問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

6-287 砲撃








――パンっ!


その破裂したような音は、ハルナの背中から聞こえてくる。
しかし、自分自身にはなんの痛みや衝撃もなく、精霊の力で防御していなかった。
そこからハルナは、それが盾に当たったそれを回避したのだろうと考えた。



(だけど、何かおかしい……)



ハルナは、起きた出来事はほんの一瞬だが、その状況に対して疑問に思う点があたった。
ハルナは無防備な状態であったにも関わらず、明らかに背負っている身を守るための盾に向かって攻撃する必要もない。

それにもう一つ気になっていたのは、あの音は盾に当たった音ではない。
何らかの金属でできた盾であるため、石や鉄など硬い物質が当たったのであれば、盾が弾く金属的な音が鳴り、その衝撃も多少なりとも背中に伝わってくるはずだった。

そこから考えられるものは、物質ではない別な存在……


そう考えがある程度のところでまとまったところに、盾の創造者から声を掛けられる。



『……ハルナ』



その声に反応しかけた時に、また別の声が頭の中にではなく、直接耳の中に空気の振動によって聞こえてきた。



「久しぶりだね……ハルナ」


「サヤちゃん……やっぱりサヤちゃんだったんだね」




ハルナの背後から近付いてくる姿は、背中にあの剣を背負っていたサヤだった。
それによってハルナは、先ほど打ち込まれたものがサヤの能力によって放たれたものであると気付いた。
サヤはゆっくりとハルナに近付いていき、ある程度の距離は保たれているが、お互いの顔と声がはっきりと認識できるまでの距離で立ち止まった。



「アンタはこんなところで、”一人”でなに叫んでたんだ?」


「え?ひ……っんん!!そ、そうなの……ちょ、ちょっと驚いたことがあって!?」



ハルナの頭の中に、”一人でいたことにしなさい”との言葉が響き、とっさにその考えに沿って話を合わせた。


「……」

だが、そのハルナの言葉を聞いたサヤは、何も返答をせずにただ腕を組んで黙っていただけだった。
言葉が途切れた時間が続き、ハルナは先ほどの取り繕う言葉が不自然だったのではないかと心配した。



「……まぁ、いいか。ところでアンタ、”あっちの世界”に戻ってたんだろ?なんで戻ってきたの?」


(ほっ……え?)

ハルナは、言葉に出さずにサヤがハルナの違和感について流してくれたことに安堵したが、それに続く言葉は衝撃的な内容だった。



「え?なんで……サヤちゃん……私が……」



「ったく、当たり前だろ?アタシが、アンタをあっちの世界に戻したんだよ。それに……言っておいただろ?」


「言って……おいた?」


「覚えてないの?私が最後に言った言葉を……」


「あ。もしかして、私と”敵”になるってやつ?」


「ちゃんと覚えてるじゃないの」


「で、でも……それと私があっちの世界に戻ったのって……」


「そうだよ。アタシが"逃がしてあげた"のに、また戻ってきちゃってさ……これでアンタと戦わなきゃいけなくなったんだよ」


「戦う?……わ、私そんなつもりでここに来たんじゃないの!?」




そうしてハルナは、自分がここに来た意味の説明を始めた。







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