人という形

ふみゅうひぅ

第23話

ジョン「……夕方か」


個室はないため打ち合わせをした部屋で寝袋の中で寝た


マイク「よ!おはよう!」

ジョン「ああ。……なんかいい事あったのか?」

マイク「いやぁ、正直新しい大陸とかワクワクしないか?」

ジョン「……まあな」


その時、ヒュウが目を覚ます


ヒュウ「ん……おはよう」

マイク「よう!おは……」


マイクは驚く


マイク「お前……泣いてるのか?」

ヒュウ「ん?ああ……これか」


ヒュウは涙を拭く


ヒュウ「昨日の寝る前から涙が止まらないんだ」

ジョン「大丈夫か?」

ヒュウ「体調に影響はない。…………あのことが引き金になったのかもしれん」


昨日の壮絶な記憶を思い出す


ジャック「…………なあ、俺が届けた弾丸はどんな素材を使ってたんだ?特別なものなんだろう?」

フレリア「今日向かう大陸に伝わる魔力を抑える薬を混ぜた弾丸よ。魔力を持たないものに対してはただの弾丸に過ぎないわ」

フレリア「依頼主が届けさせたみたい」

ジャック「依頼主は誰なんだ?」

フレリア「それは殺し屋として死んでも言えないわ」

マイク「……なあ、ヒュウの様子が変なんだが……」


ジャックとフレリアはヒュウに近寄る


ヒュウ「大袈裟だな、大丈夫だって」

ジャック「いや、おかしいだろ……。目にゴミかなんか入ってる訳じゃ無さそうだし、充血もしていない……」

フレリア「これは…………」

ジョン「何か心当たりあるのか?」

フレリア「泣骸病なきがらびょうじゃないかしら……」

マイク「泣骸病?」

フレリア「詳しくは知らないけど、発症した人は涙が出続けるらしいわ。そして最後は死んでしまい、身体は黒く変色し、粉々になるって……」

マイク「そ、そんな……!」

ジョン「治す方法は無いのか?」

フレリア「私もよく知らないって言ったでしょ……。ただこの大陸に来て1年ぐらいになるけどこの症状が出た人を見たのは貴方が初めてよ」

フレリア「……病原も不明、何故泣くのかも何故死んで変色して粉々になってしまうのかも不明……でも初めて泣骸病が確認されたのは次行く大陸らしいわ。何か手がかりがあるかも……」

ジャック「その大陸は一体なんなんだ?」

フレリア「かなり大きい島よ。カリバーンより大きい国があると言えば分かるかしら」

ジョン「大丈夫だ、絶対に死なせはしない」


ジョンはヒュウを元気づける


ヒュウ「未知の島に向かおうってのによく言うぜ……。でも、お前が言うと何故か信じられるよ、ありがとう」

マイク「とりあえず何か飲めよ。水分不足が死因かもしれねぇ」


マイクは水をコップに注ぎ渡す


ヒュウ「ああ、ありがとう」


ジャックは他に聞こえないようにフレリアに尋ねる


ジャック「死亡するまでどれぐらいなんだ?」

フレリア「個体差があるわ」

ジャック「本当に何も知らないのか?」

フレリア「隠してどうするのよ……。治療法なんてまだ見つかっていないわ」

ジャック「……」

フレリア「とにかく今は夜を待つしかないわ。そして向かう大陸に賭けるしかない……」





ジャック「……忘れ物はないか?」


各自、最後の確認をする


ジョン「……大丈夫だ」

フレリア「もう当分、ここには戻ってこれない、いいわね?」

マイク「ああ」

ヒュウ「…………」

フレリア「それじゃ……行くわよ」


5人はボートに乗り、フレリアはエンジンをかける
洞窟を抜け、海に出た
その時、マイクは偶然、ある人影を確認する


マイク「あれってあの兵士じゃないか?」

ジャック「あいつ…………」


へーたんだった
彼は手を振っていた。周りに他の兵士はいない


ジョン「……ありがとう」


月の光のみで映し出される黒い水面
それにうっすら恐怖や不安を覚えるが、同時にそれはどこか美しかった


その頃


???「…………ん……」

???「あれ……私……生きてる……?」


深い森の中、1人の女は目を覚ます


???「目が覚めましたか?」


隣に1人の男がいた


男「大丈夫ですか?ご自分の名前は覚えていますか?」

女「……私は……マナミ」

男「マナミさん、私は元ヴァンパイアの人間なのですが、血が足りなくて……彷徨っていたら貴女を見つけたのです」

マナミ「……は?」

男「それで……申し上げ難いのですが、少々血を頂いてしまいました……」

マナミ「は、はあ!?ふざけんなよ!」

男「ご、ごめんなさい!!私も死にかけだったもので……!それにもう死んでいるものかと……!」

マナミ「そ、そうよ……なんで私、生きてるの……?あの傷じゃ確実に……!」

男「…………いいですか?よく聞いてください」


男は女を見つめ、話す


男「貴女は確かに、死にかけでした。ですが私に噛まれたことによって貴女は……」

男「……ヴァンパイアになってしまったのです」

マナミ「……は?」

マナミ「はああああああ!?」

マナミ「ヴァンパイアってあれでしょ!?太陽光に弱くて夜な夜な血吸ったり何百年も生きるあれでしょ!?」

男「それです……」

マナミ「ふざけないでよ!?あんた私になんの恨みがあるのよ!私が悪いんか!?私がなんかしたのか?むぎゃああああああ!!!!」


マナミは男を揺さぶる


男「うっ……気持ち悪っ」

マナミ「気持ち悪って私の事か!?ええそうよ私はキモイ女よ!大学でもいつも1人だしまともな恋愛したことないただのオタクよ!それの何が悪いって言うのよっ!!」

男「な、何を言ってるんですか、さっきから……!大体、どの道あなたは死んでたと思いますよ……ヴァンパイアになって再生能力を得たから今こうして喋られるんです……!」

マナミ「……確かに、傷が嘘みたいに消えてる……」

男「それに、太陽光に弱いと言っても死にはしません。寝る前部屋を暗くして起きて電気つけたら眩しくて目が痛いあれが常にあるくらいです」

マナミ「それ以外は?」

男「…………」

マナミ「ふざけんなあああああ!!!」

マナミ「もうお嫁に行けないわ!責任取りなさいよ!」

男「……貴女には私なんかより相応しい人がいますよ」

マナミ「え……」


アニメなどでよくあるシチュエーションにドキッとする


男「……ではさようなら!」


ヴァンパイアの男はそそくさと去っていく


マナミ「あ!待て!!」

マナミ「うう……どうしよ……」


何かを忘れている


マナミ「…………!!」


マナミは咄嗟に辺りを見渡す


マナミ「……マイクを探さなきゃ……!!」



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