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幼馴染み百合カップルの異世界転生〜異世界転生で百合カップルから男女カップルへ〜

りゅう

百合カップルの異世界転生!?




 千尋は恋をしていた。恋する相手は幼馴染みの女の子、若干、が雑な性格で千尋が困った時はいつも助けてくれるかわいらしいと言うよりかはかっこいいの方がイメージに合う女の子の千奈美だ。
 千尋と千奈美は同じ高校に通っている普通の高校生だ。家が近いため、毎日一緒に登校して毎日一緒に下校している。
 これだけの条件が揃っていて千尋と千奈美の恋仲が進展しないのには理由があった。
 
 「ちなちゃんが男の子だったらなぁ…」
 帰宅後、すぐにベッドに横になった千尋が呟く。
 千尋と千奈美が恋仲になれない理由…それは千尋と千奈美がどちらも女の子だからだ。
 千尋からしたら千奈美と恋仲になれていないと感じているが、周りはそうは思っていない。千尋と千奈美はいつも一緒にいて、しょっちゅう二人でデートもする。そして、夜もたまにお互いの家にお泊まりして夜中にはちょっとアレなこともする関係で周りからしてみれば完全に百合カップルだった。
 だが、千奈美は千尋に恋愛感情を抱かれているなんて思ってもいないだろうし、正式な恋仲になれないもどかしさが千尋の心にはあった。
 そうやってモヤモヤしていると千奈美から連絡がある。今日、家に私一人しかいないから泊まりにこない?という連絡だった。千尋は迷うことなく泊まりに行く!と返事をして泊まりに行く準備を始めた。
 しばらくすると家のインターホンが鳴る。王子様が迎えに来てくれたのだろう。と千尋は用意した荷物を持って家の外に飛び出す。
 「ちなちゃ〜ん」
 家を飛び出した千尋は扉の前で待っていてくれた女の子に思いっきり抱きついた。肩くらいまで伸びている黒髪のスラっとかっこよさげな美少女に受け止められて千尋は幸せを味わった。
 「こら、千尋、いきなり抱きつくのはやめろっていつも言ってるだろ…」
 凛とした声で千奈美は千尋に言い聞かせて抱きついてきた千尋から距離を取った。
 「迎えに来てくれてありがとう」
 「もう、夜くらいからな…当然のことをしてるだけだ。荷物重いだろ?持つよ」
 千奈美はそう言い、千尋が持っていた大きめのバッグを千尋に代わって持つ。最初は遠慮する千尋だが、千奈美がいいからと強引に荷物を受け取る形だ。そんな千奈美を千尋はかっこいいと思っていた。
 「さ、行くぞ」
 「うん!」
 千奈美に差し出された手を千尋はそっと取り、2人で手を繋いで千奈美の家に向かう。千尋と千奈美の家はあまり離れていないわざわざ迎えに来るほどの距離ではないのに千奈美はいつも千尋を迎えに来てくれていた。
 大好きな千奈美と手を繋いで歩く時間は千尋に取って最も幸せを感じる時間トップ10に入るくらいの幸せだ。そんな幸せを味わいながら千尋と千奈美は住宅街の暗い路地にある横断歩道を歩いていた。
 「ちなちゃん、危ない…」
 暗くて、周囲が見難く、割と広い道で、スピードも出しやすい横断歩道、車は一時停止の標識があるはずだが、それを無視して千尋と千奈美目掛けて車が突っ込んできた。
 千尋は慌てつつも、千奈美だけは助けたいという思いで千奈美と手を離して千奈美を突き飛ばした。
 「ちなちゃん…ごめんね。今までありがとう」
 千尋は千奈美に向かってそう言った。もっと一緒に居たかった…千奈美との思い出が走馬灯のように頭の中で思い返される。
 さようなら。と千尋は千奈美に言うと、千尋の腕を千奈美が掴んだ。突き飛ばされながら千奈美は千尋の腕を掴み、千尋と位置を変わろうとする。
 「ダメ……」
 千尋が千奈美に向かって言おうとした瞬間、2つの命がこの世界から消滅した。




 「ちなちゃん、ちなちゃん…起きて…ちなちゃん…」
 「ん……」
 千奈美が目を覚ますと視界には巨大な樹が映った。森?のような場所にいるのだろうか…1つ1つの樹が千奈美の常識の範疇を超えているように感じた。少し体を起こしてみると千奈美が起きたのを見てホッとしている男の子がいた。誰だろう…と千奈美は思う。男の子にしてはちょっと長い黒髪だ。だが、なんとなくあの子に似ていた。ずっと言えなかったが、千奈美が愛していた女の子に……
 「……千尋は?」
 千奈美の中に残っている最後の記憶…千尋は助かったのだろうか…というかここはどこ……などといった当然の疑問が千奈美の脳内に浮かぶ。
 「ちなちゃん、ここにいるよ。よかった…ちなちゃんが無事で本当によかった……」
 千奈美のことを心配そうに見ていた男の子が千奈美に抱きついてきた。最初は戸惑った千奈美だったが…まさか…と思いつつもある仮定に辿り着いた。
 「千尋…なの?」
 「そうだよ。千尋だよ。よかった…2人とも無事でよかった……」
 千尋は泣きながら千奈美を抱きしめた。千奈美は戸惑いながらも千尋を抱きしめ返す。
 「……いや、悪いけど…千尋は…無事じゃないと思うぞ…自分の体よく見てみろ……」
 「え…」
 千奈美に言われた通り千尋は自分の体をよく見てみる。最初は?と言った表情をしただけだったがやがて、慌てながら自分の体をあちこち触る。
 「え…え…え…私……男の子になってる?」
 「うん。そうだよ」
 千奈美から見て女の子だった時の千尋は美少女だった。短い黒髪の清楚系の美少女、そして、男の子になった千尋は美少年だ。男の子にしては少し髪が長い気がするが、千尋の面影が残っていた。はっきり言って、男の子の千尋は千奈美の超タイプの見た目だった。女の子だった千尋に恋愛感情を抱いていた千奈美だが、男の子になった千尋もいいと思っていた。
 「え…待って…なんで私が男の子に…え、違うでしょ…私よりちなちゃんの方が男の子になった方がいいでしょ……」
 どういう意味だ。と千奈美はツッコミたかったが、千尋も動揺しているのだろう。そんな千尋に追い討ちをかけるのは悪い気もするが千奈美は感情を抑えることができなかった。
 「千尋…私と結婚しよう。私が必ず千尋を幸せにする」
 「え…ちなちゃん……そんな、急に…え…」
 千尋は動揺する。当然だろう。だが、なんというかめちゃくちゃ幸せそうな表情をしているように千奈美は思えた。
 「ダメ…かな……」
 「ダメじゃないよ。うん。結婚しよう。今すぐ結婚しよう。欲をいうならちなちゃんが旦那様で私がお嫁さんがよかったけど…いや、それはわがままだよね。結婚できるようになっただけありがたいや…うん。結婚しよう」
 千尋は嬉しそうにそう言い千奈美の手を取った。
 「じゃあ、まずは結婚式を挙げないとな…ここはどこだ?」
 千奈美は辺りを見渡す。辺り一面、緑色だった。千尋と千奈美の荷物は、千奈美の最後の記憶であった、あの事故の時のもの。千尋と千奈美の服装もあの時のままだった。千尋も千奈美もジーパンにTシャツ、パーカー、という服装だ。千尋も千奈美もちゃんとお揃いのイヤリングとお揃いのペアリングを付けていた。
 「千尋、何かわかることはあるか?何もわからない場合、最後の記憶を教えてほしい」
 「何もわからない…最後の記憶は事故した記憶、ちなちゃんを助けようとしたらちなちゃんも私を助けてくれようとしたことまでは記憶にある」
 「そうか…あくまで仮説だぞ…笑わないでくれよ。私と千尋は死んだ。そして、荷物などはそのまま、千尋の性別だけが変わって、アニメとかでよく見る。異世界転生?だが異世界転移?をしてしまったとか…」
 「私と同じ考えだね…」
 千尋は千奈美の仮説に同意する。はっきり言ってそれくらいしか仮説も立てられない。それくらい異常なことが千尋と千奈美に起こってしまっているのだから……
 「とりあえず人を探すか…千尋、歩けるか?」
 「うん」
 千奈美に返事をしながら千尋は立ち上がり荷物をちゃんと持って千尋と千奈美は手を繋いで森を歩く。
 しばらく歩くと、小さな町のようなものが見えた。人もいるみたいだ。
 千尋と千奈美は顔を見合わせて、町に向かって歩き始めた。
 








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