部長に溺愛されてます
1章 堅物女山下(2)
デスクに戻り、パソコンを開きカタカタとキーボードを鳴らした。
理紗は次のコンペにかけていた。
"女性は誰だって輝ける"
次の理紗のコンペのテーマである。
そう、理紗の勤めているのは大手化粧品メーカーの企画開発部。
ここでは3ヶ月に1度部内でコンペが開かれる。
そしてそのコンペが通り、見事商品開発が決まれば次のプロジェクトに参加でき、出世に一歩近づくのだ。
理紗は根っからの仕事人間。
恋愛にうつつを抜かすでもなく、寿退職を狙ってギラギラするでもなく、出世に命をかけていた。
理紗は今年で27歳。入社して4年が経つ。
未だコンペに通ったことがなくずっと悔しい思いをしていた。
そう、その原因が企画開発部部長、新木翔太だ。
「え〜!部長今から先方とミーティングしてそのまま直帰なんですか〜?今日先輩と呑みに行くから部長も誘おうって話してたのに〜!」
「そうなんだよ、今から先方の会社に行くから今日はそのまま直帰なんだ。また今度機会があればお邪魔するよ。それじゃあ」
ニコッと爽やかな笑顔を残して部長はオフィスから出ていった。
部長の新木さんは、社内でも人気ダントツのモテ男。甘いマスクに高い身長。上層部からも信頼が厚く今年で37歳らしいが未婚の独身。そして嫌みな事に仕事が出来、いつもコンペは部長が持っていってしまう。
私の出世の強敵である。
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