白が浸された。
プロローグ
「高校生になればなにか変わるかもしれない。」
別れと出会いの季節、春。
心のどこかでそう期待しながらくぐったであろう校門。
「世界は不条理だと思う。」
そう負け犬が言ったところで誰も聞く耳を持ちやしない。口が達者で実績がないやつの言葉を信じる人がいたら、私はそいつを阿呆だと思う。
10歳の頃、「皆さんはあと10年後には立派な成人になっています。」と先生が言った。あともう半分生きるだけで大人になっちゃうんだと思った。未来の自分なんて想像もつかない。けれども一日には終わりがある。季節は巡るし、毎年疑問も抱かないまま年は明ける。
「今年で最後なんだ。」しみじみとそう思いたかった。空白の卒業アルバムに価値はない気がする。価値のない記念品。ただの紙のまとまりにお金を払うのはちょっと癪だ。
私はお高く纏ってみたかった。
私は特別になりたかった。
なんて思うのはきっと傲慢だ。
本当の自分なんて本人でさえ分からない。私は仮面をつけてさえいない。
そんな気がしなくもない。
別れと出会いの季節、春。
心のどこかでそう期待しながらくぐったであろう校門。
「世界は不条理だと思う。」
そう負け犬が言ったところで誰も聞く耳を持ちやしない。口が達者で実績がないやつの言葉を信じる人がいたら、私はそいつを阿呆だと思う。
10歳の頃、「皆さんはあと10年後には立派な成人になっています。」と先生が言った。あともう半分生きるだけで大人になっちゃうんだと思った。未来の自分なんて想像もつかない。けれども一日には終わりがある。季節は巡るし、毎年疑問も抱かないまま年は明ける。
「今年で最後なんだ。」しみじみとそう思いたかった。空白の卒業アルバムに価値はない気がする。価値のない記念品。ただの紙のまとまりにお金を払うのはちょっと癪だ。
私はお高く纏ってみたかった。
私は特別になりたかった。
なんて思うのはきっと傲慢だ。
本当の自分なんて本人でさえ分からない。私は仮面をつけてさえいない。
そんな気がしなくもない。
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