問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』
6-2 変化2
「……ゴホッ……ゴホッ!!」
「ステイビル様!大丈夫ですか!?ステイビル様!!」
咳き込むステイビルの背中をさすりながら、オリーブがステイビルの名を呼び掛ける。
ここに来るまで、一度だけ咳き込むことによってステイビルの意識が途絶えたことがあった。
その時オリーブは、意識が戻るまで必死にステイビルの名を呼び続けた。
以降、意識を失ってしまわない様にオリーブは、強く続けて咳き込んだ場合にステイビルの呼び続けることにしていた。
それが今の健康状態を改善させることはないと判っている……だが、何もできないためこの状況で出来る限りのことはしようと、オリーブはこの旅に付きそう際に決めていた。
オリーブの家――フレグラント家は、大した財力も力もない家だった。
王家を助ける貴族の中に入れてもらえることができたのは、ある貴族が王家の怒りを買い貴族から外されてしまったためだった。
フレグラント家は、貴族第一位”エフェドーラ家”の後に次いで貴族の一員の末席に座ることが認められた。
オリーブの父親は、そのことをすごく喜んでいた。
”今までつぎ込んできた金銭がようやく実を結んだのだ!”……と。
父親が、よくないことを行っているのは知っていた。
だが、オリーブはフレグラント家の代々の目標である”貴族への復帰”が果たされたことに、これで家がまともになるのではないかと期待をした。
しかし、人の欲はさらに炎を増していき、次の目標を定めたのだ。
――”大臣の地位”
王国では、大臣の職に就く家は王選を一緒に旅をした精霊使いの家がその任を与えられると言われている。
実際、過去の事例を見ても全てのものがその形式に乗っ取り、大臣の職が与えられていた。
父親は、オリーブをラヴィーネにある精霊使いの養成施設に入れた。
オリーブ自身は、そのことに対してうれしい半面……その逆で悔しい面もあった。
オリーブの夢は、精霊使いになり人々の役に立つことだった。
小さな頃から大人の……王宮がらみの醜い争いを父親の近くで見ていた。
誰かを泣かし、時には自分も傷付けられ、そんな騙し合うような世界に関わりたくはないと思っていた。
それよりも精霊使いになり、人々を助けになることをしたかった。
精霊使いは数年王宮で修業をすれば、その後個人として活動することも許されるようになった。
以前は王宮管轄で、そのようなことは絶対に認められなかったが、現王女のグレイネス女王の提案によって許されることになった。
グレイネス女王も精霊使いで、前回の王選で勝ち抜いた王に付いていた。
だが、その案を通した途端にグレイネスは謎の死を迎えた。
その女王の意思を次いで、オリーブは人々の役に立つ精霊使いになりたいと心に決めていた。
そしてオリーブは幸運にも、最後の年で精と契約を結ぶことができ、王選の精霊使いとして大抜擢された。
王選でエレーナと出会い、様々な困難を乗り越えてきた。
いつしか、オリーブはステイビルのことが気になっていた。
当初は、王家の人間ということで距離を取っていたがステイビルオリーブが知る王家の人物像とは違った。
母親であるグレイネスからも、人の役にたつ王になれと小さな頃から繰り返し言われていたという。
その話を聞いてから、オリーブはステイビルのことが身近に感じられるようになった。
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