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以心伝心

うみかぜ

第二十話 俺は何しに戻ってきた…?

重いまぶたを開く。
「朝か。」
昨日、あれからよく覚えていない。自分が暴れたのは、この部屋の有様を見ればよく分かる。
「俺は何がしたかったんだ?」
何事もなかったように部屋を片付けた。

今日は六月四日。今日も平日で、もちろん学校があるため、学校に向かった。
着けば、授業を受ける。だが、仁人にとっては昨日と同じく、分かり切った内容だった。今日も特に考え事もせず、ぼーと、授業を受けた。昼になり、家から持ってきたパンを食べ、午後も授業も受け、気づけば放課後。
もちろん、帰宅部の仁人はまっすぐに帰宅する。
ここまではただの日常だった。しかし、普通じゃない事が起こった。
昨日と同じだ。家の近くを歩いている時、
『シュッ!トンッ。』
昨日も同じ事が起きていた。いや、昨日と同じではない。昨日はビール瓶が飛んできた。だが、今日は違った。仁人は、ものが飛んできた方向を見る。
「包丁だ。」
しかも、少し錆びている。少し赤くなっているので、魚か肉を捌いた後なのだろうか。いや違う。さっき少し顔に当たった気がした。自分の顔をそっと触ってみる。すると、ベタッと嫌な感覚がした。
「血だ。」
自分の手には血が付いていた。
この包丁は、確実に自分に向かってきた刃物。これは間違いなく、仁人は命を狙われていると確信した。
走り出す。持ち物は邪魔だ。捨てる。少しでも身軽にして、後、家まで数百メートルの道をダッシュする。
「怖い、怖い、怖い。」
恐怖しかなかった。そして、無事に家に到着した。家に着いてからも心臓の鼓動が鳴り止まない。生きた心地がしなかった。

鏡の前にいき、顔をみる。左頬が少し切れていた。だけど、少しだけ。本当に擦り傷だった。だが、その傷を見るたびに寒気がする。気分が悪くなる。吐き気がする。
自室に戻った仁人は、座り込み、延々とスマホをいじり続けた。誰に、何を言われようが気にしない。ここから動かない。
「寝たら殺される。」
いつ狙ってくるか、分からない。だから、寝れたものじゃなかった。何日経ったか分からない。具合が悪い。当たり前だ。もう自分の意識とかが分からない。そして、仁人は力尽きた。

再び目を開いた時は、知らない風景が広がっていた。

薄暗い。何かよく分からないが倉庫のようなところにいた。
「ん?」
手を見ると手錠をかけられていた。そして、注射針が刺されていていた。自分の横にあるのは恐らく、点滴スタンド。だけど、自分の体に何が入っているかは分かったものではない。
「うっ……。がぁぁっ!!!!」
急激に心臓が痛くなる。その心臓を抑えようとするも、手錠がかかっており、身動きが取れない。そして、手足の感覚は消え、体から力は消えていく。

「起きたのね。夜上仁人君。」
暗闇の中から声がした。足音がする。明らかにやばい気がする。このままだと、自分は死ぬ。逃げないと。と必死に手錠を外そうとするも、鍵がかけられていて逃げられない。
すると、女性が現れた。
「おい、てめぇ、俺に何しやがった!!?」
仁人は半開きの目を向けて言った。意識が朦朧としていて自分がどんな顔をしているか分からない。
「何って、見ての通りあなたを拘束したのよ。」
「だから、それで俺をどうするつもりだよ…!!」
すると、その女はニヤリと笑った。
「いちいち言わなちゃダメ?まあ、いいけど。あなたを殺すだけ。」
「……。」








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