パラサイト・ワールド 寄生される世界

MK マッチー

性差の怨嗟




・宮部 雅

『私の心は、尚も逃げ惑いつつも後ろを振り返り、決して人を生かして返す事の無かった 険しい道をじっと見た。』 これはダンテの地獄偏の一節。私の人生を地獄と例えるなら、まさにぴったりだと言えるかもしれない。私の人生は地獄そのものだ。

私は女として生まれた事を後悔するべきなのだろう。

女として生まれたというだけで男達の優越感の対象になった。男達の支配欲の犠牲者、女。
愛想良くお上品に、おしとやかにしおらしく女の子らしく、と 江戸時代の頃のカビの生えた価値観を、男は押し付ける。それはもはや只の幻想だというのに。可愛げが無いとのたまい、力を誇示し頼られるために無意味にカッコつけ、モラハラをいとも簡単にやってのける。

男に弱みを見せず頼らない事を可愛げが無いという人が居るけど、それは自分で乗り越える力も無い、迷惑をかける事を厭わない人だと私は思う。誰かに頼らなければ無力である事を曝け出し、自分の所為で誰かに迷惑をかける罪悪感に押しつぶされる私には、地獄の価値観だ。

女とコミュニケーションを取るのに下ネタが不要にも関わらず、セクハラを男は普通にする獣だ。
性の対象としてみられるとう一種の羞恥プレイ。見世物小屋の哀れな動物のよう。

男に取って女は性欲の対象でしかなく、意思意見を言えばはばかられ、正論を言えばヒステリーだと一蹴される。女に取ってこの世が地獄でないなら何が地獄なのだろう?
男と言う名の獣が支配するこの世界、女は地獄の業火に身を焦がす罪人である事を自覚しながら、涙を流し生きて行く。

私を引き裂く男と言う名の獣を見て。私をあの獣から救ってください。
あれは私を全身から震え上がらせるのですから。

あまつさえ、その性(さが)は邪悪で残忍。飢えた欲望が満たされる事は決して無く、
食らい尽くすとさらに獲物を求める。

この獣と交わる動物は無数にのぼり、増えて行く。
獣を苦しみのうちに殺すまでは。

___誰が私のベアトリーチェ この地獄から私を救ってくれるのは___

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