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山口 犬

6-71 伝説の盾








「ステイビルさん、王宮で国宝みたいなモノってないですか?盾とか剣とか?」


ハルナからの問いに、ステイビルの目に意思が宿った。


「……そういえば、王宮の中に大切に保管している盾があると聞いたことがあります」


その答えに不快感を示したのは、質問を投げかけたハルナではなくサヤの方だった。



「”聞いたことがある”……だって?アンタ、その実物を見たことがないのかい!?」


「え!?……えぇ、代々そのように言い伝えられてはおりますが、実際にその存在を目にしたことはございません」


驚くサヤの言葉にそう返したが、なぜサヤが伝承に対してそこまで驚くのかが理解できなかった。
ステイビル自身も、その話は御伽噺の類だと思っていると自分の考えを告げた。
何故そう思っているのかという理由を聞くと、ステイビルはその盾にまつわる話を聞かせてくれた。


その盾は古くから伝わり王国だけではなく、この世界を創造した神が証として残したものだと伝えられていた。
盾には神の力が宿り、この世界を修復する力があるとされている。



「……その”修復”ということが意味がどういったことかわかりませんが、王国を……この世界を統べる者の証としてその盾が存在していると聞いております」


「あ、そう……それで、同じように剣の話はないの?」


「剣……ですか?……いえ、王家に伝わっているのは盾だけです」


「西の王国が持っている……とか、知らないの?」


「西に?……王国はございません。王国といえば、この地域では我らの国だけですが?」


「「え!そうなの!?」」



ハルナとサヤの言葉は、この場に同時に発せられた。
またしてもステイビルは、なぜこの二人が周知の事実にここまで驚くのかが不思議で仕方なかった。
だが、ステイビルはこの二人が別の国からやってきたことを思い出し二人の反応に納得する。


「あぁ……お二人は別の国からやってこられたのでしたね。それではこの辺りの地域の事情はご存じなかったでしょう。この周辺では我が国が一番大きな領土を持つ国です」


「……決してお前たち”だけ”のものではないがな」


ドワーフのデイムが、ステイビルの説明に対し、不機嫌に付け加えた。
そのことに、自分の言葉が人間以外の者たちを考慮していないことに気付き、ステイビルはすぐに詫びた。



「申し訳ございません……人間を基準にしておりました。あなた方が人間よりも長きにわたり住まわれていることは存じております」


「……ふん」



「それで……剣というものは存在するのですか?サヤ様とハルナ様は、このことについて何かご存知なのででしょうか?」


「え?いや……普通”剣”と”盾”っていえば、一緒に存在しそうなモノじゃない?……そ、それだけで思いついたこと言っただけだから、深読みすんじゃないよ!?」


サヤの言葉に、ナルメルは自分が犯してしまった失礼を詫び、サヤもそのお詫びを素直に受け止めた。



「本当にあるのかしら……その盾?」


「んじゃ、いっちょ確かめに行ってみるか?」


ハルナの疑問に対し、サヤは軽々とその存在を確かめに行くことを提案した。










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