勇者?いいえ、聖・魔剣使いです。〈 聖・魔剣使いの英雄談〉

カザミドリ

5.砦強襲

会議室を出てすぐ、ゴーレムが居た。

「うぉ!ビックリした!」

シュッ!パキパキパキ!

思わず手に持っていた、ゲイボルクを射ったが、ゴーレムはちゃんと結晶化した、さすが聖剣。

「もう、ここまでゴーレムが?」

「いや、それはおかしいぞ、門からここまでそれなりの距離がある」

「うん、さっき爆発音が聞こえて、もうここにゴーレムがいるのは変だよね?」

「まるで、突然出てきたみたいだな?」

「とにかく、門まで行ってみましょう」

門につくと、そこは瓦礫の山であった、壊れた門からは魔物が入り込み、兵士達が防戦していた。

「我々も加わろう!」

妙だな、門の破片が内側から外側に飛び散っている、外から抉じ開けたのなら、普通は逆だ、と、そんな事を考えていたら。

「後ろから、ゴーレムが来たよ!」

「くっ、退路を断たれたか」

「ダイア!ゴーレムは任される、だから、そちらは任せたぞ!」

「分かった!気を付けろよ!」

ゲイボルクでは不利なので、一旦しまう。
取り出すのは、聖剣・デュアルホーン。
デュアルホーンに光を纏わせ、放たずにそのまま使う、すると、鋭利化の効果で岩のゴーレムも難なく貫ける。

「それにしても、妙だな、本当にこいつら突然出てきたぞ」

今俺の前には、十数体のゴーレムがいる、元々この砦にいたなどあり得ない数だ。

ゴーレムの動きはとても単調だ、距離をとれば石津ぶてが飛んできて、近づけば殴りや突進が来る、脅威となる防御はデュアルホーンで問題はない、だから普通のゴーレムなら直ぐに一掃できるんだが………

「これはさすがに、骨がおれるな」

十数体のゴーレムを難なく倒した後、次に出てきたのは巨大なゴーレム、マンションの三階ぐらいの大きさ、この大きさになるとデュアルホーンも通りずらいな。

「て言うか、ちゃんと偵察はしたのかよ、こんなの出てくるなんておかしいだろ!」

巨大ゴーレムは門の外から出てきた、この巨体なので、偵察班が気付かないのは変だよね?

「い、いや、我々が見て回った時は、こんな奴影も形もなかった!」

「といっても、実際ここにいるしな」

ふと、気づいたことがあり確かめるため、巨大ゴーレムの体をデュアルホーンで少しずつ削っていく。

何度か攻撃を避けたり、防いだりしながらゴーレムの体を削ると、目的の物が見えてきた、ゴーレムにはコアという物がある、通常のゴーレムでは小さくて見えないが、このサイズなら大きく見易い。

「なるほどね、突然出てきたトリックが分かったぜ、という訳でお前はもう用済みだ」

ゴーレムの体を駆け上がり頭を踏み台に、真上に飛ぶ、俺を握り潰そうと手を伸ばしてくるのを見据えて、光を纏わせたデュアルホーンを構える。

「貫け、デュアルホーン!!」

光を細く一点に集中し突き出す、そうすることにより周りに被害なく、コアを貫ける。

ダイア達の方も終わったようです、集まってくる。

「あのゴーレムを倒すとはな、正直助かったよ」

「いや、大したことないさ」

「うーん、それにしても、ゴーレムはどこから出てきたんだろう?」

「その答えなら、さっき分かったぞ、奴らは石になって来たんだ」

「石に?確かにゴーレム達は石ですが?」

「いや、そうじゃなく、コアに少しばかりの石を形成して、小石として侵入したんだ」

「なるほど、馬車などに石があっても、ただ捨てるだけ、誰もそれがゴーレムのコアとは思わない」

「だから、簡単に入り込めたのか」

「あぁ、さっきの巨大ゴーレムのコア周りの石には、泥が付いていた石の状態で地面を移動した証拠さ」

「なるほど、よし、今度から入ってくる馬車に、石がないかも確認させよう」

これで、ゴーレム対策は大丈夫だろう。

「このあと、俺達はどうする?」

「うむ、三班に別れ反抗作戦を開始しようと思う」

「三班に?」

「あぁ、一班は砦に残り防衛を、二班は陽動になり敵の戦力の分散を、三班は帝都に行き城塞の奪還を担って貰う、何か班分けに意見はあるか?」

「なら、ワタシは砦に残り防衛をしましょう、工藤様、姫様をお願いします」

「分かった、荷物は預かろう」

「荷物!?」

アリシアに答え、エレナ姫の驚きの声は無視する。

「では、俺は、囮として動こう」

「いいのかい、ガーロンド?」

「あぁ、囮は出来るだけ人数が多い方が目立つだろうから、冒険者を連れて行こうと思うがいいか?」

「あぁ、それと兵士の半数も連れて行ってくれ、多くの村を回って、魔物を狩ってくれると助かる」

「なら、俺達は帝都行きだな」

「工藤達には苦労を掛ける、すまない」

「別に構わない、どうせ魔王を倒すために来たんだ」

「そうか、魔王は倒せるのか?」

「まぁ、何とかなるだろ」

情報は多くないのでなんとも言えないがな。

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