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以心伝心

うみかぜ

第四話 完全上手

「いや、他人には話さないで欲しいんだけど……。」
「未来から来た人が隣にいて、そこから何もしないなんて、面白くない事しないわけないじゃない!今すぐTwitterに載せよ。」
「ま、マジか……。」
完全に詰んでしまった仁人。
「待って!頼むから!なんでもするから!」
お願いするしかなかった。今、パンツのネタを入れて『あれ、思い出すよ?』と言って脅そうとか考えたけど、逆効果だとすぐに気づいたのでやめた。
「そこまで言うんだ。逆に載せたくなるけど、いいよ。さすがに可哀想に思えてきた。」
「あ、ありがとう……。」
「何、してもらおうかな?」
そう言ってからの彼女の顔は、実に楽しそうだった。仁人は恐怖しか感じない。
「実はー。今日、おばあちゃんのお見舞いのでここにいるんだけど。今日、大学に通うために、この近くに引っ越してきたばかりでー。その手伝いをしてもらおうかな?」
女子高生だと思っていたが、女子大生だった。
時は2014年に飛んだのでだけなので、恐らく今は4月だと予想していたが、案の定そうだった。あれは、本当に西暦をぴったり何年か飛ぶだけで、場所や月などは同じらしい。
「わかりました……。いいですよ。でも、大学に通うのに引っ越してくるには少し時期的に、遅いのでは?」
「つい、先日までは遠いところから通っていたのよ。本当は三月下旬には引っ越す予定だったんだけど、色々あって遅れちゃってね。」
「そういうことですか……。」
「歳上と分かった途端に敬語かー。君、意外と真面目?」
「自分で真面目と言う人は、真面目じゃない気が……。」
「アッハハ、確かに。」
完全に向こうが上手だ。
仕方なく、仁人は言われた通り、引っ越しの手伝いをする事にした。
病院からたった5分歩いたところで、
「ここだよ。」
と言われた。見たところ、普通のマンションであった。
605号室まで案内され、ドアを開けるとそこにはダンボールがとてつもない量置かれていた。
「うわあ……。」
これは間違いなく大変になる。
「これ、手伝ってね。」
「わ、分かりました。」
仁人は大人しく手伝った。
午前が終わる頃には三分の一は片付いただろうか。一応、休めるだけの場所は確保できた。
「一息つこうか。」
「そうですね。」
言われた通り、二人はリビングの椅子に座り、一息ついた。
「そういえば、その病人みたいな格好、どうにかしたら?」
「病人みたい、ではなく病人なんですよ。」
もちろん、着替えているはずもなく、患者衣でいた。
「でも、着替え持ってきてないですし……。」
「服あればいいんだけど、基本私の衣類しかないんだよね。私のも、男っぽい物は一応あるから、それでいいか。」
「えっ……。」
その瞬間、仁人は察した。その人、一人暮らしだと。つまり、今自分は女子大生の部屋に入れて貰っているのだと。そう思うと一気に落ち着かなくなった。
「ふふっ。慌てちゃって、興奮した?」
「し、してませんよ!」
「バレバレだよ。」
屈辱を感じた仁人。この人は手強いと、改めて思った。

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