以心伝心
第十七話 過去の二人
直也をひとまず、説得させることに成功した、仁人と由美。
「告白されるのは明日。俺が経験した未来通りだったらそうなります。なので、俺はその現場を見ておきたいんです。」
「ダメ。」
返ってきたのはシンプルな答えだった。
「なんで、ですか?」
仁人は元気のない目線を由美に送る。
「もし、小学生の仁人とばったり出会したらどうするの?」
「いいんです。もう、俺には時間がほとんどないと思うんです。」
あれから、体のよく分からない部分が痛かったり、仁人の体は、悲鳴をあげていた。それと同時に、恐らく自分は未来に戻されるのだろうと思った。
「それでも私は、仁人には行って欲しくない。」
由美は短いからこそ、時間を無駄にしたくはなかった。
「いいんです。もう、この時代には、時期にいなくなる人間なので。」
2020年の人間が2014年にいるというのは本来おかしい事。仁人はたまたま迷い込んで来てしまった。本来は2020年に居なければならない、存在である。
「はあー。分かった。私も行く。」
一つため息をついた由美は交渉を諦めて仁人に付いていくことにした。
「ありがとうございます。」
「だけど、もし未来に戻ってしまっても絶対に帰ってきて。」
「任せてください。」
どこから出たのか分からない自信。だけど、今はこう言うしかなかった。
六月三日の午後三時過ぎ。仁人は昔、自分が通っていた虹川小学校に向かった。
いつも遊んでいた校庭。古臭い体育館、普通の四階建ての校舎。
「懐かしい。」
懐かしさに浸っていた。
少々、時間は経ち、六時間目の授業が終わった。
ちょうど、その時に由美が到着した。
「校門前で告白かー。ほんとにすごいのね。その子。」
校門前で告白は大胆すぎる。
「なんと言っても「完璧の陽奈」って呼ばれてるわけですからね。」
若葉陽奈は、仁人と直也の同じクラスの女子。クラスのリーダー格で勉強、スポーツなんでもこなすので、ついたあだ名は『完璧の陽奈』だ。
すると、校舎から一人出てきた。
「あの子ね。」
「そうです。」
若葉陽奈という存在は、由美が初見で一発で分かるほどだった。黒髪ストレートにスタイルがいい。クリっとした眼。可愛いというより美人。
「あれで小六!?若い子は怖い……。」
「言ってる事がおばさんみたいですよ。」
五分程経った後。直也が校舎から出てきた。仁人も一緒だ。
「絶対に見られないようにね。」
「分かってますって。」
もしかしたら、いやもしかしなくても2014年の仁人が現れるので、2020年の仁人に見られないように、二人は近くにある公園の木の影から見ていた。距離としてはギリギリ声が届くくらい。
「あのー。直也君に用事があるんだけどいいい?」
陽奈が直也に話しかけた。
「お、おう……。なんだ?」
「出来れば二人で話がしたいの。」
「んー。どうした?」
そこに、空気を読まないで小さい方の仁人が登場した。
「こう見てると俺邪魔だな。」
「そうね。私もそう思う。」
「そこは嘘でも言わないお約束。」
すると、直也は
「悪い、ちょっと用事ができた。今日は先帰ってて。後で家言って遊ぼう。」
「おうよ。分かった。また後でー!」
と仁人は先に帰って行った。
「あいつ、俺の扱いあそこまで上手かったっけな。」
「もてあそばれてたのね。」
「言い方……。」
そして、陽奈が
「あのー。私……。ずっと、ずっと前から直也君の事が好きだったの……。だから、……。」
目をちらちらさせて、手をもじもじさせながら、絶対にわざとやっている仕草に、
『あざとい』と仁人と由美は思った。
「いいよ!俺でよければ。」
直也はそう答えた。
「ほんと!?ありがとう!」
「これで、恋人成立ですね。」
「そうね。それに今、だいぶ校舎から人が出てきて、影でこそこそしてる人もいるし、こんな状況じゃ断れないわね。」
「だから、『完璧の陽奈』なんですよ。あいつは。」
「見届けたし、帰ろ…うっ!!!」
急に、仁人はその場で頭を抱え込みうずくまった。
「告白されるのは明日。俺が経験した未来通りだったらそうなります。なので、俺はその現場を見ておきたいんです。」
「ダメ。」
返ってきたのはシンプルな答えだった。
「なんで、ですか?」
仁人は元気のない目線を由美に送る。
「もし、小学生の仁人とばったり出会したらどうするの?」
「いいんです。もう、俺には時間がほとんどないと思うんです。」
あれから、体のよく分からない部分が痛かったり、仁人の体は、悲鳴をあげていた。それと同時に、恐らく自分は未来に戻されるのだろうと思った。
「それでも私は、仁人には行って欲しくない。」
由美は短いからこそ、時間を無駄にしたくはなかった。
「いいんです。もう、この時代には、時期にいなくなる人間なので。」
2020年の人間が2014年にいるというのは本来おかしい事。仁人はたまたま迷い込んで来てしまった。本来は2020年に居なければならない、存在である。
「はあー。分かった。私も行く。」
一つため息をついた由美は交渉を諦めて仁人に付いていくことにした。
「ありがとうございます。」
「だけど、もし未来に戻ってしまっても絶対に帰ってきて。」
「任せてください。」
どこから出たのか分からない自信。だけど、今はこう言うしかなかった。
六月三日の午後三時過ぎ。仁人は昔、自分が通っていた虹川小学校に向かった。
いつも遊んでいた校庭。古臭い体育館、普通の四階建ての校舎。
「懐かしい。」
懐かしさに浸っていた。
少々、時間は経ち、六時間目の授業が終わった。
ちょうど、その時に由美が到着した。
「校門前で告白かー。ほんとにすごいのね。その子。」
校門前で告白は大胆すぎる。
「なんと言っても「完璧の陽奈」って呼ばれてるわけですからね。」
若葉陽奈は、仁人と直也の同じクラスの女子。クラスのリーダー格で勉強、スポーツなんでもこなすので、ついたあだ名は『完璧の陽奈』だ。
すると、校舎から一人出てきた。
「あの子ね。」
「そうです。」
若葉陽奈という存在は、由美が初見で一発で分かるほどだった。黒髪ストレートにスタイルがいい。クリっとした眼。可愛いというより美人。
「あれで小六!?若い子は怖い……。」
「言ってる事がおばさんみたいですよ。」
五分程経った後。直也が校舎から出てきた。仁人も一緒だ。
「絶対に見られないようにね。」
「分かってますって。」
もしかしたら、いやもしかしなくても2014年の仁人が現れるので、2020年の仁人に見られないように、二人は近くにある公園の木の影から見ていた。距離としてはギリギリ声が届くくらい。
「あのー。直也君に用事があるんだけどいいい?」
陽奈が直也に話しかけた。
「お、おう……。なんだ?」
「出来れば二人で話がしたいの。」
「んー。どうした?」
そこに、空気を読まないで小さい方の仁人が登場した。
「こう見てると俺邪魔だな。」
「そうね。私もそう思う。」
「そこは嘘でも言わないお約束。」
すると、直也は
「悪い、ちょっと用事ができた。今日は先帰ってて。後で家言って遊ぼう。」
「おうよ。分かった。また後でー!」
と仁人は先に帰って行った。
「あいつ、俺の扱いあそこまで上手かったっけな。」
「もてあそばれてたのね。」
「言い方……。」
そして、陽奈が
「あのー。私……。ずっと、ずっと前から直也君の事が好きだったの……。だから、……。」
目をちらちらさせて、手をもじもじさせながら、絶対にわざとやっている仕草に、
『あざとい』と仁人と由美は思った。
「いいよ!俺でよければ。」
直也はそう答えた。
「ほんと!?ありがとう!」
「これで、恋人成立ですね。」
「そうね。それに今、だいぶ校舎から人が出てきて、影でこそこそしてる人もいるし、こんな状況じゃ断れないわね。」
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