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タイムカプセル・パラドックス

宇佐見きゅう

第六十八幕《議決》

 第六十八幕《議決》




「さあ、お遊びはここまで。私の内情は打ち明けました。私はお父さんに授業参観には欠席してもらいたい。ここからは交渉と行きましょう、お父上」


「君のその堂々っぷりというか白々しさには、毎度毎度、圧倒されるよ。さっきまで僕を遠回しに罵倒していたくせに」


「いや、待てよ……。お父さんはさっき、行けなくはないと言っていた。それは行けない可能性もあるということだ。ならば、ここでペコペコする必要もない……?」


「計算するな腹黒娘。まったく、世話の焼ける子だな。そんなに来てほしくないんだったら、上司に土下座してでも休みを取って、授業参観に行ってやる」


「ええー! 来なくていいって言ってるのにー。友達の幻想をぶち壊さないでよ」


「自分の蒔いた種だろ。それに、全部本当のことなんだから心配ないじゃないか」


「ワッツ? 彼はいったい何を言っているのでしょうか?」


「まあ、戯わ言かな。キナちゃんの推測どおり、休みが取れないかもしれない」


「あ、そうなの? よっしゃー! これで不安要素は消えたぜー!」


「心配しなくても大丈夫。ちゃんと授業参観には行くから」


「……んんー? 心配しなくてもってのは日本語がおかしくない? 私は来てほしくないって言っているのに……」


「うん。だから、そう言って僕を挑発しているんだろ? 僕をむきにさせて、意地でも授業参観に行ってやるって思わせるつもりなんだ。そしてもし行けなかったとしても悪ぶることでこちらが罪悪感を感じないようにしている。そうなんじゃないのか?」


「……は、はあ? 何、意味不なこと言ってんだし。クソキメークソ親父にはマジ学校に来てほしくねーだけだし。何その妄想、きしょっ!」


「急に反抗期になっても遅いぞ。キナちゃんの思惑はお見通しだ。プリントを今日になるまで見せなかったのは、僕に甘え過ぎていないか迷ったため。授業参観なんて言ったら、僕に仕事を休ませることになるからね。それでもやはり来てもらいたくて、今日になって一芝居打った。来ないで来ないでと拒むことで、僕の反発心を煽ったわけだ。まったく、不器用な子だね。子供がそんな気を遣わなくてもいいんだよ」


「…………お父さん最低。何その訳知り顔! 人の心を見透かして、さぞかしいい気分でしょうね? 他人の考えが読めても、感情は分かんないんだね! 全部説明されて、いい恥晒しじゃん。普通分かっても、言ったりしないでしょ!」


「え、あ、そうかい? それが普通なの? どうしてキナちゃんが怒っているのか、よく分かんないんだけど……。えっと、何が悪かったんだ?」


「……知るか馬鹿親父! 一生考えてろ!」



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