好きだと素直に言えたなら、

あん

episode6

「うわ、すごい」

いわゆる書斎と呼ばれる部屋だろうか。
パソコンやカメラなどの機材も沢山置いてあった。

「最近忙しくてあんまり読めてないけど」

そういいながら一冊の本を手に取り、ページをめくり出す。

「俺ね、この本のこの部分めちゃくちゃ好きなんだ」

指さされた部分を見てみる。

「勇気は一瞬、後悔は一生」
「そう。なんか挑戦したいことがある時にいつもこの言葉思い出すんだ。今しかないんじゃないかって」

確かに渉くんはいつも何事にも挑戦しているイメージだ。
出来ないことなんてこの世にひとつもないんじゃないかと思うほど色んなことをお手の物にしてしまう。


「おじさんからのアドバイス」
「え?」
「俺、美怜ちゃんの夢応援してるから」

おじさんなんて歳じゃないのに、渉くんはいつもそう言う。

「覚えてるんですか?」
「もちろん」

確か高校卒業の時だから2年くらい前に言ったはず。
世界で活躍するダンサーになりたいって。
忘れっぽい渉くんが覚えてくれてるなんて。

「その本、あげるよ。しんどい時に読んでみて」
「ありがとうございます」

ーーピロンーー

(着いたよ) 

「潤から?」
「はい、着いたみたい」
「下まで送るよ」

下まで降りるとマンションの横に車に乗った潤がいた。

「渉くん、久しぶりですね」
「おー、相変わらず元気そうだな」
「めちゃくちゃ元気っすよ」

何回か動画でコラボをしている2人は兄弟のように仲がいい。

「また今度ご飯行こうな、美怜ちゃんも」
「お、いいねぇ〜」
「ちょっと寒いから俺もう帰るね」

まだ10月だっていうのに今日は季節外れの寒さの日らしい。

「ありがとうございました」
「うん、またね」

渉くんにお礼を言って助手席に乗り込む。

「気をつけて」
「はーい」

潤にそう言うと手を振ってマンションに帰っていった。

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