部長に溺愛されてます
1章 堅物女山下(1)
小学校の頃のあだ名は眼鏡女。
中学は地味子、高校は根暗。
大学の頃なんか周りとの関わりが一切なく、友人と呼べる人間は2人しかいなかった。あだ名どころか周りが私を認知していたかすら怪しい。
そして今現在のあだ名はーーー
「ねえ聞いたよ〜、昨日合コン行くためにあの堅物女に仕事押し付けて帰ったんだって?」
トイレから出ようとした時、私の手がピタりと止まった。
「え〜?だって証券マンとの合コンなんて滅多にないんだもん!それに山下さん仕事大好きだしいいじゃーん!」
「うわ、菜々さいて〜!けどまあどうせあの人仕事終わっても家帰って寝るだけでそうだしね(笑)」
「あははっ、いえてる〜!
あんな地味で洒落っ気ない人に彼氏いるわけないもん〜」
喋り声とヒールの音が少しずつ小さくなり、喋り声の主達が遠のいていくのを確認して、私はトイレの個室からゆっくりと出た。
「はぁ、、なにが堅物女よ」
手を洗いながら鏡に映る自分を見てまたため息が出た。
特にセットもされてないボブヘアに、最低限の化粧しかしてない冴えない顔に黒縁眼鏡。
そして極め付けはTシャツにパンツスタイルの地味ファッション。
昔から化粧っ気もなく、お洒落にもあまり興味が無かったが、その挙げ句の果てがあの言われようである。
「そんな事、、自分でも分かってるっつーの。」
ああいうのには慣れていた。
昔からいじめと言うものにはあった事は無かったが、ああいう陰口は日常茶飯事だった。
だからあんな事、堅物女山本理紗は気に求めてなかった。
「さーて、午後からも仕事頑張りますか!」
ぐーっと伸びをして、理紗はまた自分のデスクへと戻っていった。
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