問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

6-244 本題へ







カステオたちがグラキアラムから旅立ち、ステイビルたちも村の中で後処理を行った。
そこから数日後、問題がなくいままで通りの運営に戻ったことを確認し、ステイビルたちもグラキアラムを後にした。


カステオとキャスメルたちは無事にディヴァイド山脈のふもとに到着し、山を越えて西の王国側にたどり着いたとの報告があった。あの山道は険しくはあるが、体力さえあれば一日で反対側のふもとまではたどり着く。魔物や獣に襲われるといことは、オーサたちとの協力によって事故が起こることは、ほとんど起こることはなくなり、その道を利用する者たちの命が奪われるということはなくなった


その報告をナルメルの部下のエルフから受け、ステイビルはホッとした。


ニーナもマーホンに預け、王宮の中で働くためにその教育を行っていくことにした。
だが、まずは体力の回復を最優先に心掛け、王宮の中で過ごすことにしてもらった。
本人の希望で、”精霊使い”を目指したいとのことだったが、エレーナは他の希望者たちとの兼ね合いもあるため、要望だけを聞き入れ後日考えていくことで約束をした。




「……ふぅ。これで一通り落ち着いたわね」


「お疲れ様。私も手伝えたらよかったんだけど‥…」


「ハルナ様は、王女……候補ですので、そんな雑務をしていただいては王国の沽券にかかわります。そのままでよろしいのですよ」


「……そうですか」



ハルナは、マーホンの意見に不貞腐れた表情を見せる。
しかし、近くにいるエレーナはマーホンの意見が正しいと、ハルナが抱えている不満に対し諦めるように告げる。

実際、ハルナもその不満は本気のものではなかった
自分がこの世界で元いた場所で、自分のことを知っている者たちがいるだけでハルナとしては満足だった。
だが、その裏で常に気になっていることもある。
『サヤも一緒にこの世界に戻ってきているのか』ということを。


ハルナもようやく――まだまだ片付いていないこともあるが――いまの世界に慣れてきており、そろそろ次の行動に移すべきだと考えていた。
タイミングよくきっかけを作ってくれたのは、エレーナからの一言だった。



「それで、ハルナはステイビル様のこと……結局どう思ってるの?」


「う……ん。正直言うと、一緒になることは考えていないの」


「そうなのね……ふぅ。どうしようかしら、こんなことステイビル様にお伝えできるわけないし」


「でしたら、やはりニーナ様をステイビル様にお勧めするのはいかがでしょうか?」


「もちろんそれも考えたわよ、マーホン。だけど、ハルナへの思いは王選の時から続いてるみたいだし、その考えを変えるのはよほどのことじゃないと……ソルベティとかじゃ唐突すぎるし……ルーシーは西の王国にいったし」



ステイビルんの今後のことを悩ませている二人に、ハルナは自分のことを伝えるチャンスとふんで、二人の話しに割り込んだ。



「……それでね、ちょっと聞きたいんだけど」


「え?なに、どうしたの?」



「エレーナ。あの盾って……今どこにあるの?」





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