問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

6-100 残された盾






「ちょっとハルナ……アンタ何してんの?」




ハルナはサヤの言葉は届いていたが、それ以上に自分の興味が勝り壁にかけてたある縦へと向かう。
その歩みは、危険などを別にして止まることなく盾へと向かっていった。

そしてハルナは盾を視界の中に入れ、その目標物に対して吸い込まれる様に手を伸ばしていく。
サヤもその動きの結果が気になり、ハルナの行動を制することはできなかった。



ハルナは肩の高さまで両手を挙げて、やさしく盾の端に手を触れて包むように掴んだ。



――カ……タッ


軽く乾いた音を立てながら、ハルナは手にした盾を掛けられていた壁から何の抵抗もなく外した。




「……!?」



サヤはその行動に対して身構えていたが、数秒が経過した後も何の問題も起きなかった。
そのことを確認したサヤはハルナに近付き、その手にしている盾のことを聞いた。


「それってさ、元の世界に合った物と一緒なの?」


「うん、多分……そうだと思う」


ハルナは手にした盾を見る限り、前の世界で見た盾と変わるところが無いと伝えた。
その言葉を聞きサヤは、ハルナの手にあった盾を渡してもらうべく手を触れた。






サヤはハルナから盾を奪い取り、目を閉じながら手にした盾に意識を集中させた。



「――!!!!」


「……どうしたの!?何か……」


「――静かにして!!」




サヤの今までなかった余裕のない声に驚き、ハルナは言葉の続きを止めてサヤのことを見守った。
そこから一分にも満たない無音の時間が通り過ぎた後、サヤは盾に収集していた顔を上げてため込んでいた息を吐く。


「……くっ!?ダメだ、外せないわコレ!?」


「外せない……?何が??」




ハルナはサヤが持つ盾に、何も引っ掛かっているものや取り付けられている物がないことを知っている。
サヤの言葉との矛盾を探っているが、結局何のことかわからず素直にサヤに聞いた。



「うーん……なんていえばいいのかな?なんかロックが掛かってんのよ、コレ。やってたMMORGでも宝箱見つけてさ、解除してたじゃない……スキルレベルによって開けられたり開けられなかったりしたけど。そんな感じなのよ」




ハルナは、サヤの説明でその状況を理解した。
だが、問題はいくつかあった。




「盾に何か入っているっていうの?だとしたら、一体何が……」


「そんなのわかんないよ!……でもこんなものにロック掛けてるってさ。おかしくない?」


「確かに……で、でもさ。それ危なくないの?ほら、開けたらミミックだったとかで、クリティカル喰らってHP1にさせられたりしたじゃない」


「……だけどさ、この場に隠して合ってさ。アンタが触ろうとしたら怒ってたじゃない、アイツ。ってことは、アイツに良くない何かを隠しているって思わない?」


「そう……かも。でも、開けられないんじゃ……あ。サヤちゃん、ちょっとそれ貸して?」


「……?あぁ、ほい」




ハルナはサヤから盾を両手で受け取り、それを胸の前で抱きしめて目を閉じる。
サヤとフランムは、そんなハルナの姿をじっと見つめていた。






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