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タイムカプセル・パラドックス

宇佐見きゅう

第二十二幕《整頓》

 第二十二幕《整頓》                




娘「ただいまー。あ、ごめん。先に家に入っちゃって」


「気にしてないよ。昨日だってそうだったし。お帰りなさい」


娘「ただいま。お帰りなさい、お父さん」


「ただいま。……うむむ。面映い気分になるねえ、これは」


娘「そうだねー。買ってきた食材、キッチンに運んどくねー。っと、……ううむ。お父さん、私の荷物はリビングに置きっ放しにしてもいいかな?」


「ああ、そういえば部屋の片付けがまだだったね。今日しようと思っていたのにすっかり忘れていたよ。ちょっと待ってて。ちゃっちゃと片付けちゃうから」


娘「いいよ、自分でやるって。お父さんは夕御飯を作っていてもいいよ」


「そうかい? 物置状態であんまり掃除もしてないし、埃っぽいよ」


娘「あっ、じゃあやめまーす、と言うほど、私は潔癖に生きていないさ。たとえ汚れても生きなきゃなんない。それが人生ってもんだろ、ダディ?」


「ああ、うん、スルースルー。掃除機とか雑巾は同じ部屋にあるから、それを使って。邪魔な物は適当に、隣の僕の部屋に放り込んでくれて大丈夫だから。まあ、全部の物は放り込めないと思うから、とりあえずキナちゃんの寝られるスペースを確保して」


娘「華麗にスルーしないでよー……。了解しましたー、ボス」


「じゃあ、僕はキッチンにいるから、何かあったら呼んで」


娘「お料理手伝おうか? 私も結構作れるよ。家庭科の成績は五です!」


「うーん。悩みどころだ。僕、一人で料理するの好きなんだけど、キナちゃんの厚意を無碍にするのは心が痛むし、手伝ってもらえるのはありがたいし……」


娘「変なことで悩むね。いやまあ、手伝わなくても大丈夫なら、断っていいけど。私も料理に自信があるわけでもないし」


「うん、とりあえず今日は、部屋の片付けを優先で。御飯の手伝いは、また別の日にお願いするよ。そのときはよろしく」


娘「はいはーい。よろしくされます」


「夕飯は七時には出来上がると思うから」


娘「あ、お父さん。これは確認しておかなきゃだと思うんだけど」


「何だい? 改まって」


娘「えーと、もし、エッチいのを発掘しちゃったら、どうすればいい?」


「キャーって可愛く叫べば? アダルトはあの部屋には置いてないから平気だよ」


娘「……あの部屋『には』? じゃあどこ『には』置いてあるのかな~?」


「……キナちゃん? 勘のいい子は嫌いだよ、僕は」



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