本日、総支配人に所有されました。~甘い毒牙からは逃げられない~
休息日には温泉にゆっくりとつかりましょう。【3】
「ジンのロックとコイツには甘めのオススメのカクテルを」
「かしこまりました」
視線を感じつつ手を繋ぎながら歩いて旅館のバーに立ち寄った。浴衣姿のままでバーに入れるなんて何だか新鮮な感じ。
「乾杯!いつも遅くまでお疲れ様」
「一颯さんもお疲れ様です」
女性のバーテンダーがドリンクを運んで来てくれた。私達はバーの角席に座った。黒を基調としたバーに暖かみのあるライトがマッチしていて落ち着いた雰囲気を醸し出している。
「カクテル美味しい?」
「はい、色も綺麗だし飲みやすいです」
海沿いにある旅館なので、それにちなんだブルー系のオリジナルカクテル。色合いが凄く綺麗。一番上がブルー、真ん中がオレンジ、一番下がイエロー。海に映った朝日をイメージしているとの事。凄く甘い訳ではなく甘酸っぱいと言った方が良いかな?一颯さんに勧めたら「甘い」と言って返された。
「連休貰えて良かったな」
「はい、一颯さんも連休取る為に無理させてごめんなさい」
「恵里奈の為なら頑張れるよ。労働法により、13連勤までは大丈夫なんだって」
副支配人との休みの兼ね合いや会議等々、色々あっての13連勤だったらしく、やっと休みな一颯さん。そんな一颯さんを振り回して申し訳なく思う。
「一颯さん、私の為に本当にすみません。無理させてしまって…」
「そーゆーつもりで言ったんじゃない。恵里奈と過ごす時間を確保する為なら、努力を惜しまないって事!仕事よりも副支配人にガミガミ言われる方が大変だったりする……」
「……副支配人、いつもピリピリしてますもんね…」
「今回の連休も恵里奈と一緒だとバレたら根掘り葉掘り聞いてきそうだよ。まぁ、関係はバレてないけど……バレたら間違えなく左遷されそう」
副支配人は35歳、独身。世間では珍しく女性の副支配人で、仕事一筋で生きてきた為に恋人は居ないらしいとの噂。そんな方なので恋沙汰で連休を取ったと知られたら咎められるに決まっている。ましてや、支配人と部下が恋愛関係にあるとなれば尚更……。一颯さんはいつも強気なのに副支配人の前では弱気になってしまうらしい。
「副支配人って文句言う時もマシンガンだから誰も止められなくて、だけど…不思議と高見沢だけには優しいんだよな」
「そうなんですか?タイプなのかな?」
「副支配人って案外、アイドル好きなんじゃないの?高見沢はアイドル系だろ?」
「確かにそうですね、高見沢さんは口は悪いですが顔はカッコ可愛いですから」
「……恵里奈にカッコ可愛いと褒められてる高見沢が憎い」
「なんですか、それ……」
軽快に話していた一颯さんの御機嫌が少し悪くなり、私の後頭部に手を伸ばした。ジンを口に含み、私にキスをして流し込んだ。喉に流れ込んだ灼ける液体。日本酒の時よりも喉が熱い。
「今は他の男の話をするな」
高見沢さんにもヤキモチを焼くなんて、どうしたのかな?高見沢さんの話題を振って来たのも副支配人の話題を出したのも一颯さん自身なのに。
「……はい、もうしません!」
カウンターからも他のお客様からも死角になっていて見えていないかもしれないが、心臓に悪いので御機嫌は損ねないでおこう。絶対に酔って来てるよね、一颯さん。ビールからの日本酒、……でバーに来てからのジンは三杯目?
「分かればよろしい」と言って頭をグリグリと撫でられた。髪の毛をお団子にしてみたのに崩れちゃうじゃない!……と思ったら、「恵里奈は下ろしてた方が良い」と言って勝手にヘアゴムを外して解かれた。
ジンが入っているグラスの氷をカラカラと音をさせて手に持っている一颯さん。隣で顔を見つめられて目線を外さないから私から外してしまう。恥ずかしさに顔から火が出そう。
「甘い物食べる?」
ジィッと見られていたから何を言うのかと思えば甘い物って……。思わず吹き出してしまった。
「悪かったな、拍子抜けさせて。酒を飲んだ後に無性に甘い物が食べたくなる時があるんだよ。だから以前に作ってくれたガトーショコラも嬉しかった」
「チョコ好きは気付いてましたよ。でもお酒を飲んだ後も食べたいだなんて一颯さん、可愛過ぎです!」
「……可愛いだなんて、お前しか言ってくれないよ」
私に優しい笑顔を振りまく一颯さんはチョコパフェを注文した。旅館のバーだからか、軽いおつまみの他に甘い物も用意出来るらしい。様々な気になる旅館があり予約するのに迷ったらしいのだ。この旅館を選ぶ決め手となったのがバーにスイーツがあると知った事だと嬉しそうに言っていた。
ガトーショコラやバナナが乗っているチョコパフェは、見た目もオシャレに盛り付けである。一颯さんが「コーンフレークは嫌い」と言い出して、コーンフレーク抜きのチョコパフェ。バーテンダーさんが気を利かせてくれて、スプーンは2つ用意してくれた。悪ふざけ半分で酔っている一颯さんの口元にパフェをスプーンですくって差し出す。パクッと抵抗なく口に入れた一颯さん。普段とは違うギャップに悶える私。
「恵里奈にも食べさせてあげる」
スプーンでチョコパフェをすくい私の口にも入れた。酔っている一颯さん、鬼軍曹のキャラ崩壊してて可愛すぎて悶絶しちゃう。
「かしこまりました」
視線を感じつつ手を繋ぎながら歩いて旅館のバーに立ち寄った。浴衣姿のままでバーに入れるなんて何だか新鮮な感じ。
「乾杯!いつも遅くまでお疲れ様」
「一颯さんもお疲れ様です」
女性のバーテンダーがドリンクを運んで来てくれた。私達はバーの角席に座った。黒を基調としたバーに暖かみのあるライトがマッチしていて落ち着いた雰囲気を醸し出している。
「カクテル美味しい?」
「はい、色も綺麗だし飲みやすいです」
海沿いにある旅館なので、それにちなんだブルー系のオリジナルカクテル。色合いが凄く綺麗。一番上がブルー、真ん中がオレンジ、一番下がイエロー。海に映った朝日をイメージしているとの事。凄く甘い訳ではなく甘酸っぱいと言った方が良いかな?一颯さんに勧めたら「甘い」と言って返された。
「連休貰えて良かったな」
「はい、一颯さんも連休取る為に無理させてごめんなさい」
「恵里奈の為なら頑張れるよ。労働法により、13連勤までは大丈夫なんだって」
副支配人との休みの兼ね合いや会議等々、色々あっての13連勤だったらしく、やっと休みな一颯さん。そんな一颯さんを振り回して申し訳なく思う。
「一颯さん、私の為に本当にすみません。無理させてしまって…」
「そーゆーつもりで言ったんじゃない。恵里奈と過ごす時間を確保する為なら、努力を惜しまないって事!仕事よりも副支配人にガミガミ言われる方が大変だったりする……」
「……副支配人、いつもピリピリしてますもんね…」
「今回の連休も恵里奈と一緒だとバレたら根掘り葉掘り聞いてきそうだよ。まぁ、関係はバレてないけど……バレたら間違えなく左遷されそう」
副支配人は35歳、独身。世間では珍しく女性の副支配人で、仕事一筋で生きてきた為に恋人は居ないらしいとの噂。そんな方なので恋沙汰で連休を取ったと知られたら咎められるに決まっている。ましてや、支配人と部下が恋愛関係にあるとなれば尚更……。一颯さんはいつも強気なのに副支配人の前では弱気になってしまうらしい。
「副支配人って文句言う時もマシンガンだから誰も止められなくて、だけど…不思議と高見沢だけには優しいんだよな」
「そうなんですか?タイプなのかな?」
「副支配人って案外、アイドル好きなんじゃないの?高見沢はアイドル系だろ?」
「確かにそうですね、高見沢さんは口は悪いですが顔はカッコ可愛いですから」
「……恵里奈にカッコ可愛いと褒められてる高見沢が憎い」
「なんですか、それ……」
軽快に話していた一颯さんの御機嫌が少し悪くなり、私の後頭部に手を伸ばした。ジンを口に含み、私にキスをして流し込んだ。喉に流れ込んだ灼ける液体。日本酒の時よりも喉が熱い。
「今は他の男の話をするな」
高見沢さんにもヤキモチを焼くなんて、どうしたのかな?高見沢さんの話題を振って来たのも副支配人の話題を出したのも一颯さん自身なのに。
「……はい、もうしません!」
カウンターからも他のお客様からも死角になっていて見えていないかもしれないが、心臓に悪いので御機嫌は損ねないでおこう。絶対に酔って来てるよね、一颯さん。ビールからの日本酒、……でバーに来てからのジンは三杯目?
「分かればよろしい」と言って頭をグリグリと撫でられた。髪の毛をお団子にしてみたのに崩れちゃうじゃない!……と思ったら、「恵里奈は下ろしてた方が良い」と言って勝手にヘアゴムを外して解かれた。
ジンが入っているグラスの氷をカラカラと音をさせて手に持っている一颯さん。隣で顔を見つめられて目線を外さないから私から外してしまう。恥ずかしさに顔から火が出そう。
「甘い物食べる?」
ジィッと見られていたから何を言うのかと思えば甘い物って……。思わず吹き出してしまった。
「悪かったな、拍子抜けさせて。酒を飲んだ後に無性に甘い物が食べたくなる時があるんだよ。だから以前に作ってくれたガトーショコラも嬉しかった」
「チョコ好きは気付いてましたよ。でもお酒を飲んだ後も食べたいだなんて一颯さん、可愛過ぎです!」
「……可愛いだなんて、お前しか言ってくれないよ」
私に優しい笑顔を振りまく一颯さんはチョコパフェを注文した。旅館のバーだからか、軽いおつまみの他に甘い物も用意出来るらしい。様々な気になる旅館があり予約するのに迷ったらしいのだ。この旅館を選ぶ決め手となったのがバーにスイーツがあると知った事だと嬉しそうに言っていた。
ガトーショコラやバナナが乗っているチョコパフェは、見た目もオシャレに盛り付けである。一颯さんが「コーンフレークは嫌い」と言い出して、コーンフレーク抜きのチョコパフェ。バーテンダーさんが気を利かせてくれて、スプーンは2つ用意してくれた。悪ふざけ半分で酔っている一颯さんの口元にパフェをスプーンですくって差し出す。パクッと抵抗なく口に入れた一颯さん。普段とは違うギャップに悶える私。
「恵里奈にも食べさせてあげる」
スプーンでチョコパフェをすくい私の口にも入れた。酔っている一颯さん、鬼軍曹のキャラ崩壊してて可愛すぎて悶絶しちゃう。
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