問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』
6-161 見覚えのある者7
「え……これ……え!?」
サヤの呼びかけに答えて、小さな羽の生えた書物でしか見たことのない生き物がメイヤの目の前に現れた。
『サヤよ。次はどこに行くというのだ?……サヤといると、今までなぜ退屈だったのかも思い出せんな!』
小さな身体だが、その威厳や生命力の大きさはメイヤの肌にもビリビリと伝わってくる。
「メイヤ、こいつのこと知ってる?モイスっていうんだけど、水の大竜神って存在らしいよ」
メイヤは今までに見たことのない存在を目にしたことと、ステイビルよりも偉そうにしていたサヤが、伝説級の存在を気軽に呼びつけたことに対して頭の中の理解が追い付いてなかった。
先ほどの強気の発言から一転し、メイヤが戸惑う姿がサヤにとっては心地よかった。
しかし、ここから先が重要と考えこの先の行動についてステイビルに投げかけた。
「さて……ここからどうするべきだと思う?今回はアンタに任せるよ、ステイビル」
「そうですね、戦力は充分にあると思いますが……できれば相手の被害も大きくはしたくないところです」
「難しいこと言ってくれるねぇ……それで、今回のゴールはどこに設定するつもり?」
「そこなのですが、エレーナとアルベルトの救出が最大の目標になると思われます。フレイガルまでキャスメルがくることはないと思いますので、あの二人さえ救出できれば」
「ちょっと待ってステイビルさん。二人だけじゃないでしょ?」
「……?あぁ!そうでした。申し訳ございません、ハルナ様。”三人”ですね、救出対象となる者たちは」
「お……お待ちください!」
ようやく落ち着きを取り戻したメイヤが、会話の中に割って入ってきた。
「戦力があるとのことですが、ここから数日かけていかなければなりません。その間に多くの兵が移動するとなると王国にも見つかってしまいます!それに、私が出てきた時から考えて、かなりの時間が経過しております。一刻も早く……」
「あーわかってるよ、そんなことは。だからコイツを呼んだんじゃない」
小さなモイスは、サヤの肩の上で自慢げに羽を羽ばたかせた。
「そういうことだ、メイヤ。それに戦力と言っても人の数だけが戦力ではない、例えばサヤ様一人でも王国の十……」
途中まで機嫌よく聞いていたサヤが、その戦力の数字を出された時点で一瞬不機嫌になったのをステイビルは見逃さない。
「ゴホン……いや、百もの数兵隊に匹敵するお方たちなのだぞ」
しかしメイヤはそう言われても、目の前の女性がそのような力を持つような女性のようにはどうしても見えない。
水の大竜神を呼びつけたことは確かだが、メイヤの勘はその事実とかけ離れた答えをはじき出していた。
「まぁ……まだ半信半疑みたいな顔してるね。いいや、取り合ず、モイスとクランプで向かう。フレイガルの道案内は……ステイビル、アンタもおいで」
ステイビルは自分が呼ばれることを当然のように受け入れ、胸に手を当ててお辞儀をしてその命令に従う意を示した。
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