問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』
6-116 報告3
『精霊との契約についてはそこにおる”ラファエル”に聞いてみてはどうだ?』
「「――え?」」
その言葉に、ステイビルとルーシーはモイスが何を言っているのか一瞬理解できなかった。
しかしその驚きさえも、もさらに超えた事態が二人の目の前に起こった。
淡い光の球体が、二人の前に浮かび上がる。
その光は次第に人の形へと形態を変化させ、一人の女性の姿を映し出した。
ルーシーにとっては見覚えがあり、ステイビルにとっては初めてその姿を目にすることになる。
ルーシーはその完成された姿を見て、すぐさま片膝を付き頭を下げてその存在の名を口にした。
「風の大精霊……ラファエル様」
現れたラファエルは閉じていた目を開け、目の前にいる頭を下げている二人に対して声をかける。
『顔を上げてください……ステイビル、ルーシー』
その言葉を聞き、二人は顔を上げてラファエルの姿を目にする。
「お初にお目にかかります、ラファエル様。私は、元東の王国の王子、ステイビル・エンテリア・ブランビートと申します」
『存じております、ステイビル。今回の王選では、お会いすることは叶いませんでしたが、その事情も……』
ステイビルはラファエルが、自分に詫びているような気がした。
しかし、自身は謝罪されるようなことはないと、自分よりも上にいる存在に声をかけた。
「何をおっしゃいますか?今回の件は、わたくしに力が足りなかったせいです……ラファエル様が置きに病むことは何一つございません」
その言葉を聞き、ルーシーの胸に痛みが走る。
今回の王選が、決して正当なものではないことはステイビルの反対側にいたため判っていた。
なぜラファエルがそのことに対して謝罪の意があるのかわからないが、ラファエルも何か事情があるのだろうとルーシーは判断した。
そして、その二人の空気を読まずに自分の欲を満たそうとして、サヤはラファエルに声をかける。
「……で、どうなの?契約を解除するには何か条件があるの?」
『はい……契約の解除については、”双方の同意”が必要になります。どちらかが解除を持ち掛け、それと同時に相手もそのことを承諾すれば、お互いの解除が可能となります』
「ってことは、今回はフランムちゃんが同意してなかったから、ルーシーさんとの繋がりが切れなかった……ってこと?」
ハルナの疑問に対し、ラファエルはその認識で問題がないことを告げる。
「……フランム、あなた」
ルーシーの瞳には、涙が零れ落ちそうになっている。
ルーシーには二人の繋がりを通じて、その気持ちが伝わってきていた。
フランムは、ルーシーの痛みを受け止めるつもりでいた。
例えそれが、精神が崩壊しそうな衝撃であったとしても、フランムはパートナーを救うことができなかった自分への罰としてそれを受け止める覚悟でいた。
しかし、その衝撃を自分の親よりも信頼するパートナーに伝わることを防ぎ、自分自身の未来を紡ぐことができたとに対し、ルーシーはハルナたちに感謝の言葉を伝えた。
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