問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

5-132 ハルナとフウカ3











「えぇ!?……ハル姉ちゃん……これ、どういう……!?」

フウカはハルナがやってみせたことに驚きを隠せなかった。
そのため少しフウカの声が大きくなってしまっていたが、ハルナは慌ててフウカに静かにするように人差し指を口に当てる仕草をとる。
それに応じたフウカは、ハルナのその動作にコクコクと頷いて見せた。
そしてハルナは、まだ向こう側で相談している大精霊たちの姿をみて、こちらに気付いていないことを確認する。


「ねぇ……これでね。ラファエルさんたち……驚かせたくない?」


ハルナのその言葉を聞いた途端、フウカの顔はここに来てから一番の笑顔を見せ、ハルナが持ち掛けてきた案に賛同した。
そこからハルナたちは、ラファエルたちに気付かれないように作戦を練っていった。


ある程度時間が経過し、再びラファエルがハルナたちに声をかけた。



『……そろそろ、訓練を再開させませんか?』


「あ、はい!今、行きます!!」


ハルナとフウカは顔を見合わせ、同じタイミングで頷き合った。




『それでは、次の訓練に行きます……今回はハルナさんもまた入っていただくことになります。今度の訓練は厳しいものになりますが……よろしいですか?』


フウカもハルナもラファエルの真剣な言葉に対し、これから驚く顔を想像すると顔がにやけてしまいそうになるが、二人は必死にこらえてラファエルの提案に承諾した。

そこに行くと、ラファエルを除く大精霊と大竜神が全て揃っていた。
ハルナたちは自分たちの”悪巧み”に夢中になっていたため、その気配に気付いてはいなかった。


その態度に、よくハルナのことを知らない大精霊の一人が不快感を抱いていた。
この世界の生き物は、大きな力を持つ存在を崇めてきた。
そういう態度をとらないものは、ラファエルから聞いていたこの世界を破壊する意思を持つ者、またはその者によって命令され行動しているものだと判断していた。
今までその存在たちには、圧倒的な力をもってねじ伏せてきた。
魔物についてはこの世から消し去り、そうでない者たちについてはその力を見せつけることで立ち向かう意欲を削いできた。
土の大精霊であるウリエルは、今のハルナに対して良くない感情を抱いてた。

自分たちの創造主であるラファエルに対しても、ラファエルと同じ属性で特別な力を持っていたとしても普通の人間がラファエルに対してとってよい態度ではないとウリエルは考えていた。
さらに言えば、この二人に対して行う訓練も命に危険がある訓練なのだが平気そうな顔をしているのがウリエルの癪に障った。


『それでは……次の訓練ですが、私たちの攻撃を各属性と反対の属性で盾を作り防いでいってください。初めはゆっくりとした速度ですが、徐々に上がっていきます。そして、ある数を防ぐと攻撃する数が増えていきますのできをつけてください……それから盾の大きさは掌くらいのサイズでお願いします。これが守れれないと、難易度が急激に上がっていきます』


「「はい!」」


ラファエルは、二人にとっては相当つらいはずなのだが、余裕にも見える態度にラファエルは不思議に感じた。
だが、それは実際に見てみないとなんとも言えない……ラファエルはこの余裕が何なのかを確かめるためにも号令をかけた。


『それでは……いきますよ!』










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