問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

6-251 ハル姉ちゃん





『ハルナ様の精霊……フウカは、よく頑張っていました』



ラファエルの言葉は、フウカがこの世界から消えてしまったことを決定づけている内容のように聞こえた。
ラファエルのことを先生と呼んでいたフウカ、その先生役が言うのであれば間違いではないのだろう。



『そんなに落ち込まないで……”ハル姉ちゃん”?』



「ど……どうして、創造者であるあなたが……その呼び名を!?ま、まさか……この世界で起きたことを全て知っている……とか?」



『ふふふ。そんなに警戒しないでくださいな?確かに、この世界のあらゆる全てのことに干渉と変更を加えることは可能ですけどもね。それだと、この世界の意義に……っと、それは今は関係ないわね』



ハルナたちは創造者が話す内容に、恐怖を感じる個所もある。
しかし、それは”創造者”としては当たり前のことだとだろうと感じ、不快にさせて自分たちに幸いが降りかかってしまわないためにも口に出さないでいた。


「それで……あなたが何故フウカちゃんのことを」


『そうでしたね……実はあの子はわたしでしたのよ!』



「え!?」


「どおりで……」




その事実にハルナが驚き、エレーナは納得してしまった。
ハルナが別な世界からやってきて、精霊と契約をしたことは疑ってはいない。
あの日からほぼ一緒に暮らして――ハルナの元いた世界の知識や常識など驚くことはあったが――、ハルナもこの世界に住む人と何ら変わりのない女性であった。
ただ、精霊の進化の速度やその力の大きさや特殊能力など、普通では考えられないくらいの能力を発揮していた。
始めはハルナの特有の能力かとも思ったが、それだけではない別な要因があるのではとエレーナはハルナの能力を推測していた。



『驚くのは当然でしょうね?わたしも、今までこんなことは一度もやったことがなかったのですから。あ……でも、私が何か特殊な能力を付与していたとかはありませんよ?』



「え?そうなのですか?でも、ハルナは普通の人では見せない程の発達を見せていました。”フウカ”があなた様であると聞いたとき、ハルナの異常……いや、考えられない能力は特殊なモノなのかと」



気さくに話しかけてくる創造者に、エレーナは驚きという感情も加わり話し方がかなり近しい間柄のような口調になってしまっていた。
エレーナの対応にステイビルは一瞬緊張したが、そんな対応にも創造者は気さくに応じてくれた。



『エレーナ。あれは、ほとんどハルナ自身の力だというのが”答え”よ。あの時、私はラファエルから相談を受けてね……』


創造者は、始まりの場所で起きていたこと話し始める。

あの時ハルナは、降りてくる精霊たちに嫌われ、最後の一つの精霊……フウカだけが契約してくれたのだと、エレーナからあの場所で起こりえる事象の説明を受け、あのときに起きていたことはそういう結果だと思っていた。ラヴィーネに戻り、その時の話を聞いていたアーテリアや精霊使いを養成する施設のものたちもそう考えていた。


しかし、創造主の説明は、ハルナたちが思っていたことと少し異なっていた。







「問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く