勇者?いいえ、聖・魔剣使いです。〈 聖・魔剣使いの英雄談〉

カザミドリ

幕間.一方その頃ベアトリス女王国では……(ミレナ女王視点)

現在ベアトリス女王国では、その主であるミレナ女王が大変忙しく執務に負われていた、女王という立場上激務は良くあることだが、現在はその比ではなかった。

「はぁ……」

今日何度目になるか解らないため息をつく、正確にはここ数日同じ内容でのため息だが。

コン、コン

「開いていますよ」

「失礼します、女王陛下お茶を入れましたので少し休まれては?」

「ええ、頂くわ」

メイドの入れてくれたお茶を飲んで一息いれる。

「その後どうかしら、メイド長」

「何とか切り盛りしていますが、前メイド長が抜けた穴は大きいです」

「苦労を懸けるわね」

「いえ、女王陛下こそ少しお休みした方がよろしいかと」

「ふふふ、私は大丈夫ですよ、ただ、クロエがまさか工藤様に仕えるとは予想外でした……」

「ハイ、まさかクロエ様が……」

女王が信仰の対象が明だと知ったのは出発の時、まさに寝耳に水である。

「それに続いて、数名のメイドも後を追うように辞めてしまいましたからね」

「せめて、アリシア様に残って頂ければ良かったですね」

「そうですね……」

「女王陛下?」

「まさかとは思いますが、他のメイドも工藤様の所に……」

「そ、それは……」

そう、他のメイドも信仰の為に辞職していた。

「大丈夫ですよ、きっと……」

「え、ええ、大丈夫ですよね、きっと……」

後日、明が帰って来た際、心労に見舞われることをこの時の女王はまだ知らない。

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