問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』
6-337 とある村で
この世界に戻ってきたサヤを待ち受けていったのは、土の大精霊”ウリエル”だった。
ウリエルは姿を現すと同時に、すぐに膝を付いて両手を胸の前で合わせた姿勢でサヤに対して頭を下げた。
「どうしたの、そんなに急いで?何かあったのか?」
『はい、是非お知らせしたいことがありまして……』
「……ん?何が起きた?」
『村一つの人間が……この世界から姿を消しました』
その報告を受けたサヤは、驚くことはなかった。むしろ、”とうとう来たか……"という印象が真っ先に浮かんでくる。
そして、ウリエルにモイスかその代わりを呼んでもらい、その場所に連れていくように命じた。
遠くからも森の中に開けた場所が確認できると、モイスは緩やかに高度を下げていく。
背中に乗せたサヤを落とすことは無いが、自分一人で気ままに飛んでいた頃よりも随分と気を使って飛ぶことにもこの短い期間で慣れた。
サヤはモイスの背から飛び降り、移動してきた村の入口に立った。
村の中に入っていくと、そこには既に王都から派遣されたと思われる十数人の警備兵たちが、慌ただしく村にある空となった住居を捜索していた。
サヤは一人の警備兵に近付いていき、いま現在の状況を確認しようと声をかけた。
「……ちょっと、いまなにやってんの?」
「――なっ!?」
後方から話しかけられた警備兵は、防御として前転しサヤと距離を取った。
先ほどまでの調査の中で、この周囲には誰一人として存在しないはずだった。
だが突然現れた人物に、警備兵は即座に反応し身構えた。これに関してはとても優秀な行動だろうとサヤは感じた。
が、いまはそんな時ではないと、サヤは相手に警戒心を解いてもらうために続きを話しかけた。
「ちょ……そんなに怖がらなくていいから。そんで聞きたいことがあ……」
警備兵は完全に舐められている態度に、サヤへの警戒心がさらに引き上げられた。
「お前は……何者だ!?」
「何って……あぁ、そうか」
サヤは、今までの流れから自分のことは知れ渡っていると考えていた。
だが、末端の兵や地方勤務の兵などは、自分のことを知る者など少ないはずと考えた。
(そりゃ仕方ないか……)
そうしてそのことを告げようとしたが、その役目は自分とは違う存在から告げられることになった。
『お主……サヤ様に敵対するのか?であれば、ワシも敵に回すことになるぞ?』
「だ……大竜神様!?」
肩の上に現れたモイスの姿を見て、その兵は剣を地面に置いて片膝を付いて頭を下げる。
やっと話ができると安心したサヤは、もう一度今の状況を確認しようとするとまた邪魔が入ってきた。
「なんだ、なにがあった……!?さ、サヤ様でございますか?」
もう一人の警備兵が、創作をしていた家屋の中から騒ぎを聞きつけて出てきた。
その警備兵はサヤを見かけたことはなかったが、流れてきた情報と一致したため、すぐにサヤだと判ったのだった。
そしてサヤは、ようやく話が分かる人物と出会えたと安心し、再び今の状況をこの男に確認をした。
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