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山口 犬

6-322 ハルナがいなくなった日15









こうしてサヤとステイビルとラファエルたちの間で、お互いで協力し合うことを約束した。
そして、その第一の目的はハルナを盾の創造者から助け出すためだということで落ち着いた。


そこから大精霊たちは、この世界の元素の異常な流れを感知するために、決められた各地域へと飛び立っていった。
サヤはステイビルたちと一緒に行動を共にし、状況を見守っている。



時々、その姿が半日ほど見えなくなる時もあったが、サヤにそのことを聞くと”向こうの世界”でも、その様子を伺っていたということだった。
そのことに疑問に感じるエレーナは、サヤに問いかけた。



「もう一つの世界……自由に行き来、できるものなのですか?」



「あぁ、一回コツを掴めばね?そんな難しいもんじゃないよ」


「それって、私たちはいけないんですか?」



「それはダメらしいよ。難しいからアンタたちに説明しても判らないだろうけど、簡単に言えば一つの世界にいる二つのどらちかの存在が消滅するってさ」


「消……滅」


「そうだよ……まぁ、試してみたいなら連れてってやってもいいけどさ?」



そう言いつつ、エレーナに向けて意地悪な笑顔をサヤは向ける。
だが、結果はその予想を反していた。


「でも、ハルナが……あっちの世界で困っているなら……助けに行かないと!?」


「そうだな……ならば今すぐあちらの世界へ向けての編成を急いで……」


「ちょっ!?ちょっと待ちなって!?……アンタたちアタシの言うこと聞いてなかったのか!?」



どういう訳かステイビルたちは自分たちが消滅することも恐れずに向こうの世界へ行く気になっており、なぜかサヤの方がその行動に焦ってしまっていた。
ステイビルたちは早速行動を開始しながら、サヤに準備ができたら連れて言って欲しいとお願いをしてくる。
だが、サヤはその行動に理解ができないと言わんばかりに大きなため息をついた。



「はぁ……なんで、そんなことまでしていく必要がある?大体さっき言った消滅するって話、聞いてなかったのか?」


「それでも私たちは、ハルナを助けるためにじっとしてはいられないのです。私たちは、これまでもハルナに何度も助けられてきました。オスロガルムを倒してからハルナがこの世界に戻ってくる間に、何もすることができなかった自分たちが情けないのです。だから今こそ、私たちは行動し、ハルナのために……」


ステイビルは、自分たちがハルナの力になれていなかったことを悔やんでいた。
ハルナがいるときには、そう言ったことは口にはできなかったが、エレーナもステイビルもいつも同じ気持ちを持っていた。
特にオスロガルムの問題からは、自分たちの能力では力が不足していることはわかっており、何の手出しもできはしなかった。そのため、ハルナに任せっぱなしの状況にステイビルたちは、とても歯がゆい思いをしていた。

サヤはその言葉を途中で遮り、ステイビルに自分に対する願いの返事をする。



「あぁ、わかったよ。……だけど、アンタたちは連れて行かないよ」



その言葉にステイビルたちは、サヤが先ほど見せていた表情と同じく、相手の言葉が理解できないという表情を見せていた。







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