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以心伝心

うみかぜ

第二一話 覚えていない

「だからー。あなたを殺しにきたんだって。」

すると、ようやっと、声だけ聞こえていたのが姿も見えた。


目つきは鋭く、格好はドス黒い。ハイヒールを履き、大きく見える。目が少し見えるくらいで後はよく分からない。何か被り物をしてる。
その目つきの鋭さは今、意識が朦朧としている中でも分かる。
「こいつはやべぇや。」
仁人は恐怖しか感じなかった。

「アハハッ。怖がっちゃったかしら?いい顔ねえ。」
そう仁人の顎を掴み軽く「クイ」っと上げてくる。
「そうね。まずは、足の小指からいこうかしら?可愛いくらい小さいから無くても大丈夫よね?右がいい左がいい?何も言わないなら左からやるけど。」
そう言ってその女はハサミのようなものを取り出した。ハサミのようなものだが、絶対にハサミより切れる。そんな見た目。

『ブチッ』
「や、やめ……。アァァ!!!!!!」
血が止まらない。あり得ないくらい、床に垂れている。痛いという次元じゃない。

「やめろ!俺を殺しても何もないぞ!」
すると、またもや鋭い目つきで仁人を見てくる。
その女は一旦息を吸った。
「何もない……。どの口がいってんだよ!!!!!」

あまりの声の大きさに耳が一瞬聞こえなくなった。
そして、またハサミのようなもの仁人に向ける。
「やめろー!!!!!」
そして、左足、薬指を切り落とされた。
「アァァァー!!」
その女はハサミのようなものを遥か遠くへと投げた。
「自分がしている事に気付いてないようね。まあ、だったら……。痛めつけて、気づかさせるだけだけど?すぐ殺すなんて甘っちょろい事しない。」
「ぐわぁっ!」
腹に蹴りを入れられた。威力がおかしい。
「うりゃぁ!!」
「グッァァァァわー!!!!、!!」
『はあ、はあ……。』
なんども蹴りを入れられ、ほとんど意識はなくなった。動く気力もない。

「だいぶ、静かになったわね。それでも自分がやった事に気づかない……。」
「し、知るかよ……」
『ドンッ』
「あぁー!!!」
再び腹に蹴りを入れられる。
仁人は我をなくしていた。何も考えられない。思考が停止している。今何が起きているのかよくわからない。まるで夢を見ているような曖昧さ。よく分からないけど、この言葉を言わないといけない気がした。
反射的に出た言葉だった。
「2、2014年!!!!!」
仁人の周りには竜巻のようなものが一瞬起こり、その場から仁人はいなくなった。

「消えた。」

仁人は気がつくとさっきまでの、痛みは全て消えていた。
さっき切り落とされた指、蹴られた腹、全ての傷が治癒している。
「はあはあ……。ここは……。」
自分が『2014年』と叫んだ事は覚えていた。
「再び戻ってきたのか……。」
「うっ、動けない。」
傷口は消えていたが、手錠は外れていなかった。
「戻ってきたのか2014年に。」
少し時間が経ち我を取り戻した仁人。そして、はっと、思い出せられる事があった。
「あの時、この時代に来て、助けてくれた人。俺が、あの絶望の状況から救ってくれた人。」
口が上手く動かない口を一生懸命動かしてやっと名前が出てきた。
「あ、朝倉由美」

その言葉を口にした途端、涙が止まらない。嗚咽した。それから、顔をくしゃくしゃにしながら、
「早く会いに行かないと。」
そう言って動こうとするも、手錠があって動けない。
「クソッ!」
すると、身に覚えのある感覚。何か来る。
そう感じた。
タッタッタと足音が聞こえる。倉庫のドアが開く音がして、足音が近づいてくる。
「仁人??」
それは1ヶ月以上毎日聞いていた声だった。
「もしかして、みーさん!!!」
「仁人!!」
目の前に現れたのは、朝倉由美だった。

「大丈夫!?待ってて今すぐ助ける。」
そう言ってクリップを出した。そして、いとも簡単にそれを変形させ、手錠の鍵を開けた。
「みーさんってそんな事までできるんですか……。」
「私、天才肌だから、これくらいの鍵なら開けられる。」
その話し方、反応を見て、
「やっぱり、みーさんだ。お久しぶりです。」
彼女が朝倉由美だと言う事を確信した。
「待たせすぎよ。」
「まだ、二週間しか経ってませんよ……。」
「二週間も経ってるじゃない。」

夜上仁人と、朝倉由美は再会した。




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