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タイムカプセル・パラドックス

宇佐見きゅう

後書三《蛇足》

 後書三《蛇足》




「何はともあれ、こうして無事に完結を迎えることができてよかったね。テーマを見失ってから、ずっとこのままダラダラだべり続けるのかと、心配しちゃったよ」


「それは確かに。しかしまあ、終盤の展開は速かったな。最後なんか一ヶ月飛んでたし」


「最終回で急に時間が飛ぶのは、打ち切りの定番だよね。人気作でも急に時間が飛んだりすると、あれ? この漫画面白いのに終わるの? って思っちゃう」


「登場人物が僕とキナちゃんだけってのも、いつか話したみたいにテンプレになっちゃいそうで怖かったな。我ながらよくもまあ百ページもやり切ったよね」


「ええまあ、大変だったけど、私もお仕事なんで頑張りました」


「僕との会話、仕事だったんだ……。知らなかった」


「時給千五百円。駅前で求人広告を見かけてすぐ飛びつきましたわ」


「『飛びつきましたわ』……じゃねえ! まあ、それはさておき。三月下旬に出会って、九月中旬までだから、ざっと半年間の物語になるわけだ。長いようで短かったね」


「そだねー。今年はお疲れ様でした。まことにお世話になりました」


「いえいえ、こちらこそ。……あ。いつの間にか年越しちゃった」


「んじゃ、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」


「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」


「っと、言うわけで、ほい」


「……? 何その手。お手?」


「そうじゃなくて、ほらほら、私に渡すものがあるんじゃないの。お・と・し・だ・ま」


「……初日の出を見るまでは我慢しなさい。明けて早々煩悩たっぷりだな」


「煩悩を晴らせるのはやはりお金だけですもの。おーっほっほっほ!」


「やかましい。今からでも遅くないから、キナちゃんも除夜の鐘を突いてきなさい」


「え? あれって事前に予約してないとできないんじゃないの? 飛び入り参加OKなの?」


「逆にどうして予約が必要だと思ったのか謎なんだが。その情報ソースはどこだ」


「いや、何となく。じゃあ、あれって自由参加の先着順なの?」


「恐らくは。僕もよく知らないけど」


「ふうん……まあいいや。明日友達と初詣に行くから、そろそろ寝ることにするよ」


「あそう、おやすみ。じゃあ尺の都合もあるし、ここらで締めようか。読者の皆さん、僕たちの他愛もない会話にここまで付き合ってくださって、ありがとうございました」


「私たちも好き勝手やってきましたが、これが皆さんの暇つぶしの一助にでもなってくれたらこれ幸い! ってなわけで次回もお楽しみにぃ! チェケラ!」


「いや次回とかもうないから」



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