勇者?いいえ、聖・魔剣使いです。〈 聖・魔剣使いの英雄談〉

カザミドリ

4.作戦会議

一悶着有ったため、一休みする事に、その間に大まかな状況を聴いておく。

「現在、ガレオン城塞は魔王に占拠されてると、思われる」

「ガレオン城塞?」

「ガレオン城は、強固な防壁を持つことから、城塞と呼ばれています」

「その防壁が、何で破られちゃったの?」

「突然、城塞内に魔王の使役する、ゴーレムが現れたんだ」

「突然?城門からとかではなく?」

「突然だ、門も破られてなく、城内で涌いたと言っていいくらいだ」

「ふむ、今回の魔王はどんな奴だ?」

「おそらく、魔王ダンガロンだな、岩の魔族で鉱石を集めて、岩の肉体を強化する能力だ」

「空を飛ぶとかは?」

「無いな、そもそも、岩なので飛べないし、羽もない」

ナビさん、本当?

〈ハイ、間違いありません、魔王・ダンガロンは空を飛ぶ事はできません〉

ふーむ、本当に突然出てきたのか。


話をしていると、兵士が入ってくる。

「報告します!偵察に出ていた部隊が帰って来ました、会議室にてお待ちです」

「そうか、分かった直ぐに行こう」

会議室にダイアを先頭に入ると。

「おぉ、ダイア様聞きましたぞ、レイモンド様を倒し、帝位を奪われたとか」

レイモンド?誰?

〈バカ皇帝です〉

マジか、あいつそんなオシャレネームなのか。

「いや、アタシはなにもしてないんだが……」

「ハッハッハ!ご謙遜なされるな!」

「いや、本当に……」

長くなりそうなので、先に席につく、とりあえず、澪達と長机の片側に集まり、反対側にダイア達に座って貰えばいいだろ。


ある程度落ち着き、ダイアが会議を始める。

「オホン!さて、まず偵察の報告を受けようか?」

「その前に、ダイア様一つ宜しいかな?」

「あぁ、なんだ?」

「勇者日野様は、どこに?」

何故か、先ほどダイアに詰め寄っていた男が、日野の所在を聞いてきた、ちなみに日野は城を守るためと言って引きこもっている、いい大義名分を得たものだ。

「残念ですが、日野様は来られておりません」

「貴方は?」

「申し遅れました、ベアトリス王国王女のエレナと申します」

「おぉ、これは失礼した、ワタシはガレオン帝国で冒険者ギルドの、マスターをしておりますガーロンドと申します」

あれがギルマスか、微妙だな。

「して、勇者無しで、どうやって魔王と戦うおつもりか?」

「こちらに居る、工藤様は二度魔王を倒しております」

「そうでありましたか、しかし、変ですな、勇者の御披露目パーティーに参加されていなかったように、思いますぞ?」

「あぁ、勇者じゃないからな」

「ほぅ、勇者じゃないと、ふざけるな!そんな奴に何ができる!ワタシはな、パーティーでの日野様の演説に心打たれたのだ、彼こそ、本物の勇者だ!」

あいつ、演説なんてしてたのか?まぁ、全く興味ないからいいか。それにしても、この世界の人間の勇者への信頼は何なんだろうな、何かあるのかね?

とにかく面倒だな、バカ皇帝みたいにぶちのめしてもいいのだが、一々面倒だな。
よし、手っ取り早く、力の差を見せてやろう。

「来い、ゲイボルク!」

その場で、聖剣を召喚した俺を見て、エレナ姫達が凍りつく何をやるんだと言う目で見ているな。
俺は無言のまま、ゲイボルクを威圧を含めながら引き絞り構える、狙いはガーロンドではなくその後ろの壁である、もちろん手加減をして壁が壊れないように注意する。

シュッ!カッ!バキバキバキ!
ガラ!ガラ!ガラ!

放たれた矢は壁に刺さり結晶化させていく、手加減したのだが一部の壁は衝撃に耐えられず崩れ落ちてしまったが、力を見せつける事ができたようでそれを見たガーロンドだけではなく、隣に居たダイアまでもが青い顔をする、今度はそんな二人に殺意を込めながら引き絞ったゲイボルクを向ける。

「何か、言う事は?」

「す、すいませんでした!」

直ぐに席から立ち上がり、土下座をするガーロンド、残念ながら机が邪魔で見れない。

「す、すまない、明、止めなかったアタシにも非がある、許してくれないか?」

そのまま、なにも言わず席に座り直し、エレナ姫に視線を向ける。めんどくさい話はエレナ姫に任せる。
わ、私ですか!?と言う涙目の視線は無視して、目を閉じる、無論ゲイボルクは持ったままだ。

「え、えっと、顔を上げていただいて大丈夫です、しかし、工藤様の力はご覧いただいた通りです、あまり軽んじる発言をしないでください」

「は、はい!肝に命じておきます!」

その後、改めて偵察の報告を受ける。

「今のところ、魔王の追っては確認できなかった、恐らく、侵略はまだここまで来ていないのだろう」

「ふむ、近くの村の様子はどうだった?」

「至って平和そのものだった、ただ、城塞が墜ちた事は、行商の話で知られているらしい」

「そうか……」

平和といっても不安はあるだろう、その事を気にしているのか、ダイアの表情が曇る。

「次に、これからについてだが、まずは帝城の奪還からだな」

「といっても、強固な防壁で囲まれていて、中に入るのは容易ではないぞ?」

「隠し通路等は無いのですか?」

「あったが、先の襲撃で瓦礫に埋もれてしまった」

「一つ、いいか?」

「うん?明なんだ?」

「そこは、城の構造上吹き飛ばしても大丈夫か?」

「あぁ、問題ないと思うが?」

「なら、その隠し通路から俺が城の中に侵入しよう」

「大丈夫なのか?さっきも言ったが、瓦礫に埋もれているんだぞ?」

「あぁ、問題ない」

「分かった、明に任せよう」

「では、次に……」

ドォーン!

会議を続け様とすると、外から爆音が聞こえる。なんだ?

〈魔王の配下ゴーレムが襲撃に来ました〉

ゴーレムは、居ないんじゃなかったか?偵察の意味って……

仕方ない、肩慣らしにやりますか。

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