人という形

ふみゅうひぅ

第21話

ヒュウ「……すまない、俺が勝手な真似をしたせいで……」

ジョン「お前のせいじゃない」

マイク「そうだよ、誰だっておかしいと思うだろ!」

ジャック「お前がやってなかったら俺がやってたさ」


暫く歩くと落書きがされた小屋を見つける

「虫注意!」

「ゴミ箱」

「公害」


ヒュウ「……ふざけんな」


中に入ると2人の男女が寝ていた


ヒュウ「ごめんください」

元虫の男「……どちら様かね?」

元虫の女「……!?あなた、あの子がいないわ……!」


ヒュウは全てを話した


元虫の女「それじゃああの子は……!」

元虫の男「私たちを思って夜な夜な……くっ……!」

ヒュウ「…………すまない、俺は……」

元虫の男「いや……あんたは十分やってくれた、ありがとう」


その時、ジャックは匂いを嗅ぐ仕草をし、こう言う


ジャック「……おい、なんか焦げくせぇぞ」


ジョンは何かを察し、玄関のドアノブを捻り、押す


ジョン「……開かねぇ」

マイク「ここまでするかよ……!」

ヒュウ「まずい……!おい、脱出出来る場所を探すぞ!あんた達も逃げるぞ!」


しかし


元虫の男「私達は……いいです」

元虫の女「ええ……」

ヒュウ「何!?」

元虫の女「私たちと出ていけばきっとあなた達も迫害を受けます」

元虫の男「私達は迫害のあまりお金が無く、あなた達をここまで連れ、襲った……そういうことにしてください」

マイク「ふ、ふざけんなよ!?そんなこと出来るか!さあ立てよ!」

元虫の男「無理です。私達はもう歩けない身体なんです」

ジャック「だったら運んでやる」

元虫の女「いいんです!!」

ヒュウ「!!」

元虫の女「もう……疲れました。必死に生きても元虫というだけで暴行され、それは正当化され……」

元虫の男「挙句の果てには、息子まで……」


その時ジョンが叫ぶ


ジョン「おい、裏口はまだ開くぞ!」

元虫の女「早く行ってください!」

ヒュウ「そんな……そんな……!!」

元虫の男「ありがとう、あんた達みたいな人もいるって分かっただけで十分だ……」

ジャック「くそっ、火の回りが早い……もう限界だ!逃げるぞ!!」

マイク「すまない……!」

ヒュウ「いやだ……いやだ!もう誰も死なせたくない!」

ジャック「ヒュウ、もう無理だ、この人たちは……!」

ヒュウ「こんなの……あの時と一緒じゃないか!!」

元虫の男「この人を連れて逃げてくれ」

ジャック「……分かった」

ヒュウ「いやだああああ!!」


ジャック達は裏口から外に出る
その瞬間、家の屋根は崩れ落ちる


住人1「あんたらも奴らの仲間かぁ?」

住人2「殺っちまおうぜ!」


大勢の街の住人に囲まれていた


ヒュウ「…………てめぇらあああああああ!ふざけんなああああああああああ!!!」


ヒュウは住人達を力任せに殴り飛ばす


兵士1「そこまでだ!大人しくしろ!」


兵士達はヒュウ達に銃を向ける


ジョン「マジで兵士までグルかよ……!」

ジャック「流石に逃げ道はないぞ……まずいな」

マイク「どうしたら……」


その時、何かが空気を切り裂く音がし、兵士の1人が倒れる


兵士2「おい!しっかりしろ!」

ジャック「……おい、逃げるぞ!」

マイク「え!?」


ジャック達は走り出す


兵士2「おい!罪人が逃げるぞ!撃て!!」


しかし元虫の家族が迫害されていた未開拓の森
銃弾は木々に命中した


兵士2「追え!追え!」


兵士たちは追う


へーたん「あっちに人影が!」


兵士たちは別の方向へ向かう


へーたん「(……生きろ)」

ジャック「……ありがとな」

マイク「……これからどうする?」

ヒュウ「…………」

ジョン「……ヒュウ?」


ヒュウは気絶していた


ジョン「ヒュウ……!」

ジャック「火にトラウマがあるのにあんなの見せられちゃこうもなるさ……。俺が運ぶ」


その時、声が聞こえる


???「その先を暫く歩くと洞窟があるわ。そこまで来て」

ジャック「……ネックレスからだ……」

ジャック「……フレリア、君か?」

フレリア「いいから早く!」


通信は切れる


ジャック「……行こう」

ジョン「信頼出来る人か?」

ジャック「そこらの屑よりかはな……」

マイク「どうせ行くあてもない、行こう」



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