖に歪む顔が面白いのか、ゾンが笑いを堪えている。
「ん〜?どうしたの?エスト。」
「な、なんでもない。」
「今のレブルはダメダメだ〜」
安堵の息を吐くエストレアに、ニヤニヤ顔のゾン。それに気がついたエストレアがゾンに突っかかる。
「それより当てがあるって言ってたが。」
「うん。この場所に行ってみようかと。」
「手紙をくれたおじいさんの子供のとこだっけ?」
「知り合いもいないし。どうせ買うなら信用できる人がいいと思ってね。防具って命に関わるから、しっかりしたものは欲しいじゃない?」
「そりゃ、違いねぇーけど。だったらもっと早く用意するべきだよな。」
本当であれば僕もそう思う。しかし武器がダメだと結果的に狩りの効率が下がる。するとお金も堪らず、泊まる費用もなくなる。食べれなくなればいよいよやばい訳だ。
「その点は僕もレブルも、始めに武器を新調したからね。防具よりは武器で狩りの効率上げた方がいいかと。」
「でもシノブは武器ないよな?」
「……初戦で粉々になったけどさ。」
「壊したの私の剣だけじゃないのね。」
「壊したって言い方良くないよ〜。僕はただ全力で剣を振っただけなんだから。」
「剣が折れるのは分かるけど。砕けるって聞いた事ないわよ。」
そこは僕も聞いた事ないから大丈夫。結局誰にも見せてないから、武器やに行ったら見せてみよう。
♦︎
少し歩いて教えて貰ったお店の前に着いた。
「し、閉まっている……。」
「あの老夫婦も急用があって来ていたしな。何かあったのかもしれないな。」
「そっか。それじゃしょうがないか。」
店の扉には休業中の紙が張り出されていた。しょうがないから引き返そうとした時、声をかけられた。
「あら?貴方は、もしかしてシノブさん?」
「え?はい。そうですが。」
「やっぱりそうね!その節は母がお世話になりました。」
「あの夫婦の娘さん?」
「ええ。せっかく来て頂いたんですし、どうぞ入って下さい。」
老夫婦の娘さんに出会い、お店に入れて貰った。
「あなた。お客様よ。母達を送って下さった冒険者のシノブさんよ。」
「これはこれは。その節はお世話になりました。あ、ほら、椅子に座ってなさい。」
「お客様差し置いて座れないわ。」
「いえいえ!お気になさらず。その……赤ちゃんの為に。」
「そう?ありがとう。」
その娘さんのお腹は大きかった。話を聞くと臨月との事で、老夫婦は急いで帰って来た訳は、こういう事らしい。
「あらあら、シノブさん!あの節はどうもありがとうございました。」
「いえ、無事に着けて良かったですね。お孫さん楽しみですね。」
「えぇ。主人共々、楽しみでしょうがありません。」
「すいません。今は武器を作っていなくて。店にあるものしかないんですが、ゆっくり見ていって下さい。」
「それでは少し見させてもらいますね。」
女性陣は妊婦さんと話をしている。防具を見に来た訳だけど、今日くらいはいいか。特に戦闘しに行く予定も無いし。
「ん〜どんなのが良いか分からないな。」
「よろしければ、お選びをお手伝いしますよ。」
「良いですか?今まで装備って買った事なくて。」
「防具と言ってもたくさんありますからね。単純に物理攻撃を防ぐ鎧系ですとか、魔導師様なら魔力が上がったり、補助したりの軽装が多いですよ。」
鎧系と言われ前に見たのと同じ様な、真っ黒の鎧がここの壁にも飾ってあった。魔力を上げる服に関しては、今着ている物と変わらないくらいの普通の服だった。
「今装備されている物はどうされます?」
「これはそのままが良いんですけど。服は特に何も無いから変えても良いかと。」
ヘルメットはアイさんと話す為に必須。服に関しては動きやすければなんでも良い。
「許可さえ頂ければ、鑑定してみますか?」
「そんな事出来るんですか?良いのかなアイさん。」
『別に見られて困る事はありません。見れればですが。』
「良いみたいです。脱ぎます?」
「あ、そのままで大丈夫です。では……。」
旦那さんがじっと僕の事を見る。鑑定って何かのスキルか魔法なのかな?どんな結果が出るのか、少しだけ楽しみである。
「え?そんな……これは。」
「どうでした?」
「シノブさん。申し訳ありません。この服以上の装備はここにはありません。兜に関しては鑑定不可でした。」
「それってどういう事ですか?」
「今まで見た事ないですが。国宝級のアーティファクトに引けを取らないかと。」
国宝級?……人間界から持ってきたこれが?もしかして、僕はずっとこの格好なんだろうか……。
「簡単に言うと、シノブはこのままで良いって事だな。」
「そうなります。お力なれず申し訳ありません。」
「僕は別に良いよ。彼女らと、この2人に装備を見てもらって良い?」
「俺らもか?」
「うん。この前みたいに移動中に、戦闘する事だってあるかもだし。」
「そうか。」
皆んなで装備を選んでいると……。
―ズゥゥゥン!
「なんか揺れた?」
外に出てみると遠くの方で煙が上がっている。これは何かあったな。店に声をかけて僕らは現場に向かう。
「あまり外を歩いている人が居ないんだね。」
「前いた町に比べるとそうね。それに今は早い時間帯だし。」
「時間帯によって変わるの?」
「そうね。朝方からお昼過ぎ迄は、大体の人は生産の時間よね。夕方になれば、仕事終わりで飲みに行く人が大半だから。この時間が少ないのはしょうがないと思うわ。」
住んでいた事があるだけあって詳しいエストレア。そして今日は、昨日と比べてとても質素な服を着ている。キラキラ宝石類がなくても、通る人が振り返るくらい。喋らずにいれば綺麗な人には見えるのかな。
「何かしら?」
「エストレアってもしかして綺麗な人なの?」
「それを本人に確認するのはどうかと思うけど。」
「エストは綺麗ですよ〜レブルの方がもっと綺麗だけど。」
セローが空気を読まない爆弾を投下して来る。その比べたりするとエストレアも……。
「私もそう思うわ。赤い長い髪。引き締まった身体付き。戦士としての心意気。」
「どうしたエストレア。やたらとレブルを褒めちぎるじゃねぇーか。」
「別に褒めちぎっては……。」
「怒ったレブルは怖いからな〜仲良くしておく為に褒めているんじゃ?」
「ちょっとゾンさん!そんな言い方したら、変に誤解されるで……大丈夫かしら?」
そう言えばさっきからレブルが静かだ。僕の後ろに隠れるようには着いて来てはいるんだけど。
「レブル?」
「…………。」
「おーい、レブル。」
「は、はひ!」
びっくりして舌を噛む。ものすごく痛そうである。
「朝から少しおかしいが、調子でも悪いのか?」
「ひょんなここは、なひ。」
「いや、アマン。おかしいのは昨日の風呂以降だ。きっと風呂で何かあったな……。」
「お風呂……!!」
昨日の事は2人には説明してある。お互い見られたことも、もちろん話している。2人はしててレブルをからかう。後で怒られても知らないよ〜
「シノブさん……はぅ……。」
「恥じらう姿も可愛らしいわ。」
「おいおい。エストレアが目覚めたか?」
「昨日のレブルは可愛かったし。しょうがないの。」
「昨日あの後何があったんだか……。」
昨日までギスギスしていた感じもなく、仲良し女子3人になっている。
「うんうん。女子には女子の関係があるって事だな。」
「仲良くなる事はいい事だ。怖がるエストレアも面白かったけどな。」
「ゾンさん。面白がらないで下さい!怖いんだから!あ。」
「……。」
振り返ってレブルの顔を伺うエストレア。その恐怖に歪む顔が面白いのか、ゾンが笑いを堪えている。
「ん〜?どうしたの?エスト。」
「な、なんでもない。」
「今のレブルはダメダメだ〜」
安堵の息を吐くエストレアに、ニヤニヤ顔のゾン。それに気がついたエストレアがゾンに突っかかる。
「それより当てがあるって言ってたが。」
「うん。この場所に行ってみようかと。」
「手紙をくれたおじいさんの子供のとこだっけ?」
「知り合いもいないし。どうせ買うなら信用できる人がいいと思ってね。防具って命に関わるから、しっかりしたものは欲しいじゃない?」
「そりゃ、違いねぇーけど。だったらもっと早く用意するべきだよな。」
本当であれば僕もそう思う。しかし武器がダメだと結果的に狩りの効率が下がる。するとお金も堪らず、泊まる費用もなくなる。食べれなくなればいよいよやばい訳だ。
「その点は僕もレブルも、始めに武器を新調したからね。防具よりは武器で狩りの効率上げた方がいいかと。」
「でもシノブは武器ないよな?」
「……初戦で粉々になったけどさ。」
「壊したの私の剣だけじゃないのね。」
「壊したって言い方良くないよ〜。僕はただ全力で剣を振っただけなんだから。」
「剣が折れるのは分かるけど。砕けるって聞いた事ないわよ。」
そこは僕も聞いた事ないから大丈夫。結局誰にも見せてないから、武器やに行ったら見せてみよう。
♦︎
少し歩いて教えて貰ったお店の前に着いた。
「し、閉まっている……。」
「あの老夫婦も急用があって来ていたしな。何かあったのかもしれないな。」
「そっか。それじゃしょうがないか。」
店の扉には休業中の紙が張り出されていた。しょうがないから引き返そうとした時、声をかけられた。
「あら?貴方は、もしかしてシノブさん?」
「え?はい。そうですが。」
「やっぱりそうね!その節は母がお世話になりました。」
「あの夫婦の娘さん?」
「ええ。せっかく来て頂いたんですし、どうぞ入って下さい。」
老夫婦の娘さんに出会い、お店に入れて貰った。
「あなた。お客様よ。母達を送って下さった冒険者のシノブさんよ。」
「これはこれは。その節はお世話になりました。あ、ほら、椅子に座ってなさい。」
「お客様差し置いて座れないわ。」
「いえいえ!お気になさらず。その……赤ちゃんの為に。」
「そう?ありがとう。」
その娘さんのお腹は大きかった。話を聞くと臨月との事で、老夫婦は急いで帰って来た訳は、こういう事らしい。
「あらあら、シノブさん!あの節はどうもありがとうございました。」
「いえ、無事に着けて良かったですね。お孫さん楽しみですね。」
「えぇ。主人共々、楽しみでしょうがありません。」
「すいません。今は武器を作っていなくて。店にあるものしかないんですが、ゆっくり見ていって下さい。」
「それでは少し見させてもらいますね。」
女性陣は妊婦さんと話をしている。防具を見に来た訳だけど、今日くらいはいいか。特に戦闘しに行く予定も無いし。
「ん〜どんなのが良いか分からないな。」
「よろしければ、お選びをお手伝いしますよ。」
「良いですか?今まで装備って買った事なくて。」
「防具と言ってもたくさんありますからね。単純に物理攻撃を防ぐ鎧系ですとか、魔導師様なら魔力が上がったり、補助したりの軽装が多いですよ。」
鎧系と言われ前に見たのと同じ様な、真っ黒の鎧がここの壁にも飾ってあった。魔力を上げる服に関しては、今着ている物と変わらないくらいの普通の服だった。
「今装備されている物はどうされます?」
「これはそのままが良いんですけど。服は特に何も無いから変えても良いかと。」
ヘルメットはアイさんと話す為に必須。服に関しては動きやすければなんでも良い。
「許可さえ頂ければ、鑑定してみますか?」
「そんな事出来るんですか?良いのかなアイさん。」
『別に見られて困る事はありません。見れればですが。』
「良いみたいです。脱ぎます?」
「あ、そのままで大丈夫です。では……。」
旦那さんがじっと僕の事を見る。鑑定って何かのスキルか魔法なのかな?どんな結果が出るのか、少しだけ楽しみである。
「え?そんな……これは。」
「どうでした?」
「シノブさん。申し訳ありません。この服以上の装備はここにはありません。兜に関しては鑑定不可でした。」
「それってどういう事ですか?」
「今まで見た事ないですが。国宝級のアーティファクトに引けを取らないかと。」
国宝級?……人間界から持ってきたこれが?もしかして、僕はずっとこの格好なんだろうか……。
「簡単に言うと、シノブはこのままで良いって事だな。」
「そうなります。お力なれず申し訳ありません。」
「僕は別に良いよ。彼女らと、この2人に装備を見てもらって良い?」
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