問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』
6-188 宣言
――キン!ガン!!
大型の両手剣と、一般的な片手剣が弾き合う音が響き渡る。
その周囲でも剣と剣が、精霊の力と力がぶつかり合っている。
この状況を何とか早く打開したいエレーナは、いけないとわかっていても自分の感情が抑えられずに気持ちが焦ってしまっている。
アルベルトからの声で、なんとか必死に気持ちを落ち着かせながら騎士団からの攻撃に耐えている。
アルベルト自身も、ガレムの攻撃をうまくかわしながらではあるが、決して余裕のあるとは思えなかった。
だが、これが落ち着いてなどいられるはずはない。
我が子の存在が、この騒動が起きた瞬間からその行方が分からなくなってしまっているのだから……
目の前に立ち並ぶ精霊使いと騎士団の兵は、エレーナの行動を遮る。
いくらアルベルトとエレーナの息の合ったコンビでも、対応できる数に限界はある。
ミカベリーも手を貸してくれているが、それでも相手の圧倒的な数に対応しきれていなかった。
そして、相手の攻撃を捌ききれなくなってきたエレーナは、渾身の力で叫んだ。
「ちょっと、アンタたち!私たちの子……”ミレイ”を返してよ!?」
「サヤちゃーん!サヤちゃーん!!……こんな時にどこ行ったんだろ、サヤちゃん!?」
騎士団に包囲されている屋敷の一部を守っていたが、ステイビルに言われてサヤを探しに行くように指示された。
モイスとクランプも対応をしているが、町での騒ぎを大きくしないために本来の姿ではない大きさで対応している。それに、ステイビルからはなるべく相手を傷つけないようにしてほしいと頼まれているため、手加減をしながらの抗戦となっていた。
相手の戦力を無効かするにはサヤの力が必要と考え、ステイビルはハルナにサヤを呼んできてもらうように指示をした。
「……っとにもう、こんな時にどこにいったの!?」
「……ハルナ」
探していた人物に後ろから呼び止められたハルナは、声がした方へ身体を向けて振り向く。
いつもと雰囲気が違っても見えたが、今までどおりに接したほうがいいと判断したハルナは、少し強い口調でサヤに対して言葉をかける。
「ちょっと、どこ行ってたの!?また王国の人が攻めてきて……大変なんだから!!早くきて!!」
そう告げて、ハルナはサヤに背を向けていま来た廊下を戻りステイビルの元へ向かおうとする。
「……?」
しかし、そう告げたことに対する反応が、サヤからは返ってきてはいない。それどころか、サヤは今の場所から動いている気配はなかった。
先ほど感じた違和感といまのサヤの反応が気になり、ハルナは足を止めて再びサヤの方へ向き直した。
「サヤ……ちゃん?」
「ったく。アンタは気楽でいいね?……いや、アンタもアンタで考えてることはあるんだっけか?」
ハルナは、自分のことを庇おうとする今までとは違うサヤに対して、よくない流れが加速していくのを感じている。
その流れを何とか断ち切ろうと、ハルナはサヤに声を掛けようとしたが、サヤはそれよりも早く次の展開に進めてしまった。
「悪いけどアタシ、今からアンタと敵になるわ」
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