3分小説

sudachi

空き缶のお金入れ

地元の同窓会があった。
そこで、神社の裏手にあった、駄菓子屋の話になった。

その駄菓子屋のおばあさんは、
いつも寝ていて、
小学生だった俺らは、「おばあ、これ頂戴!」っと寝ているおばあさんを起こして買っていた。

ある日、おばあさんの隣に
空き缶が置かれてあり、
そこには、震えた文字で
こう、書かれていた。

【お金はここに↓】

「えっとーなんて店だっけ?」
「んー。み…み…」
「みきや」
「それだ!それだ!」
「お前ら、あれちゃんとお金入れてたか?」
「当たり前だろ!」
「俺もこう見えて真面目だったんだぜ」

皆が口々に言う。

私も「もちろんだよ!」と言いかけだがやめた。
今更笑い話だと思うが、
私は当時、流行っていたキャラクターのカードが欲し買ったのだが、
どうしても20円足りなかった。

「次、来た時に合わせて入れればいいや」と思っていたが、今の今まで忘れていた。

駄菓子屋のおばあさんが
亡くなったと聞いたのは、
それから丁度1ヶ月が経った時だった。

同窓会で会った友人から電話がかかってきて
そいつの話によると、おばあさんが亡くなったのは、3年以上前の事らしい。

それから数日して、電話が鳴った。

非通知だ。

非通知は、基本的に出ない様にしているのだが、この日は、何故か出ないといけない気がした。

「はい」
「…き…ですが、おか…忘れて…」

か細い声でよく聞き取れない。
「どちら様?」

「みきやですが、お金忘れ…」

私は、思わず電話を切った。

また、すぐに電話が鳴った。
非通知…

何度か無視をしていると鳴らなくなった。

次の日、
体調不良を理由に会社を休んで、
あの駄菓子屋に来てみた。

「お前もかかかってきたのかよ」
「お前もって事は、お前のとこにも?」
「あぁ」

駄菓子屋はシャッターが閉まっていた。
しかし、そこには、見覚えのある空き缶が置かれていた。

俺とそいつは、
「迷惑料」っと言って、
その缶の中に1万円ずつ入れて帰った。


その週末の事だった。
前日が、夜勤で昼まで寝ていたのだが、
電話の音で叩き起こされた。

「誰だよ」

携帯の画面を見ると。

「非通知…」

私は怖くなり、電話の電源を切った。

コンコン
扉をノックする音

コンコンコン
次第に大きくなる

ドンドンドンドン
覗き穴から覗いたら、そこには、
背の低い白髪の老婆が腰を曲げて立っていた。
腰を曲げているので、顔は見えない。

顔は見えないかが、
間違いなく、駄菓子屋のおばあさんだった。


ドンドンドンドン
「お金なら払っただろ!!」

その瞬間、扉を叩く音が止まった。



私は、恐怖と安心感で、その場にしゃがみ込んでしまった。

すると、郵便受けに何かが投函された。
そこには、封筒が入っていた。

恐る恐る中を確認するとそこには、




9,980円が入っていた。

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