問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』
6-143 侵略10
ステイビルの背中には、ゆっくりと冷たい汗が流れ落ちる。
自分の気付いていなかった癖を見破られた思いと、これから先の不利な展開を立て直すべきか必死に頭を酷使させる。
そんな中、ステイビルは昔のことを思い出す。
キャスメルは幼い頃、運動は苦手だったが何かの法則を見つけだしたり、ステイビルやそのほかの専門的な知識を持つ者が気付かないことに気が付くことに長けていた。
それはステイビルよりも優秀で、ある者は神から知恵を授かっているのではという者もいた。
ステイビルの考えでは、キャスメルは洞察力が高いのだと判断した。
もちろんそれだけではなく、いつも何かを考えている様子で、その考察の蓄積が洞察力の鋭さと融合されて素早く状況を判断する能力を発揮しているのだと考えた。
ステイビルも、同じように様々なことを考え分析しているつもりだった。
だが、キャスメルのような洞察力を持ち合わせていないため、導き出された結論にほころびが生じることもあった。
とはいえ、キャスメルにも足りないところがあった。
自分自身に自信を持てなかったせいか、一人で過ごすことが多かった。
そのため、キャスメルの導き出した結論は、有か無を判断する場合にはよかったが、様々なことを考慮する際には疑問が残るような結論を出すことが多かった。
それは、人の行いの善悪を判断する場合には大変有用であったが、複数の意見を纏めたりその中での最大限の平均値を導き出すことがキャスメルは苦手であり、そのような話はステイビルの方が得意だった。
ステイビルはそんなことを思い出しながら、キャスメルへの対応を考える。
キャスメルの苦手な場所へどのように導いていくべきかを……
しかしキャスメルはそれを許さないかのように、ステイビルを追い詰めていく。
「で、その剣は今どこにある?あの者たちが持っているのだろう?さっさとここに連れてこい、そうでなければ兵士たちをこの村に突入させる……あぁ、もちろんこちらの被害が大きくなることは判っている。だが、この人数を相手にしてお前たちも無事で済むはずがない。それを止めることができるかは、ここからのお前の行動にかかっている……ステイビル」
きっとキャスメルは、ステイビルがこの状況の流れを変えようとしていたことを判っていたのだろう。
ステイビルよりもさきに先手を打って、その芽を摘んでしまった。
今はキャスメルの能力が優位に働く状況の中、ステイビルは諦めという言葉が頭の中に浮かび上がろうとしていた……
このタイミングで、この辺りを大きな影が包んでいく。
『火は無事に消した!これでよいのかステイビルよ!……む!?お前はキャスメルではないか?』
「ご無沙汰しております……火の大竜神シュナイド様」
『キャスメル……あんた、ちょっと変わった?』
「何も変わっておりませんよ、ガブリエル様」
『ちょっと遅れたね……あら、あんたキャスメルじゃない?』
ガブリエルとシュナイドが戻ってきたと同時に、モイスとミカエルもこの場所に集まってきた。
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