問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

6-339 面倒な事







「なんですって?そんな場所に……人が?」


「やっぱり……アンタもか」


「”やっぱり”……とは?」



自分の知らなかったことを知っており、その反応が当然予測されていたという反応に、ステイビルはサヤにその答えを求めた。



「どうやら、アンタもそうみたいだね……そこの村の人間が消えたとき、誰もその記憶が残ってないんだよ。調べさせたんだけど、地域を統括している場所の記録さえも消えているんだって」


「そんな……ことが?」




サヤの説明が間違いでないことを、ラファエルたちも付告げる。
実際、大精霊たちも何が起きたかはわかっていなかった。ただ、この周囲を探索していた際に何かの気配がごっそりと消えてしまったということだけは感じたという


そしてサヤは、ラファエルの説明の後に、懐に入れてあった小さなも物体を取り出した。


「ほら、これを見て見なよ」



サヤは現地で若い警備兵から渡された、コマを掌の上に乗せてステイビルに見せた。

ステイビルは人差し指と親指で、サヤの掌に乗せられたコマをつまんだ。
指の中に摘まんだものを見ると、それは決して古いものではなく、つい最近までこれを使っていたと思われるようなものであった。
だからこそ、ステイビルの頭の中は混乱し、サヤの言うことが間違いではないということを飲み込めないでいた。
それと大精霊たちもサヤと同じことを告げていたので、この事は決して嘘の出来事ではないのだとステイビルの中で確定した。



『やはり、かの者が起こしたことでしょうか?』


「うーん……多分そういうことだろうねぇ」


「こうやって少しずつ、我々に恐怖を与えていくつもりなのでしょうか?」


「それはどうかね?相手はこれを脅すつもりなんてないのかもしれないじゃない?」


「――え?」




ステイビルはもう、相手もサヤも何を考えているのかわからない状況となっている。
しかしサヤは、これまでとは違いそんなステイビルを責めることはしなかった。

今までのサヤは、自分の考えに沿っていない者たちへの対応は、強く当たってしまうことが多かった。
だが、ここ最近でサヤの考え方は変わってきていたことは、自分自身でも認識している。



(それはきっと、あの”二人”のせいだろうね……)



そんなことを思いながら、サヤはステイビルが不思議に思っていることに説明をする。



「盾のアイツはさ、この世界を消したがってんだよ?それって別にこっち側を脅したいっていう訳じゃないんだ。ただただ、自分の思ったことを行動したいだけっていう風にしか見えないんだよね」



その考え方は、剣の創造者も同意をしていた。盾の創造者とは長い時間の中、ともにこの世界の中で存在していたが、お互いの性格など分かり合っていたわけではない。二つの存在は、この問題が起きるまで接点を持つことが無かったためだった。
しかし、この短い間においてもサヤとの共に状況を検討していた結果、徐々に相手がどのように考えているかということが判った気がしていた。



「……だからこそ、面倒なんだよね」



サヤはそう呟いて、これから先のことをどうするべきか考え始めた。









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