好きだと素直に言えたなら、

あん

episode15

「あ、忘れてた」
「おい〜」

家に帰って、潤の顔を見てお土産を買ってくるのを忘れたことを思い出した。

「ごめんねー」
「忘れるほど楽しかったんだね」
「うん、楽しかった」
「そっかそっか。ならよかったよ」

潤はまた何か動画の撮影をしていたのか機材をいじりながらそう言った。

「ねぇねぇ、潤はさ女友達として好きだけどドキッとしたりすることってある?」
「え?何いきなり」

ふと気になって聞いてみた。

「ねぇ、ある?」
「あるけど?」
「どんな時?」
「えー、そう言われると出てこないなぁ」

機材をいじっていた手を止めて、私を見つめてくる。

「てか、なに。もしかして、だいちゃんとなんか進展でもあったの?」
「いや、進展とかそういうのじゃないけど」
「じゃあなに?」

私がソファに座ると潤は楽しそうに私の隣に並ぶように座った。

「いや、なんか今まで感じたことない変な感情になったの」
「変な感情?どんな?」
「んー、なんか一緒にいるだけで楽しかったり、話したいことが沢山あったり?」
「ドキドキしたりは?」
「今までなかったのに今日はなんかドキドキした」
「だいちゃんのこと好きになったってこと?」
「分かんないから潤に聞いてるんじゃん?」
「恋愛経験少ない俺に聞くことじゃないよ」

確かに潤はモテる割にはあんまり興味がないようで。
ていうか鈍感だから好かれていることにいつも気がつかないんだよなぁ。

「そうだよね」
「おい、嘘でもそんなことないよって言いなさい」
「そんなことないよ、お兄ちゃん。お風呂入ってくる!」

私はソファから立ち上がり、お風呂場へと向かった。

「可愛くねぇ」
「聞こえてますけど?」
「聞こえるように言ったんだよー」

失礼な兄だ。

「好きだと素直に言えたなら、」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く