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山口 犬

6-154 剣と盾9






ハルナたちはステイビルたちとは別な行動をとっていた。

ここに来るまでに数か所、森が焼け焦げて剥げている場所があった。
キャスメルたちがこの村に仕掛けてきた攻撃の跡が、無残な姿で残っている。
幸いにして、生き物が犠牲になった姿は見られなかったが、この森が前のように戻るには一年ほどかかるという。

その事実をナルメルから聞いたとき、ハルナとサヤは素直に驚いた。
どうやらエルフには草木の成長を助ける秘術があるとのことだった。

思い出せば、”向こう”のナルメルはそのような魔法を使っていた。
こちらにはいないが、ブンデルも同じような魔法を扱っていたが、この世界ではいないため魔法とは別な形態で草木を生かす方法が発展しているのではないかとサヤは言った。



ハルナとサヤの二人はステイビルたちと別れて、ゆっくりと森の中を歩きながら今までのことを考えたいといった。
その行動に対して、一部のものたちからは”危険では?”という意見もあったが、おそらく現時点でこの世界で上位にいる二人に対して、そんな心配をする方が間違っていると諭されていた。
それに、ステイビルたちも驚きの連続だったため、これ以上の精神的衝撃が加わると理解できるキャパシティを越えてしまうため、ある意味ホッとしたところもあった。


ハルナたちは、村から離れた距離で森の中を、村の外周を回るように歩いていく。
周囲には誰もおらず、自分たちを見張るものはない。
ハルナが自分たちの周りの風と水の壁を作り、それが防御と進行方向の草木を分けて歩きやすさい役目を担っている。
草や木など切り裂いていけばいいとサヤは言ったが、森を大切にしているナルメルたちのことを思うと少し曲がるかもしれないが、切るよりはマシだとこの方法で歩いていくことにした。
ここに来るまでに数か所、森が焼け焦げて剥げている場所がある。


「ねぇ……サヤちゃん」

「ん?なに?」

「もしかして、剣に宿る”大いなる存在”って……あのスーツ姿の人かな?」

「……やっぱりアンタもそう思う?」

「うん……だけど、何があったんだろう?」

「何が……あったって?どういうこと?」

「だって、こっちの世界のラファエルさんが守ってた盾は、初めは光のような存在でそこから持っていた盾に身を隠していたって言ってたでしょ?本当なら剣はあのスーツ姿の人のものだとして、向こうの世界から持ってきた時に飛び出したってこと?」


「う……ん、そうだねぇ」


その言葉からサヤは歩みを止め、一分にも満たない時間だったが腕を組んで思考を巡らせていた。
ハルナは自分が何かマズいことを言ったのではないかと、勘違いをして途中のサヤに声をかけた。


「……サヤちゃん?どうかした?」


「あ、ごめんゴメン。ちょっと考えごとしてただけだから」

「そう、ならいいけど。って何を考えてたの?何かわかったの?」

「うーん……まだ、ちょっと言えるレベルじゃないからね。それに、間違ってる可能性の方が高いし……それよりも盾を手に入れる方が話は早そうだし」

「それもそうね……何とかして盾手に入れられないかな」

「まずはどこにどういう形であるか、から調べないとね」




そして、その数日後この村に使者が到着した。






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