問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』
6-308 ハルナがいなくなった日1
「は?……ハルナが!?」
サヤから聞かされた、ハルナの身に起きたことは、エレーナにとっては信じられない出来事だった。
ハルナの身体は盾の創造者に支配をされ、その大きな力は世界を崩壊させるために使われるのだと説明した。そして、背中の剣を見せて、この世界のもうひとつの創造者の存在を説明する。
この場にいたラファエルたちも、あまりの物事の意外さに追いついていない様子だった。
その様子を見つめているステイビルも、自分達が信じていた神と共に行動していた仲間であるハルナがそのようなことに巻き込まれていることに対して、信じられないと言った表情でサヤからの説明を聞いていた。
「それで、ハルナは無事なのですか?」
「そんなことアタシが知るわけないだろ?今回、ここに戻ってきたことだって、アタシの考えじゃないんだ」
「それって……誰に言われて戻ってきたの?」
エレーナの言葉に、サヤは少しだけイラっとした態度を見せてた。
だが、”ふぅ……”と、ひとつ息を吐き、陽菜から聞いていたエレーナの性格を考慮して、真剣な表情で前を向いて対応してみせる。
「さっきも言ったろ?アンタたちが持ってた盾の存在と一緒……なのか?んん、まぁどうでもいいけど。この剣の存在からの提案なんだよ」
「剣……ですか!?」
サヤの言葉に反応を見せたのは、ステイビルの後ろについて立っていたニーナだった。
「その剣は確か、西の王国での動乱の際に我が……いえ、カステオ王から貸し出していた剣のことででしょうか?」
そう言いながらニーナは、ステイビルを守るようにサヤの前に立つ。そして毅然とした、元西の王国の王女らしい態度を取った。
「アンタは……確か。フェルノールがいたところの王女だっけか?」
「フェルノール……やはりあなたが、フェルノールをカステオ王に近付けたのですね?」
あの王国の動乱の原因だったと思われるフェルノールに対し、怒りを感じていたニーナだった。
「は?何勘違いしてるんだ?アタシがアイツをカステオに近付けたんじゃなく、アイツが勝手に動いてカステオに近付いていったんだよ」
「……え?」
そこからサヤは、ニーナにフェルノールについて説明をした。
ヴァスティーユとヴェスティーユは、姉妹であり助けられたという思いからサヤに忠義を強く示していた。だが、フェルノールはサヤの知っている人物……動かなくなった冬美の身体をベースとして意識を持つ魔素を与えて創りだした存在だった。
そのためか、生きながら魔素を与えた姉妹よりは魔素の定着が悪く、身体の細胞が魔素に馴染まずに朽ち果てていく運命だった。
そんなサヤはフェルノールのことを自分の戦力とは数えずに、自由に動かすことによって世界の情報を仕入れていく役目を与えていた。
「だけどアイツは、それを無視してカステオについていったんだ。まぁ、それに関しちゃ何も思っていないし、アイツの生き方としては認めるところでもあるんだけどね」
そう告げて、フェルノールの生き方に対して何の不快感を持っていないということを示した。
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