問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』
6-176 見覚えのある者22
「メイヤ……!?そ、それにステイビル王子まで!!」
「サヤ様!……それにハルナ様も!?」
エレーナはとミカベリーは見覚えのある人物に、喜びの声を上げてこの場に迎え入れた。
「どうやら、間に合ったようだな。助けに来るのが遅れてすまなかった」
「いえ……この身を案じていただき、こうしてお越し下さっただけでも……」
エレーナもアルベルトもステイビルが現れ、床に膝を付いてその敬意を示そうとしたが、それはステイビルによって止められた。
事が終ってからの到着で何の手助けもできず、ステイビルにとっては二人に申し訳なく思っていた。
ステイビルたちがこの地に着いた時には、既に騎士団たちの姿は見当たらなかった。
上空から見ても集団がこの町から外へ出たような動きが見られず、町の周囲も土地の特徴により集団が隠れることができるような森などはない。
となれば、町のどこかに分散してその身を隠していることが考えられる……が、それを今はどうこうするつもりはない。
こうしてエレーナたちの身が無事であることが、ステイビルにとって最優先事項であった。
「メイヤ……無事だったのね……良かった」
「はい……何とか。エレーナ様も……よくぞご無事で……」
「メイヤさん……私たちの判断……どうか許してほしい」
そういうと、アルベルトは両手を足に添えて姿勢を正し、深々とメイヤに向かい頭を下げた。
「何を……アルベルト様とエレーナ様が、私に頭を下げることなど何一つございません!?お二人が私のことを気を使って逃がしてくれたことは……ステイビル様とこの方たちに教えていただきました」
「あ、バレちゃった?でも、今はそんなことどうでもいいの……ほら、あなたも抱いてあげて」
エレーナは騒ぎの中でも無事に生まれた我が子を、メイヤに抱いてくれるよう勧める。
メイヤは”はい”と返事をして、エレーナの腕から小さな存在を受け取る。
「小さくて……温かい……」
「そうよ。だからあなたも早くいい人見つけて……ね?」
「わ……私なんか!?そ、そんな!?」
メイヤはエレーナの冗談なのか本気なのか判らない発言に、戸惑ってしまい大きな声を出してしまった。
その声に驚いたのか腕の中の赤子は不機嫌になり、顔の表情が険しくなって泣き出しそうになった。
「あ!……大丈夫ですよ!?驚かせてごめんなさい!?」
そう言って急いで身体を上下左右に揺らし、赤子の機嫌を必死に逸らそうとする。
だが、驚いた赤子の機嫌はそれだけでは収まらない。
メイヤは、静かに自分の記憶の中にある歌を歌った。
その歌は、とてもゆっくりで声の綺麗なメイヤにはぴったりな歌だった。
その歌声を聞くと、ぐずっていた赤子は心地よさを取り戻し再び深い眠りの中に引き戻されていく。
「へー……メイヤが歌っているところ初めて聞いてわ……素敵な声ね」
「い、いえ……わたしなん……っ!?」
再び大声を出そうとしたメイヤを、アルベルトが人差し指を口に当てて制した。
「これは……この子の世話は、メイヤじゃなきゃダメよね……アル?」
「あぁ、そうだな。メイヤさんなら安心だ……」
その言葉に泣きそうになり、メイヤは二人から顔を背け腕の中の柔らかい存在に目を向けた。
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