色気より食い気の俺が料理上手の幼馴染に『毎朝、お前の作ったみそ汁が飲みたい』と言ったらすぐ同居することになった
4 風呂上がりに彼女と二人で……
「はぁ~、アホの恵一のせいで疲れたなぁ」
「そんなこと言ったら可哀想だよ、ミーくん」
そう言いながら、結菜が麦茶を持って来てくれた。
「お、サンキュー」
俺はゴクリと飲む。
結菜も小さくコクリと飲む。
「ミーくん、制服がシワになっちゃうから、貸して?」
「ああ、悪いな」
「靴下も洗濯カゴに入れちゃうね」
「悪いな」
俺はテレビを見ながら言う。
「おい、ダメ兄貴」
ふいに背後から声がしてビクっとした。
「おわ、日向。いつの間に帰っていたんだよ。ユーレイか」
「失礼なお兄ちゃんだなぁ。ていうか、何してんの?」
「え、何がって」
「いくら結菜ちゃんが既に嫁だからって、甘え過ぎでしょ。お兄ちゃんはまだ高校生なのに、もうおっさんみたいだよ」
「うっ、それは軽く傷付くな」
俺は反省して立ち上がる。
「ごめん、結菜。自分のことはちゃんと自分でやるよ」
「ううん、気にしないで。私がミーくんのお世話をしてあげたいだけだから」
結菜は微笑みながら言う。
「全く、お兄ちゃんは幸せ者だねぇ。今どき、こんな健気なお嫁さんはいないよ?」
「ああ、そうだな。ていうか、もう結菜が嫁とか普通に言っちゃっているな」
「お兄ちゃん、『結菜は俺の嫁!』って言ってみてよ」
「結菜は俺の嫁」
「棒読みだなぁ」
「だって、恥ずかしいだろ……」
俺が言うと、
「うふふ、照れるミーくん可愛い」
「もう、結菜ちゃんはお兄ちゃんに甘すぎだよ!」
そう言われても、結菜はひたすらに微笑んでいた。
◇
風呂上がり、俺は自分の部屋にいた。
すると、ノックがされる。
「どうぞ」
返事をすると、ドアがゆっくりと開く。
「ミーくん」
「結菜、どうした?」
結菜は遠慮がちに入って来る。
ちなみに、結菜の部屋は別に用意してある。
「ごめんね、ちょっとお話したいなって思って」
「ああ、良いよ。ちょうど暇していた所だし」
「良かった」
結菜は微笑みながら丸テーブルの前にちょこんと正座をする。
俺は勉強机のイスに座ったまま、
「どうだ、ウチでの生活は? やっぱり慣れないだろ?」
「慣れないと言うか……毎日がドキドキだよ」
「そ、そうか。俺もだよ」
「本当に?」
「ああ。家族ぐるみの付き合いで、頻繁にお互いの家を行ったり来たりした仲とはいえ、お互いに成長したからな」
「そうだね。ミーくんは前よりも、もっとかっこ良くなったから」
「結菜こそ、すごく可愛くなったよ。スタイルも良くなったし」
「て、照れちゃうな……」
結菜は頬を赤らめて顔を俯ける。
「……ミーくん、となりに来て?」
「え?」
「ダメかな?」
「ダメってことはないけど……」
俺も照れながらイスを立ち、結菜のとなりに腰を下ろす。
「くっついても良い?」
「あ、ああ」
結菜はそっと俺の肩に頭を乗せる。
「……わっ、ミーくん固いね。鍛えている?」
「いや。元から、筋肉質だから」
「そうだったね。何かドキドキしちゃう」
「それはこっちのセリフだよ」
「ミーくんも私に触って良いよ」
「え?」
「胸とか」
「おい」
「ごめん、冗談」
結菜は珍しくおどけて舌を出す。
小さい頃に戻ったみたいだ。
「ミーくんは嫌じゃない?」
「え?」
「私が一つ屋根の下で暮らして、ミーくんのお嫁さんになること」
「お前は昔から、俺には出来過ぎた幼馴染だから。むしろ、俺の方が申し訳ないと言うか、バチが当たりそうで怖いよ」
「そんなことないのに……ミーくんだって、昔から素敵だよ?」
「ありがとう。いつも、日向にはバカにされているけどな」
「うふふ、そうね」
俺たちは微笑み合う。
自然と、お互いの吐息のかかり具合とか、シャンプーの香りとかが気になって、目が合っていた。
間近で見ると、やっぱり結菜はとても可愛くて。
おまけに、胸も大きいし。
俺は色気よりも食い気の男なんて言われているけど。
何だかんだ、ドキドキしてしまう。
「…………あっ」
結菜の小さく漏れた声がきっかけで、お互いの距離が縮まって行く。
より間近に、彼女の甘く掠れた吐息を感じた時、お互いに目を閉じていた。
「ねえ、お兄ちゃん」
だから、ふいにドアが開いて、そのまま硬直してしまう。
それは日向も同じことだった。
「あ、ご、ごめん……まさか、二人がもう……」
「ち、違うから。ちょっと話していただけで……」
「あ、パ、パパとママには内緒にしておくから。頑張って、お兄ちゃん」
グッと親指を立てて日向は言う。
それから、バタンとドアが閉じた。
俺は呆然としながらドアを見つめていた。
「……ミーくん」
「ど、どうした?」
「日向ちゃんは、ああ言ってくれたけど……どうする?」
結菜が小首をかしげて言う。
緊張のせいか、少し頬が赤らんで、目が潤んでいた。
「……ま、また今度……ということで」
そして、俺はヘタレだった。
「うん、そうだね……時間はたっぷりあるし、ゆっくり進んで行きたいな」
結菜はピトッとまた俺にくっつく。
そんな彼女が可愛らしくて、俺は微笑みながら頭を撫でてあげた。
          
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