問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』
6-198 違和感8
ハルナは、これまでのエレーナの話を聞いてホッとした。
今の状況を確認したところ、まだ婚姻の儀式は行われてはおらずステイビルとは正式な夫婦という関係ではなかった。
そのような結果であったことに安堵したたハルナは、別な事態を思い出した。
「――ステイビルさんを止めに行かないと!?」
「あ、ハルナ様!お待ちください!?そのような格好で外に出てはなりませんよ!?」
ハルナは、寝巻の姿のままベットから飛び降りて部屋の外へ向かおうとする。
その行動に対し、ソフィーネは慌ててハルナの寝巻の背中を掴み、外へ向かうハルナを止めた。
「もう、慌てないでよ……ちょっと落ち着きなさいハルナ」
「ご……ごめんなさい」
ソフィーネに髪をとかしてもらいながら、その邪魔にならないようじっとしつつ、エレーナに自分の行動を詫びた。
そして、この呆れられた空気を変えようと、ハルナは今すぐにでもステイビルの行動を止めに行きたい気持ちを抑えながらエレーナに話しかけた。
「ね、ねぇ?なんでステイビル王子とキャスメル王子は争ってるの?結果は……その、出たんでしょう?」
「そうね……そのことについてはまだ話してなかったわね……いいわ、落ち着いて聞きなさいよ」
投票の結果、ハルナの相手はステイビルという結末になった。
しかし、その公正な結果を覆そうとしている者がいた。それは、キャスメルを支援している者たちだった。
自分たちの指示していたキャスメルが王選でも負け、今回のパートナーを決める戦いでも負けたことに対し、自分が応援していた王子に対し怒りを覚えていた。
だからこそ、その者たちはステイビルに対して一矢報いようと今回の件に対し異議申し立てを考えていた。
でも、それは適うことがなかった……
キャスメルが王国から姿を消したのだった。
キャスメルは、ハルナに振られてしまったことと、これ以上自分が利用されて王国と敵対する結果となることを恐れて王国を離れた。そして、面識のある西の王国へと単身で身を隠した。
ディヴァイド山脈も今では、魔物に襲われることは少なく、西と東の警備兵及び友好的なコボルトの群れによって主要な行程の治安は守られていた。
キャスメルがその道を進めば、王国へ送り返されることがわかっていたため、道なき道を進んで行くことにした。
そして、ボロボロになりながらもキャスメルは何とかディヴァイド山脈の麓近くまでたどり着くことができた。
だが、そこでキャスメルの気力と体力が尽き果ててしまった。
「ふぅ……薪はこのくらいでいいか。それじゃこれを縛って……っと」
薪拾いをしていたアーリスは、十分に用意できた薪をロープで縛ろうとしていた。
ふと目を逸らした藪の奥に、自然と意識が向く。
作業を止め、ゆっくりと足を藪の奥へと警戒しながら進んで行く。
「あ!!ねぇ……兄さん!ちょっとこっちに!?」
「どうした?今ちょっと手が……」
「いいからきて!人が……人が倒れてるの!?」
エルメトは妹に呼ばれ、罠にかかった動物の血抜きの作業の手を止めた。
「何なんだ、一体……あ!?」
そして、キャスメルは二人の兄妹に助けられて、近くの宿屋へと運ばれていった。
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