いつまでも,いると思うな家に嫁

文戸玲

オトナの絡み


 私とトオルさんは体を重ね合わせた。その間特に言葉は交わさなかったが,甘い言葉を掛け合わなくても,十分に一つになれた。彼の体はその細身の外見からは想像も出来ないほどに引き締まっていた。胸板はなめらかに盛り上がり、腹筋はきれいに割れていた。

「シャワーを浴びさせてもらってもいい?」

 タオルケットを体にまとって立ち上がり,ベッドの上で果てているトオルさんを見た。

「トイレの横の扉が脱衣所になっているから,自由に使って良いよ。タオルは・・・・・・こっちにある」

 そう言って起き上がると「休んでて」という私の言葉をさえぎって脱衣所まで案内しくれた。新しいタオルやドライヤー、化粧水や綿棒のありかを一通り教えてくれた後,ごゆっくり,と言って脱衣所を出ようとした。
 一人で使うのには大きすぎるドラム式の洗濯機を見ながら,タオルケットをそこに入れようかと迷っていると,後ろからハグをされた。そしてそのまま手のひらは私の体をむさぼり,向き合った体はお互いを求め合った。

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